マイケル・ムーアがキューバでの新作撮影をめぐりブッシュ政権と対立
2007年5月15日 12:00

ドキュメンタリー映画作家のマイケル・ムーアが、アメリカ財務省の調査を受けていることが明らかになった。
財務省が問題視しているのは、ムーアが新作ドキュメンタリー「シッコ」の撮影のために、アメリカとは国交断絶状態でアメリカ人の訪問が禁止されているキューバに渡った点であり、調査の結果次第では、罰金、禁固刑などの処罰もあり得るという。
ムーアにとって「華氏911」に続く新作となる「シッコ」は、アメリカの医療システムに鋭くメスを入れるドキュメンタリー。キューバを訪問したのも、国民のすべてに医療を無料提供するキューバのシステムを撮影するためだったという。キューバでのロケには、アメリカ同時多発テロ事件で負傷したレスキュー隊員の一団を連れていったそうで、アメリカの医療システムだけでなく、同時多発テロ事件で活躍したレスキュー隊員たちに対するブッシュ政権の対応を批判する目的があるようだ。
ムーアによると、財務省は昨年10月の時点でムーアがキューバへ渡航した事実を掴んでいたということで、今になって調査を開始したのは、全米公開を間近に控えた「シッコ」を叩こうというブッシュ政権の陰謀説ともまことしやかに噂されている。同作を全米配給するワインスタイン・カンパニーのハーベイ・ワインスタイン会長は、財務省の調査について「かえって宣伝になっている。連中も放っておけばよかったものを」とニューヨーク・タイムズ紙の取材に答えている。
「シッコ」は5月19日に第60回カンヌ国際映画祭でプレミア上映され、6月29日に全米公開される予定だ。
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