劇場公開日 2023年12月22日

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「「現代的な感覚で既存の作品要素を刷新する」方向性のA24映画として、典型的ともいえる一作」TALK TO ME トーク・トゥ・ミー yuiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「現代的な感覚で既存の作品要素を刷新する」方向性のA24映画として、典型的ともいえる一作

2025年3月3日
PCから投稿

この作品も後に公開の『悪魔と夜ふかし』(2024)も、「面白半分に降霊術やったら本物が来ちゃったよ映画」(あっちは悪魔だけど)という点でずいぶん似通っているように、この種の話、というか設定は、映画にとどまらず怪談話では定番中の定番です。

それなのに本作に妙な現代っぽさを感じるのは、前置きをすっとばしていきなり幽霊がやってきちゃう世界観に、主人公ミア(ソフィー・ワイルド)と観客を放り込んでいく、という豪快な間の詰め方も影響しているかも。イントロをすっ飛ばしていきなりサビから入る楽曲とか、言葉の合間も詰めに詰めて見せたいところだけをさっと見せるショート動画、などなどに通じるスピード感と言ってよいのでは。ダニーとマイケルの、双子のフィリッポウ監督がYoutuberとしても活躍している、という前情報が影響しているのかもしれないけど。

エンディングのオチすらもある種予想の範囲を超えるものではないんだけど、それでもミアの姿が妙に印象的なのは、一見気ままで破天荒に見える彼女の、必死で心の穴を埋めようとしてる姿の痛切さが伝わってくるからかも。彼らが因果応報的に結局ひどい目にあっていることは間違いないんだけど、それを嘲笑するだけでとどめることを少し躊躇を感じる描き方になっています。そのため、ミアの内面に入っていくような後半の悪夢的展開は、これまでの分かりやすい物語進行とはかなり描き方が変化しているんだけど、その段階に至って「恐ろしさ」を肌で実感できるようになるのでした。

手の形のオブジェクトとか、それを握るしぐさとか、妙にアイコニックな要素が多いなー、と思ってたら、監督たちはインタビューのたびにこの手のオブジェを使ったポーズをとっているらしく、バズらせようとする意図があまりにも見え見えで、むしろさすがでした!

yui