「太陽」のソクーロフ監督、昭和天皇を語る
2006年8月4日 12:00
※06年7月11日より、「ニュース&噂」は毎週火曜日・金曜日の週2回更新となりました
「太陽」のソクーロフ監督、昭和天皇を語る

「エルミタージュ幻想」などで知られるロシアの鬼才アレクサンドル・ソクーロフ監督が、「モレク神」(ヒトラー)、「牡牛座」(スターリン)に次いで、20世紀の権力者を描く4部作の3作目として、昭和天皇の心の葛藤に焦点を当てた問題作「太陽」。日本公開前に来日した監督に話を聞いた。
日本人監督では描くことが難しい題材を、一作品として撮りあげたソクーロフ監督。「この映画は、ドキュメンタリーでも歴史映画でもない、芸術作品です。ここに表された天皇像は、もちろん様々な資料や史実に依拠しているが、実際の人物とは違い、私たちが理想と考える天皇像かもしれません」
本作製作に当たり、非常に多くの時間をリサーチに費やしたという監督。「台詞に苦労しました。皇居で実際にどのような会話が、どのような抑揚で話されていたか、事実は分かりません。だから、各登場人物の特徴を表現するために、セリフのある俳優もない俳優も最後まで考えて練り上げました」と話し、昭和天皇のキャスティングについては「4人候補がいましたが、最終的には全員一致で尾形さんに決めました。尾形さんは1人芝居を中心に仕事をされているということで、不安はあったが、実際に会ってその不安は払拭されました」と答えた。
天皇という存在については「ヒトラー、スターリンはリアルな人物だが、昭和天皇は逆で、最もおとぎ話的な人物です。20世紀に王制で帝国であったことが、そもそもおとぎ話のようなもの。しかもとても現実的な日本軍を抱え、天皇制は現実的な制度でもあった。そんな中で、昭和天皇はサカナを愛し、研究していたという事実がある。彼には何かしら独特のものがあって、現実から離れたい、海洋学をもっと極めたいと思っていたのでは、と感じました。この映画を通じて感じてほしいのは、人間の自然性です。天皇ヒロヒトは存在した、この事実は拭い去ることはできない。そして、私たちは未来のことを考えなければならないのです。この世でなされた全ての過ちは全て人間のしてきたことです」と語り、インタビューを締めくくった。
「太陽」は8月5日より公開。
 関連ニュース
ファン・ビンビンが監督とのタッグを熱望→イメージを一新するヒロインに、コンペティション作品「母なる大地」囲み取材【第38回東京国際映画祭】
2025年10月31日 16:00
 取材 オリジナル インタビュー 東京国際映画祭 
 「ひとつの机、ふたつの制服」あらすじ・概要・評論まとめ ~地震による破壊と再生が人間関係の崩壊と修復を対比させる~【おすすめの注目映画】
2025年10月30日 09:00
 オリジナル アジア まとめ 評論 
 映画.com注目特集をチェック
プレデター バッドランド
【うおお…むちゃくちゃ面白そう!!】ストーリーがエグい…!私が次に観る映画は絶対にコレ――!
提供:ディズニー
火の華
【あまりにも凄すぎた】“日本の暗部”に切り込んだ圧倒的衝撃作――フィクションかノンフィクションか?
提供:アニモプロデュース
盤上の向日葵
【「国宝」の次に観るべき極上日本映画に…】本作を推す! 魂の演技対決、至極のミステリー、圧巻ラスト
提供:松竹
てっぺんの向こうにあなたがいる
【世界が絶賛の日本映画、ついに公開】“人生の物語”に賞賛続々…きっとあなたの“大切な1本”になる
提供:キノフィルムズ
好きで好きで、狂いそうになる一作に出合いました
感情移入が止まらない。闇社会でもがく3人の青春と絆が、愛おしくて、たまらなくなる。
提供:THE SEVEN、ショウゲート