老婆の妖怪演じた佐野史郎、「鬼太郎」と水木しげる世界を熱弁
2008年7月11日 12:00
[映画.com ニュース] 実写版「ゲゲゲの鬼太郎」の第2弾となる「ゲゲゲの鬼太郎/千年呪い歌」が、いよいよ7月12日に公開を迎える。鬼太郎の宿敵ぬらりひょんの参謀・蛇骨婆(じゃこつばばあ)役として出演、原作者水木しげるとの親交も深い佐野史郎に話を聞いた。
「TVアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』第4期(96~98)の吸血鬼エリート役で、劇中歌の作詞作曲までを手がけたことが、水木(しげる)先生にお会いした最初だった」と語る佐野。水木は鳥取県の境港、佐野は島根県の松江と、同じ出雲地方をルーツに持つだけに、出雲神話の話題で盛り上がったそう。今回の「千年呪い歌」でも、神話からの伝承や、人と妖怪という種族を超えた愛・絆という普遍的なテーマが描かれ、その中で佐野演じる蛇骨婆は、敵方の参謀として登場。コミカルさを感じさせるほどの弾けた演技で、強い存在感をみせる。
「自分ではちょっとやりすぎたかなと(笑)。ただ、ぬらりひょんの緒形(拳)さん、夜叉のソ・ジソブさんと3人で、“静と動”“若さと老い”というアンサンブルはうまく作れたんじゃないかな」
ところで、佐野史郎といえば、荒俣宏、京極夏彦らとともに、水木しげるを全面バックアップする「関東水木会」のメンバーである。「実は、蛇骨婆として出演していることって、僕の中での重要度は3割くらいしかなくて。いかに水木先生の世界観をしっかりと案内していくかが、一番重要だったんです。前作で、“鬼太郎に両目がある”シーンがありましてね……これは絶対にあってはならないこと。原作では、生まれてすぐ墓石にぶつけられ、左目を失います。それを不憫に感じた父の想いが、あの目玉おやじ=絶対的な父性として復活を果たすんですから。オファーをいただいた際に、『必ず、義眼をはめ込むか取り出すシーンを入れてくれ』とお願いしました。それが“出演を受ける条件”でしたね(笑)」
アクション活劇でありながら、よりリアルに水木しげるの世界観に厚みが増した本作の背景には、佐野史郎の存在が大きかったことは間違いなさそうだ。