劇場公開日 2025年8月1日

「宇宙で気づく、本当の居場所」星つなぎのエリオ おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5宇宙で気づく、本当の居場所

2025年8月2日
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鑑賞方法:映画館

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■ 作品情報
監督はマデリーン・シャラフィアン、ドミー・シー、エイドリアン・モリーナ。主要キャストはヨナス・キブレアブ、ゾーイ・サルダナ、レミー・エジャリー、ブラッド・ギャレット、ジャミーラ・ジャミル。製作はピクサー・アニメーション・スタジオ、ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ。日本語版キャストは、川原瑛都、佐藤大空、清野菜名、松山ケンイチ、渡辺直美、野呂佳代ら。

■ ストーリー
宇宙と空想が大好きな少年エリオは、自らの居場所が地球にはないと感じ、宇宙との交信を試みる。その願いが届き、彼は銀河を越え、さまざまな異星人が集う「コミュニバース」に転送されてしまう。そこでひょんなことから地球の代表者だと誤解されたエリオは、宇宙の平和を揺るがす危機に巻き込まれることになる。孤独を抱えるエイリアンの少年グロードンとの出会いをきっかけに、エリオはしだいに心を通わせ、真の自分と大切な居場所を見つけていく。

■ 感想
ピクサー作品ならではの、キャラクターたちの繊細な表情の変化や動きには、今回も感嘆させられます。各キャラの心情がひしひしと伝わってくる表現力は、まさに「お見事」の一言に尽きます。多種多様な宇宙人たちのファンタジックな造形も、好みが分かれるかもしれませんが、観ているだけでその独創性にワクワクさせられます。そんな個性豊かなキャラクターたちが織りなす物語は、子どもにも理解しやすく、温かい感動がじんわりと心に広がります。

しかし、正直なところ、物語の序盤から主人公エリオにはどうも共感しづらかったです。両親を亡くしたことが原因なのかもしれませんが、献身的な叔母や、友達になろうとしてくれる少年にも心を開かず、孤独感を募らせて宇宙にばかり居場所を求めるエリオの姿は、観ていてあまりいい気持ちがしません。そのため、なかなか作品世界に没入できないもどかしさを感じます。

ですが、グロードンとの出会いがエリオの心を少しずつ変えていきます。グロードンの純粋な思いに触れ、しだいに心が通い合うにつれて、エリオにも変化が訪れます。ここでようやくエリオに共感できるようになり、彼が仲間たちのために奮闘する姿が清々しく映ります。エリオを変容させたのは、間違いなくグロードンの存在です。彼もまた父親との関係に悩み、孤独を抱えていたからこそ、エリオと深くわかり合えたのかもしれません。また、エリオを陰で支え、オルガとの接し方に気づかせてくれたクローンの存在も忘れてはいけません。ターミネーターを彷彿とさせる彼の最期は、エリオにとって最高の相棒であったことを物語っています。

周囲の支えと、グロードンとの出会いによって、エリオは本当に大切なことに気づきます。探し求めていた自分の居場所が、遠い宇宙ではなく、すぐ目の前にあったという結末は、家族や友情をテーマにした作品の鉄板展開ではありますが、やはり心にすとんと収まります。疎外感や閉塞感を感じて意固地になる子ども、それにどう接したらよいか悩む親、それぞれの立場から楽しめる本作。そこまで大きな感動が得られるわけではないですが、夏休みに親子で鑑賞するのにぴったりの作品だと感じます。

おじゃる
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