劇場公開日 2024年7月12日

「複雑で緻密な構成にパズルのピースがハマっていくように愛情が浮かび上がって来る」大いなる不在 まっちゃまるさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5複雑で緻密な構成にパズルのピースがハマっていくように愛情が浮かび上がって来る

2024年8月5日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

なんと哀しいストーリー。子供の頃の両親の離婚を機に疎遠になった父へは、感心が薄い息子が、徐々に父へ愛情を感じていく様子がその行動から読み取れるように描かれている。少し複雑に見える時系列の描き方も、パズルがはめ込まれるように明確に事実を語るにはとても効果的で引き込まれる。徐々に痴呆が進んで行く過程で、愛情で記憶を繋ぎ留めようとしても、容赦なく進行していく様子がつらい。淡々と事実を確認していく息子の僅かな感情の揺れを森山未來は見事に演じている。それは藤竜也の説得力ある存在感があるからこその効果でもある。リアリティのある、そして感情を揺さぶられる作品だった。

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まっちゃまる