S・キング作品の3度目の映画化に挑んだフランク・ダラボン監督に聞く
2008年5月9日 12:00
[映画.com ニュース] スティーブン・キングの原作小説「霧」を映画化した「ミスト」が、5月10日より公開される。
物語は、アメリカの湖畔の町が舞台。突然、街が濃い霧に覆われ、さらにその霧の中には正体不明の何かが蠢(うごめ)いている……。スーパーマーケットに偶然居合わせた人々は店内に籠城するが……。
本作を手がけたフランク・ダラボン監督と言えば、「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」と、これまで2度もキング作品を映画化してきた。しかし、本作は、感動作と呼ばれた過去の2作品とは趣向が大きく異なるようだ。「『ミスト』は、自分の好きなミステリー・ホラー映画のルーツに遡るチャンスを与えてくれた。私は常に、昔から愛してやまないこのジャンルに戻りたかったんだ。それに、違うジャンルの映画作りもやってみたかった。ジャズを演奏して、一方ではオーケストラで指揮棒を振るのと同じような感覚だね」
監督はキング作品の魅力について、「彼の作品は単なるうわべだけの作り話で終わらない。常に人間の核心的部分と、人が変化していく過程を描いている」と語る監督は「ミスト」でも、霧やその中に潜む生物の存在そのものよりも、その恐怖によって引き起こされる人々の心理の変化にフォーカスしている。「この映画は、過度のプレッシャー、つまりは理性を奪うほどの恐怖が与えられた時、人々がどうなってしまうかというある種の実験なんだ」
人々はいつまで経ってもやって来ない救援部隊に焦りを感じ、正体不明の霧の存在に恐怖を掻き立てられ、極限状態に陥る。そして次第に心の闇を露わにしていく。「本当の恐怖はスーパーマーケットの外にあるのではなく、恐怖は店の中に潜んでいた。そこが原作の素晴らしいところで、店内の人々が反発し合い、友人や近隣の住民たちとの関係が突然崩壊する。そう、彼らこそが危険な存在だったんだ」