アカデミー協会が3つのオスカー像の売買差し止めを要求、訴訟へ
2007年9月4日 12:00
[映画.com ニュース] 映画芸術科学アカデミー協会が、1979年に他界したサイレント時代の名女優メアリー・ピックフォードが受けた2つを含むオスカー像の売買差し止めを求め、訴訟を起こしたという。アカデミーの規約では、オスカー像が市場に出回った場合、アカデミー協会が1つあたり10ドル(約1160円)の値で買い取る権利を持つことになっており、オスカー受賞者は全員この規約にサインしているが、ピックフォードが受けたオスカー像の相続人らは1つあたり50万ドル(約5800万円)の支払いをアカデミーに要求していた。
今回物議を醸しているのは、ピックフォードが「コケット」での演技で30年に受賞した主演女優賞と、75年に贈られた名誉賞、さらにはチャールズ・“バディ”・ロジャースが86年に受けたジーン・ハーショルト友愛賞の3つ。ピックフォードの2つのオスカー像は彼女の他界後、俳優で夫のロジャースが譲り受け、86年にはロジャース自身もジーン・ハーショルト友愛賞を受けた。3つのオスカー像はロジャースの死後、彼の2番目の妻であるビバリーが受け継いだが、彼女も今年1月に亡くなり、オスカー像が現在の相続人らの手に渡った。
アカデミー側は、相続人らの要求を「履行期前の契約違反」であるとして訴えている。また、アカデミー協会の代理弁護士であるデビッド・W・クイント氏は「相続人らの要求を受け入れれば、億万長者なら誰でもオスカー像を買えるという幻想が生まれ、オスカーの品位を落とすことになる。アカデミーの創設メンバーであるメアリー・ピックフォードが公衆の面前でオスカーの品位を下げる行為を許すはずがない」とコメントしている。