市子のレビュー・感想・評価
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彼女を救うべきなのか?
たしかに生まれた時から自身に責任のない、不幸な環境にあるのだが、自分のアイデンティティの確立と幸せの追求のために、周りも巻き込んでしまう(映画の中でもいわれていたが)まさに「悪魔のような」生きざま。人間はあまりに不幸が重なると、心が麻痺してその環境から脱却することができなくなってしまうのか?市子は救うべきなのか?考えさせられるものはあるにせよ、観ていてけっこう苦しく辛い映画だった。
5-70
逢魔時
#新文芸坐 さんにて本日2本目になる #戸田彬弘監督 『#市子』を...
確かにすごい。
重荷を軽くしてくれた味方の男たち
最初の海の映像は何なのか。
たぶんそれは、全てを無にした旧約聖書の『ノアの大洪水』。
足をアップするのは、確かに生きているということでしょう。幽霊には足がないから。
市子の謎の行動の理由を知りたいと思えば、ちょうど誰かの直筆のような名前がすみっコに表示されて、その名前の人が主人公のエピソードが始まり、ある程度好奇心が満たされる。そして更に知りたいと思う事が発生すると、また別の人の直筆サインが表示されてエピソード。その繰り返しパターンが心地良い。
浜辺で母親から月子のことを聞いた義則(若葉竜也)が号泣した後、安定のパターンが崩壊する。直筆サイン無しで始まるヤキソバ購入シーンが、市子の回想とは知らず義則と市子が再開したのかと思った。初めての市子のナレーション付きエピソードは、誰かに宛てた手紙を読んでいるかのようだ。
義則は市子の母親の心を軽くした。
きっともう義則は市子を探さない、市子のために。
ラジオやテレビのニュースは市子が関係している内容のものばかりだった。
劇中の市子は、魔女の宅急便のキキのような服、独特な髪型と少し飛び出した片耳が特徴的で、戸籍がなく殺人しながら生きている控えめで優しいキャラクター。このアイデンティティは『リング』の貞子に並ぶほどインパクトがある。
市子として生きたその先にハッピーエンドがあった。しかし限界を知った。
♪戸籍なんてなーいさ、戸籍なんてうーそさ…
港でヒーローを女二人でコロしてクルマに乗せて保険証受渡し後アクセル全開かな。
罪も重荷もクルマとともに海にドボン。
今作は、自分の人生に置き換えて前向きに考えることができる。
最初のシーンに戻ったのは、まるで雨で何もかも流れてゼロになるようなリセットのよう。
市子は新しい自分を手に入れた。
荷物も持たず手ぶらになったから今度は上手くいくかもしれない。
エンドクレジットは無音。
そこにあるのは市子の鼻唄の余韻のみ。
味方のとこに重荷を置いて、足取りも軽く身軽にゆく。
杉咲花がすごい。あとは好み。
なんとは無しにNetflixで見はじめたため、途中洗濯や掃除などそこまで没入できない環境。
そんな環境で見る映画じゃないですね笑
僕は若い頃バンドを齧っていて、今も細々と続けてるんですが、特に20代の頃、東京のいわゆる遊び場で会う友達の関係性ってとても独特でした。(マジメに音楽やってる方のグループだったと思います、念の為笑)
大体が下の名前しか知らなくて、身の上話より先に音楽の話やバカ話をするので、来し方行く末も何も知らない。でも、例えば、その人の家には何度も泊まったことがある。例えば、飲んで朝まで語り合った。例えば、親よりも一緒にいる関係。
なんですけど、突然消えちゃったりするんですよ、片方が笑 なんか嫌になった、とか言って。しばらくすると帰ってくるケースもあれば、そうでないケースもあります。
ガラケー時代ですらそうでしたから、たぶん今のSNS時代なんかは尚更でしょう。友達と自分を繋いでいるのはとてもか細い線でしかない。
そんなこんなで、僕とずっと仲が良かった友人は、12年前に突然いなくなってしまい、いまだに帰ってきません。
今接している人が自分に見せている顔はほんの一部でしかなくて、思いもよらないこの人が裏では存在する。
特に都会で生活していると、一度は思ったことがある感覚なんじゃないでしょうか?
