いきなりカンヌで受賞した「運命じゃない人」
2005年7月19日 12:00
「運命じゃない人」というユニークなタイトルを冠した本作は、構成もまた一風変わったものになっている。疑うことを知らない“日本一いい人”な主人公を中心に、5人の登場人物の視線から主人公の周囲の事件をとらえていくのだ。その複雑な構成を思いついたきっかけは、携帯電話だという。「携帯電話は、繋がっても相手がどこで何をしているのかわからない。そこがミステリアスな感じがして、今回のストーリーの発端になりました」
02年、新人監督を発掘する「ぴあフィルムフェスティバル」に出品した短編が受賞したことを契機に、以前から企画していた本作が実現した。新人監督ならではの苦労はあったのか?「スタッフはベテランばかりでキャストもモチベーションが高く、新人監督にはいい環境だった思います。撮影期間が2週間しかない上、夜の物語だから明るくなると撮れない。太陽が昇ってくるのが恐怖でしたね(笑)」