台湾の巨匠が小津作品へオマージュ。「珈琲時光」製作発表会見
2003年7月29日 12:00
この「珈琲時光(原題)」は、フリーライターの女性と古書店の2代目店主とのほのかな恋模様を、周囲の人々を交えた日常を通して淡々と綴っていく物語。独特のローアングルの手法を確立し、中流家庭の親子、家族の関係を描いてきた小津監督の世界観を踏襲したものとなる。20年以上日本と台湾を行き来しているホウ監督は、日本映画を監督することについて「小津監督は戦後の日本社会をきちんと観察した人。文化の土壌は違うが、今の日本の人々や生活を、自分の目を通して表現したい」と意欲を見せた。
主演は「もらい泣き」が大ヒットとなった歌手、一青窈。その独特の表現力がホウ監督の目に留まり、異例の抜擢で女優デビューを飾る。日本人と台湾人のハーフでもある彼女は「この作品を通して自分の中に流れるもう1つの血について見つめ直したい」と述べ、共演の浅野忠信は一青について「よく知らなかったが、俳優じゃない人が持つ独特の勘を信じている」と期待を語った。ちなみに2人とも小津作品は「未見」だそうで、ホウ監督の手腕が大いに試される事となりそうだ。
本作は8月2日にクランクイン、東京都内を中心に、北海道・夕張でも撮影が行なわれる。そして小津監督の生誕100年目を迎える今年12月12日にワールドプレミア上映を予定。04年の公開に先がけ、カンヌ国際映画祭への出品も計画中だ。
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