気がついて見ると、実はこの人のこと何も知らないなぁ。
そんな彼女が、婚約者になった次の日に行方をくらますのがこのお話のスタート。明らかに、いい話にはならなさそうな鬱屈とした雰囲気で話は進みます。
社会的であり猟奇的であろうテーマなのですが、万引き家族のような情緒的描写ではなく、序盤はあくまでミステリー的な謎解きロジックや仕掛けに重きが置かれています。
この描写、ぶっ飛んだ設定の割には真面目で、言語的で、やや説明的にも思えました。好みとしては、もう少し情緒に寄っていてくれた方が見やすい。どうや〜、コイツらヤバい奴らやろ〜、ってねっちょり〜とやってくれた方が好きでした。もう少しテンポが悪くてもよかった笑
ただ、とにかもかくにも杉咲花。
常時目が座っている高校の市子は、このルックス(ストレートに言えばめちゃめちゃな美人笑)にして、明らかに付き合うと何かありそう。というか幸せを持ってなさそう。そんな女に惚れ抜いてしまい共犯者にまでなった北くんの未来が暗黒なのは誰もが予想できます。 忘れてくれてえーよ、と、恐ろしく冷たい目で北くんを睨む。頼むから私のことを忘れてくれと涙ながらに訴える。北くんの方を向いては一切笑わないのに、花火やケーキ屋さん、「北くん以外のこと」ではケラケラと無邪気に笑う。こういうの男心は一番辛いんですよ!笑
その一方で、「表の」市子に惚れ抜いた長谷川という存在もいます。
2人と、さらにもう2人の人間を手にかけた目の座った市子と、長谷川の前で無邪気に笑ったり泣いたりしていた市子は、当然どちらも実在します。
紛れもなく市子は、表の市子としての生を求めていたと思いますが、そもそも実在しない表の市子はそれを物理的に叶えられない。そして、それが長谷川に明らかになった時、裏の市子の存在も明るみに出る。婚姻届とは、幸せな時間の悲しい時間切れを意味しました。
市子の生が単純で複雑なのは、たとえそうであっても幸せを求めて生きていく、と言う選択を選び続けると言うことだと思います。罪滅ぼし、ひっそりと暮らす、あるいは自●…そんな選択肢を市子は選びません。最後の最後は「知ったことか」そんな「生きしぶとさ」を持っています。
そんな市子の極東から極西への振れ幅を、頭からつま先まですべて演じ切るんだから、杉咲花はすごい。月子の生命維持装置を外す市子は震え上がるほど怖いし、高校の彼氏とベロチューする市子はどエロいし、長谷川に「ただいま」と言う市子は死ぬほど可愛い。そして、結婚しようと言われて泣く市子は、もらい泣きしそうなくらいに切ない。
もうどこまで行ってしまうんだってほどの凄さでした。アンメット見てませんけどこれから合流します。簡単ですが、ではまた!
杉咲花さん、凄すぎです!
プライムビデオで最近配信にはなった『ゴジラ-1.0』を再び観ようと合わせたものの、劇場公開時にタイミングを外して観落としていたこの作品を偶然発見!日付が変わる頃から観はじめて少し後悔の念に苛まれました。深夜に観るにはふさわしくないこと間違いない作品でした。壮絶な市子の境遇・人生。全く違う話ですが『友罪』を観終わった時の感情を思い出しました。
それにしても杉咲花さん、凄い役者さんですね!高校生から実年齢に至るまで、何の違和感もなく演じられてるのにその眼差しの奥の闇(?)は本当に杉咲さんが市子じゃないの?みたいに感じてしまいます。公開日はあと先にはなりましたが『52ヘルツ〜』の時にもそう感じさせてくれましたが、やはりただのパンと回鍋肉が好きな女の子ではないですね。
若葉竜也さん、『くれなずめ』で初めて出会いましたがいい役者さんですね。なんだか陰のある人達ばかりの中で市子との出会いと短い二人暮らしはなんだかホッとさせてくれました。余談ですがチビ玉三兄弟だったんですね。
相変わらず怪しい宇野祥平さん、いい味出してました!『うみべの女の子』ではセンセーショナルな役どころだった石川瑠華さんも怪しげでよかったです。森永悠希さんもほぼストーカーでよかったです。
多分東海地区ローカルCMだと思いますが光回線のCMで遠藤憲一さんに結婚の許しを請う頼りない青年、嫌いじゃないです。このローカルCMからは清野菜名さんもメジャー化しましたし森永さんも化けそうですね。
実話ではないかと思いますが不思議な余韻が残る作品でした。戸田彬弘監督はご自身の舞台を映像化したんですね。時系列があっちこっち行って舞台だとさぞ難しかっただろうと思います。映画でも少し戸惑いましたから。見事だと思います。好きな作品ではありませんが考えさせられる映画でした。杉咲花さんの力量を感じさせる代表作になるでしょうね。
う~ん…私には理解不能な映画でした。素直に『ゴジラ対メガロ』を観ればよかったです。
まず最初に。
私がバカなばかりに、本作の平均点を下げてしまう暴挙お許しください。
