ぼくは君たちを憎まないことにしたのレビュー・感想・評価
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私は彼らを憎まないことに…
今、世界に何人のアントワーヌがいると思います?。親ガチャならぬクニガチャで、ヒトの命は風前の灯です。ニュースを見る限り、旧約聖書とコーランは、ヒトの血を未だに求めているようです。つまり、私がこの映画を観ている間に、何処かで新たなアントワーヌが現れると云うことです。総てのアントワーヌが、怒りと憎悪を世に放つとなれば、世界はどうなると思います?。 例えばさ、ホントはテロリストを一人残らず血祭りにあげたいと思っても、それを口したら、私もテロリストに仲間入り。それならば、と、放った言葉に多くのヒトが賛同。それはそれで有難いけど、心の裡にあるもうひとつの感情が、行き場を失くしたとすれば、つらいよね。 悲しみも苦しみも、ホントは誰も、共有できない。だって、ヒトの生き方は、他者に代わって貰えるものではないから。それでも……。 私が同じ立場なら、どうするのかな。血で血を贖うのは間違いだと、頭では理解しても、感情がついていかないような…。 綺麗事では済まされない世界です。でも綺麗事を忘れた世界には、憎悪と復讐の連鎖以外に、何が残る?。復讐を果たすことで、自らも復讐される側の苦しみに溺れるのか、他者を憎まないことに、苦しみを覚えるのか。憎悪の連鎖は、断ち切るほうが難しそうだなぁ。 恩讐の彼方に、何があるのか…そういうことに、思い馳せることなく生きていける、今この時こそ、他には替えられない、幸福な時間なのかも。 怒りも、憎しみも、消すことはできない。 私が愛して止まないマンガ「風の谷のナウシカ」のセリフです。短いセリフですが、未だに私の裡に刺さっています。その後、宮崎サンはこのセリフへの回答を、長い時間かけて、描くことになります。 私なら、どうするかな。
ブラボー パパ
2015年11月13日に起きた同時多発テロで妻を無くした作家アントワーヌ・レリス氏の再起の話。 テロが起きたバタクランに友人とライブを観に出かけた妻と連絡がつかず奔走し、そして家族が受けた電話のリアクションで知る安否…重い。 このテロ事件のことはもちろん知っていたけれど、この主人公やメッセージは知らずに観賞したけれど、ちゃんとは現実を受け止められてはいなかった主人公が自分を鼓舞する様に、自分に言い聞かせる様に発したメッセージですね。 そしてメディアへの露出はそれプラス逃避でしょうか。 メディアのインタビューはマスゴミ感があったけれど…。 小さな息子を抱えながらも、逃避し、受け入れ、向き合って行く、たった2週間でこの変化に対応していく強い主人公が、痛々しくも力強くて素晴らしかった。
期待度○鑑賞後の満足度○ 美談でもない。愛する人を失った青年がその哀しみ・苦しみを乗り越える感動物語でもない。感情移入が許されないほど淡々と描かれる。それがいかにもフランス映画らしい。
①テロリスト達はこの映画を観ても多分何も感じないだろうな。それが悲しくて恐ろしい。 ②人の命はなぜ突然軽くなってしまうのだろう。 今でもほぼ毎日、ウクライナで、ガザ地区で人が亡くなっている。それぞれ人生を送ってきて家族がいて友人がいて、でもニュースでは一括りに○○名死亡とはナンバー(数)になってしまう。 ③
頬を打たれたら片方の頬も出せ
観るまでは、「君たち」はテロリスト達と思うてましたが、観ているうちに、彼らでは無いんでは、との思いで観てました。それは、主人公の思い、考えに彼らが全くと言っていいくらい感じ無いからです。それでは、彼らとは誰かと思いながら観てて、鑑賞後の今は、主人公自身と、犠牲者の関わりのある人達では、の思いです。本当に、複雑な作品でした。
家族を亡くしてしばらくしてから、 新しい境地に立って悟ってからの言...
家族を亡くしてしばらくしてから、 新しい境地に立って悟ってからの言葉かと思ったら、 亡くしてすぐの言葉で、 意味合いも想像とは違っていた (赦すのかと思ったら、同レベルに落ちないとかそういう感じ) その辺の勘違いは大したことなかったが、 映画自体がどことなく残念 なんかもう少しどうにかならなかったか これで良いのかな?
フランス映画だがおすすめ枠。
今年379本目(合計1,029本目/今月(2023年11月度)11本目)。 (参考)前期214本目(合計865本目/今月(2023年6月度まで)) 本映画はフランス映画です(ごく一部英語が混じります)。 もともと実話ものであるため、あることないこと入れることができずストーリーが淡々と進んでしまう点はあります(ちなみにどこかに「この映画は史実をベースにしたものです」などありましたっけ?)。 主人公の男性がとった決断についてどうか?を論じるのはなかなかむつかしく、いわゆる被害者感情というのはあるでしょうし、一方でまた極端にすぎると問題なのが「国籍による先入観から発生するできごと」なのであり、そこのバランスをうまくっとったな…という印象です。 くしくもフランスは在仏外国人大国なのであり、このような事件は結構多く、一部実話を元にしたとされる「トリとロキタ」ほか、こうした「外国人がどうこう」という問題はフランスでは(日本以上に)日常よく起きる問題であり、主人公がとった行動の是非はともかく、一つの意見としては尊重しなければ…とは思います。 しいて言えば、実際の事件をモチーフにしたものであるため、当時のフランスの報道などがどうであったのか等の説明があれば色々な見方ができたのではなかろうか…という点はあろうと思いますが、おそらく本国では常識扱いされているのだろうと思います(日本映画において、何の説明もなく進んでしまう幕末以前の歴史ものがそうであるように)。 なお、登場人物の一人のあの子は「男の子」です(名前から女の子かと思うかもしれませんが、ここでは説明があるし、息子扱いされているシーンから明確にわかる)。 とにかく迷ったらおすすめ(減点なし扱い)といったところかなというところです。 今週は…。「法廷遊戯」がどうなんだろうかなぁ…(予約済み)。
そのまんまの邦題つけちゃったねー
実話を元にしているとはいえなかなか没頭しづらい展開。 父親の苦悩・哀しみ・怒りから子役の表情まで過去散々観せられた演出。 既視感しかない。 そのためどこか空虚で心に強く残るものがない。 仄暗い室内の色調と淡い照明の使い方が巧みでレンブラントの絵画に触れてるような映像は楽しめる。
スティングの「フラジャイル」必聴
2015年のパリ同時多発テロ事件で妻を失ったジャーナリストのアントワーヌ・レリスが、事件発生から2週間の出来事を綴ったエッセイを映画化。 愛する人が、コラテラル・ダメージで突然この世からいなくなってしまったらどうなるか。悲しみ、憎しみ、不安といったさまざまな負の感情に苛まれるだろうが、アントワーヌは幼い息子と「生きていく」事を宣言する。綺麗事と捉えられるかもしれないが、負の感情に取り込まれたらテロリストと同じになってしまうのを避ける最終兵器だ。観ていて『復讐者たち』を想起したのは自分だけではないはず。 アントワーヌの妻が亡くなった会場はスティングのコンサートで復興し、1曲目に歌ったのは「暴力は何も生まないし、怒りに囚われると成す術がない」という歌詞を含む「フラジャイル」だった。もし自分が大事な人をコラテラル・ダメージで亡くしたら、彼のようにできるかは分からない。だからこそ生き方が試される。
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