「ふぅ〜、深く重い思い」大いなる不在 hkr21さんの映画レビュー(感想・評価)
ふぅ〜、深く重い思い
何とも感想を言葉にするのが難しいです。
藤竜也さんの演技に引き込まれながら、
陽二と卓と直美さんのそれぞれの関わり方を見守るように、
息を詰めるように集中し魅入ってしまいました。
夫婦の愛、親子の愛
直美さんにとっての陽二さん
卓さんにとっての陽二さん
認知症が発症する前と後の陽二さんで二人にとっては別人で...
でも、陽二さんは、本人にとっては、もう、ずっと陽二さんのままで、
周りの受け取り方で違う人なわけで…
自分が卓の立場だったら…
疎遠だった過去ではなく、
父と息子の距離が縮まるような感覚の今が重要で、やはり愛情が湧くだろう…
直美さんだったら…
わたしは、陽二さんが夜中錯乱し直美さんが日記を見せるシーンで、
陽二さんがハッと我に返るハッピーさを求めてしまっていたのだけれど、
全く別で、日記を投げつけるという展開に、
まじかっ!の衝撃で胸がチリチリしたそのシーンに、
おそらくそれが現実で、自分がなんて安直なんだろうと、
そして現実はなんて辛く悲しいのだろうと涙がこぼれてしまいました…
だから、直美さんが陽二さんの元を去ったのも責めることはできないし…
ただ、直美さんが、
陽二さんの最高のラブレターに書かれていた素晴らしい海となってしまったとしても、
それとも違う人生を送っていたとしても、
どちらにせよ幸せな気持ちでいて欲しいと願うしかなく…
あと、妹さんには性的な暴力ではなく、直美さんの荷物を持って行かせたくなくて、
階段から引きずり下ろしてしまったんだと、
これまた現実逃避かもしれない思いでおるのです…。
陽二さんの立場だったら…
どうしよう、誰かに迷惑掛けたくないし、
でも判らなくてなってしまったらどうしようもないし、
ただただ、怖くなってしまいました…
うーん、とにかく簡単に感想がまとまらず、深く深く心にのしかかる作品でした。
そして、藤竜也さん、森山未來さん、原日出子さんの演技に痺れました。
役者のみなさんの自然な演技が素晴らしかったですね。
私の住む地域では、はやくもこの作品の上映数が絞られていて何とも残念です。たくさんの方に見てほしい気持ちです。
レビュー中で、陽二の再婚相手名が
直美のところ夕希(卓の妻の名前)になってしまっているように思いましたので僭越ながらお伝えしますね🙇♀️