平和を訴え投獄されたチベット僧の不屈の精神。「雪の下の炎」監督に聞く
2009年4月10日 12:00

[映画.com ニュース] 33年間に渡る不当な拷問を生き抜いたチベット僧パルデン・ギャツォが、その壮絶な半生を語ったドキュメンタリー「雪の下の炎」(4月11日公開)。本作を手がけたニューヨーク在住の日本人女性監督・楽真琴(ささまこと)に話を聞いた。
平和的なデモを行ったという罪で中国政府により33年間投獄されたチベット僧パルデンは、非業の死を遂げた仲間のためにも、現在も亡命先のインド・ダラムサラを拠点にチベットの平和と自由を訴えている。
「パルデンの話を聞いた時、名前も顔も知らないのにすごく心に残ったのを覚えている。それ以来、辛い時は彼のことを考えるようになった。自分が彼に助けられた恩返しではないけれど、彼の人生を記録しようと思った」と、製作の動機を語った楽監督。中国政府の監視の目が光るチベットでの撮影は困難を極めたそうだが、監督は中国人に対する短絡的な偏見も危惧している。
「まず知ってほしいのは中国政府と中国国民は違うということ。彼らはプロパガンダを聞いて育てられ、チベットに牢獄があることすら知らない。だから草の根運動でも構わないから、必要なのは対話を持つこと」

チベット問題は08年の北京オリンピックでにわかにメディアを席巻した。しかし本作は、チベットというよりは “パルデン・ギャツォ”という1人の人間にカメラを向けている。「彼の物事に翻弄されない強さにすごく憧れる。それは神秘的な神頼みでない、精神そのものの強さ。33年の重みからか、彼の中には少年のような部分とシビアな部分が常に同居していて、そういうところも生々しくて魅力的だった」
そんなチベット人の苦悩に力強く迫る本作には、世代も国境も越えて伝わる“何か”が詰まっている。「何かに悩んでいたり困っていたり、心が壊れそうな人に見てほしい。チベットのことを全然知らなくても、1人の人間の精神力の可能性を感じてもらえると思う」
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