「太陽」のソクーロフ監督、昭和天皇を語る
2006年8月4日 12:00
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「太陽」のソクーロフ監督、昭和天皇を語る

「エルミタージュ幻想」などで知られるロシアの鬼才アレクサンドル・ソクーロフ監督が、「モレク神」(ヒトラー)、「牡牛座」(スターリン)に次いで、20世紀の権力者を描く4部作の3作目として、昭和天皇の心の葛藤に焦点を当てた問題作「太陽」。日本公開前に来日した監督に話を聞いた。
日本人監督では描くことが難しい題材を、一作品として撮りあげたソクーロフ監督。「この映画は、ドキュメンタリーでも歴史映画でもない、芸術作品です。ここに表された天皇像は、もちろん様々な資料や史実に依拠しているが、実際の人物とは違い、私たちが理想と考える天皇像かもしれません」
本作製作に当たり、非常に多くの時間をリサーチに費やしたという監督。「台詞に苦労しました。皇居で実際にどのような会話が、どのような抑揚で話されていたか、事実は分かりません。だから、各登場人物の特徴を表現するために、セリフのある俳優もない俳優も最後まで考えて練り上げました」と話し、昭和天皇のキャスティングについては「4人候補がいましたが、最終的には全員一致で尾形さんに決めました。尾形さんは1人芝居を中心に仕事をされているということで、不安はあったが、実際に会ってその不安は払拭されました」と答えた。
天皇という存在については「ヒトラー、スターリンはリアルな人物だが、昭和天皇は逆で、最もおとぎ話的な人物です。20世紀に王制で帝国であったことが、そもそもおとぎ話のようなもの。しかもとても現実的な日本軍を抱え、天皇制は現実的な制度でもあった。そんな中で、昭和天皇はサカナを愛し、研究していたという事実がある。彼には何かしら独特のものがあって、現実から離れたい、海洋学をもっと極めたいと思っていたのでは、と感じました。この映画を通じて感じてほしいのは、人間の自然性です。天皇ヒロヒトは存在した、この事実は拭い去ることはできない。そして、私たちは未来のことを考えなければならないのです。この世でなされた全ての過ちは全て人間のしてきたことです」と語り、インタビューを締めくくった。
「太陽」は8月5日より公開。
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