「ラスト、コーション」セクシー女優のCMが、中国全土で放送禁止に!
2008年3月11日 12:00
[映画.com ニュース] アン・リー監督の新作「ラスト、コーション」で一躍世界の注目を集めた中国人女優、タン・ウェイを起用したスキンケア商品のコマーシャルが中国で放送禁止処分になった。その理由は、彼女の同作での演技がセクシー過ぎたから、だと地元メディアが報じている。
中国政府のラジオ映画テレビ監督庁(SARFT)は3月6日、タン・ウェイが広告塔を務める化粧品会社ポンズ(POND'S)の新しいCMを即時放送禁止にするように全TV局に通達。また、全新聞社にも広告掲載を差し止めるよう通達した。
先月、タン・ウェイが、この宣伝契約を600万元(約8600万円)で結んだ際は、中国メディアは破格の契約料に沸き立っていた。
広告禁止の理由について、7日にSARFTは、「ラスト、コーション」で彼女が演じたキャラクターが劇中でした行為(レイプされ、挑発するポーズを取り、マスターベーションをする)を「ワイセツでポルノグラフィックな内容だ」と声明を発表している。この通達が出たのが、首都北京で全国人民代表大会が行われている期間中である点も、政治的な圧力であることをうかがわせている。
「ラスト、コーション」は、第2次世界大戦前の中国における“抗日戦争”の時代を背景にしており、表面的には中国共産党の方針に沿っている。しかし、当局は日本軍に協力したスパイ(トニー・レオン)に身も心も捧げたタン・ウェイ演じるヒロインの女スパイを美化しているとして、作品内容に激怒しているようだ。
中国本土では、セックスシーンが7分間もカットされて昨年公開されたが、物議をかもしつつ大ヒットを記録。今回のような事態を聞くと、世界でも例を見ないほど不透明な中国の映画検閲システムの中で、 なぜ同作が公開されたのか、ナゾである。