「ジュリオが身勝手すぎる」僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト のあさんの映画レビュー(感想・評価)
ジュリオが身勝手すぎる
ヒーローに協力を仰ぐでも突き放すでもなくただウダウダと付かず離れずの距離感を貫き続けて一体何がしたかったのでしょうか…。中盤あたりで「何も知らないくせに!!」ってデクにブチギレてるシーンがありましたが、そもそもあの時点でアンナの個性の詳細や敵と戦うために必要な情報が何一つとしてジュリオの口から明かされていないのだから何も知らなくて当たり前だろうと。
その後も一緒に戦ってくれたヒーロー達に対する感謝や謝罪の言葉は何一つとして無く、ひたすらアンナにだけ執心し続けてそのままEND。いくら何でも自分勝手すぎやしませんか。ただ都合よくヒーローを利用していただけですよね、この人。自分が守りたいもののためだけに戦う、そのためなら手段は選ばないというスタンスは前作のロディも同じでしたが、あちらにはきちんと自身の弱さを受け入れてヒーローたちに歩み寄る姿勢がありました。また、デクとの交流の中でヒーローに対する猜疑心が信頼へと変化する過程もしっかりと描かれてました。尺の都合もあったのでしょうが、今作はそういった心情描写が一切端折られてしまっているのでただただジュリオが身勝手な男にしか見えません。同じゲストキャラクターでも劇場版1作目のメリッサや前作のロディはすごく魅力的だったので、とても残念です。
あ、ちなみにバトルシーンの作画は素晴らしかったです。ヒロアカの劇場版の中では間違いなく過去一の仕上がりでしょう。脚本については賛否両論あるようですが、個人的には嫌いじゃないかな。ただ、先述した通りジュリオのキャラクターだけはいただけないです。せめて最後に、「一緒に戦ってくれてありがとう」の一言ぐらいは言ってほしかった。
共感はできるのですが、最初は弾除けにだけしていたジュリオが、作戦を提示して更には有言実行だったデクを拾ったことと、その後痛みの中名乗って改めて礼まで言い切るデクの内面に触れ、デクがやられたときに「デク……!」と心配する場面や、アンナのもとに行くために頼み込むなど心理的に頼りにしている場面(序盤の独走とは異なる)や最後ヒロインとくっついた後きちんとデクに微笑む面など、心情の変化が描かれてはいると思います。突然キレてなんだよお前、とは思いましたが