「沖縄の役者さんは妖怪みたい」。「真夏の夜の夢」監督&主演インタビュー
2009年7月24日 12:00

[映画.com ニュース] 「ナビィの恋」「ホテル・ハイビスカス」など沖縄を舞台にした作品を発表し続けている中江裕司監督の最新作は、シェイクスピアの「真夏の夜の夢」にインスパイアされた、沖縄の小さな島を舞台に繰り広げられるラブコメディ。監督と、主演の柴本幸に話を聞いた。
映画「真夏の夜の夢」は、恋に疲れて故郷の世嘉冨(ゆがふ)島に戻ってきたゆり子と、人々の記憶から忘れ去られようとしている島のキジムン(精霊)マジルーの心温まる交流を描く。
シェイクスピアと沖縄という意外なコラボレーションについて、「人間と妖精が当たり前に共存する世界観が面白かったので、これを沖縄の離島で撮ろうと勝手に決めていたんです」と話す監督は、柴本の抜擢を、「島の子という設定なので、野生の血が感じられないと成立しなかったのですが、初めて会った時に彼女から動物の血を感じたんです。現場では『はきだめに鶴』って呼んでましたけど」と笑って話した。
そんな野生児を体当たりで演じた柴本は、NHK大河ドラマ「風林火山」の由布姫役も記憶に新しい若手注目株。「突風の吹く山頂などのシーンも、CGではなく体を張りました。『力を抜きなさい』とずっと監督に言われ続けていたんですが、何も被っていない素を意識することは大きな壁でした」
また、沖縄の役者に囲まれての芝居は刺激的な体験だったそうで、「すごくいい意味だけど、なんで沖縄の役者さんってあんな妖怪みたいなんでしょうね。沖縄の人と内地の人って、キジムン(精霊)とゆり子みたいな関係だと思います。なんだかキジムンだらけのところに来ちゃったなぁって感じでした」と、ユニークな視点で島んちゅを分析。
「実は撮影中、沖縄は滅びると思ってました。でもやっぱり沖縄は強くて、『あぁ、滅びねぇや』って(笑)。親や兄弟、自分と故郷のような関係って、決して無くならない豊かなもの。男女は切れちゃうけど、ゆり子とマジルーは切れない関係なんだって思います」と監督が話すと、「おっしゃる通り」と、柴本も沖縄の神秘的な力強さに太鼓判を押していた。
「真夏の夜の夢」は7月25日より全国公開。
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