現在も韓国で係争中!無修正版政治サスペンス「ユゴ/大統領有故」会見
2007年12月7日 12:00

[映画.com ニュース] 韓国現代史上、最もショッキングな事実として今も人々の記憶に残る1979年のパク・チョンヒ大統領暗殺事件を題材に描く「ユゴ/大統領有故」。韓国ではパク大統領の遺族と裁判沙汰になり、問題視されたシーンを黒く塗りつぶして劇場公開した経緯を持つ本作の、世界初の無修正版を日本で上映することが決定。これに伴い、メガホンを取ったイム・サンス監督とプロデューサーのシン・チョルが急遽来日を果たし、12月6日に東京・六本木のシネマート六本木で記者会見を行った。
1979年10月26日、韓国第9代大統領パク・チョンヒが宴席で突然銃弾に倒れた。首謀者は大統領の腹心であるキム部長(ペク・ユンシク)、チュ課長(ハン・ソッキュ)ら韓国中央情報部(KCIA)の面々。キム部長は暗殺という内容を曖昧にするために「大統領が有故(ゆご)にあった」と説明した。有故とは“事故にあう”の意。
「この映画を撮った当初は韓国で大騒動になり、私は朝9時のニュースに5日間連続で出ていたし、1カ月間ぐらいは24時間体制でボディガードに警護してもらっていました」とイム監督が話すほど、本作は韓国では衝撃的な作品としてとらえられた。特に映画に激怒したパク大統領の長男パク・チマン氏は、製作会社を相手取って上映禁止の仮処分申請を裁判所へ提出。その結果、劇中に流れるパク大統領に関する記録映像部分を削除しなければならなくなり、遺族と製作側は現在も“名誉毀損”と“表現の自由”をめぐり裁判が続いている。
また、裁判所から一部削除を命じられた理由については「映画のラストに流れる大統領の葬儀の映像に、大統領の愛娘パク・クネさんが映っているからだと思います。彼女はいろいろな意味で強大な力を持ってますから(注:パク・クネは野党ハンナラ党の元代表)。でも娘が父親の葬儀に出るのはごく当たり前のことですよね」と皮肉っぽく語る。
政治的大事件を扱い話題を呼んだ本作だが、最後にプロデューサーのシン・チョルは「政治的な要素を排除したとしても、韓国で最高と称される監督、キャスト、スタッフが集結して作られた作品なので、先入観なしに楽しんでほしい」と映画としての質の高さをアピールした。
「ユゴ/大統領有故」は12月15日より公開。
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