劇場公開日:

解説

混沌とする時代の流れに翻弄されてゆくイスタンブールのインテリ一家の苦悩と悲しみをミステリアスに描く人間ドラマ。製作・監督・脚本はズルフュ・リヴァネリ、撮影はユルゲン・ユルゲス、音楽はズルフュ・リヴァネリとミキス・テオドラキスが担当。出演はルトカイ・アジズ、セヴタブ・パルマンほか。

1989年製作/トルコ・スイス・スウェーデン合作
原題:Sis
配給:シネマドゥシネマ=俳優座シネマテン
劇場公開日:1990年5月18日

ストーリー

'60年、イスタンブール。早朝、判事のアリ一家は軍事クーデターが起きたことを知る。現役の大佐であるアリの父も、それに加わっていた。それから18年後。不安定なトルコの政治情勢の中で、アリの長男ムラトが何者かによって射殺される。今は弁護士になっているアリに、この事件を伝えたのは、兄とは敵対関係にある政治組織に入っていた次男のエロールだった。アリは、犯人がエロールではないかと疑惑を抱く一方で、対立セクトに命を狙われる彼を、島の別荘を経て、門番に口止め料を払って友人の空事務所に匿ってやる。ムラトの婚約者イディルは、淋しさをまぎらわすかのように何くれとなくエロールの世話を焼き、やがてふたりは親しくなってゆく。ある夜、隠れ家を訪ねたアリは、エロールを激しく詰問する。否定する彼をアリは、トルコから脱出させようとし、20年前に彼が釈放してやったオスマンという漁船の船長を探し回る。そんなある日、ムラト殺しの容疑者が逮捕される。アリは、死刑を免れさせてやるかわりに、その少年にムラト殺しを認めさせようとするが失敗する。ようやくオスマンを探し出したアリは、脱出の手はずを整えるが、門番の密告により彼は逮捕される。全ての道が閉ざされ、エロールは自首しようとする。反対するアリ。彼の前には深く濃い霧が横たわっているのだった。

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