相互フォローの多くの方々が鑑賞していらっしゃり、なおかつ大絶賛の作品なので、私も!と思い観ることにしてみました。
ですが、私には合わなかったかなぁ。というより、私のオツムでは理解不能な映画でした。
画面右下に現れるカメラの日付に「あぁ…また苦手な時系列バラバラ系かぁ…」と心配しました。
案の定、ついて行くことが極めて困難でした。加えてお話自体が何を訴えて、何がどう進んでいるのかが、てんでさっぱり???でした。
「そんなんはええから、早よう、お話の筋道見せて!せめて何ジャンルの映画かくらいは教えて!」ってずーっと思ってたんですね、このバカは。
物語も三分の一を迎え、ようやくサスペンスなのかな?というところまで辿り着きました。
苦労させるなし。
それででもなお、主人公・市子が何を考え、何をしたいのかが全く見えてこないので、取り付く島もなかったです。誰目線でお話を追っていいのかがまるでさっぱり???でした。
そもそも、どの時代の市子を切り取っても、キャラクター設定にも、演者さん的にもこれっぽちも感情移入できませんでした。杉咲花も私の琴線には触れませんでした。
主要と思える登場人物が多く、散漫な印象を受けて、誰目線でどう観たらいいのかがわかりませんでした。
なので勿体ない話ですが、モニタをぼんやりと眺め続ける“ながら”視聴しかできませんでした。
実は、この作品の直前に『ゴジラ対メガロ』を少し観ていたんですよね(笑)
私のオツムには「ゴジラとジャガーでパンチ♪パンチ♪パンチ♪」の方が向いてると思いました。
毎度の余計な話です。作中で唯一「あぁ!これこれ!」と思ったシーンがあったんですよ。宇野祥平演ずる刑事・後藤と、市子の恋人・長谷川が、トンネルを走る車の中で会話するシーン。ここのSEが、本当にリアルだったんですよね。控えめなエンジン音だとか、路面とタイヤが擦れるロードノイズだとか、会話の音声だとか。低くこもるこれらの音聞いてると、気持ちよく眠気を誘われるんですよ。
劇場で観ていたなら、ここで眠っていたかもしれません。
❇️凄く良い❗️市子の演技力と凄い妖艶力に尽きる‼️
市子
1999〜2000〜2008〜2015〜2009〜2015〜2008〜2010〜2008〜2012🇯🇵大阪府東大阪市、和歌山県
3年付き合っていた恋人の市子。
プロポーズした日に失踪してしまう。
気が合い同棲していた恋人の事をあまり深く知らなかった事に気がつく彼氏の長谷川。
小学生の頃にさかのぼり、市子の壮絶な人生を垣間見るストーリー。
❇️凄く良い❗️市子の演技力と凄い妖艶力に尽きる‼️
◉87点。
★彡女優さん凄いな。そして凄い演技力と性的な魅力がエゲツない‼️
褒めてます。日本の宝になる女優さんでした。
★彡掘り出し物と言いたいですが、みなさん知っているのですね。😅
🟢感想。
1️⃣女優さんの幅の広さと地味なのに妖艶。そして見てる方が正当に擁護してしまう感覚になる凄さ!
★彡安藤さくらさんを思い出してしまう演技力に脱帽。👒
2️⃣子役の子演技も凄いかった!
★彡お母さん娘さんは演技力エゲツない時思います。これからはお母さんのマネージメント次第!😅
3️⃣ちゃんと見せないネグレストの想像力がエゲツない‼️
★彡嫌な虐待を見せずに怖さを伝える映像が凄い!
4️⃣ヒロインがサイコパスなのに!そう見えなすごさ‼️
★彡演技力で主人公目線で観てしまうストーリーは圧巻‼️
5️⃣己で結末は考えろ‼️
★彡お前ら結末は己で考えろ!
観た人が結末を決めろ‼️と言わんとしているラストは最高です!
🌀余談。
無戸籍者はこの映画制作2023年頃の時点で775人いる事は本当らしい。
無戸籍者だと結婚や病院は無理な事はもちろん、携帯すら作れないとの事で、一人でも救う為、法を改正していく予定があるようです。
また映画の市子のモデルは実際には存在しないとの事のようですね。
あくまでも無戸籍者が現実いる所に着想し、市子が完成した様です。
映画「市子」が投げかける深い問い。
杉咲花さんが演じる主人公の市子は繊細かつ力強く演じ、観る者を圧倒します。決して美人ではない市子だが、彼女の持つ独特な魅力は、杉咲さんによって完璧に表現されて、市子の過去と現在が交錯するストーリーは、最後まで目が離せません。
全体として、「市子」はその演出と演技で多くの観点から考察を促す作品ですが、ラストはあえて余韻を残すような終わり方で、賛否両論があるかと思います。市子というキャラクターが、一個人としてどのように逮捕され、罪を償うべきだったかをもっと掘り下げて、彼女に対する理解と認識を深めてほしかった。彼女の人間性に焦点を当て、もう少し彼女を「ひとりの人として承認する」方法を探求して欲しかった。
杉咲花と若葉竜也のケミストリー
事実は小説よりも希なり
無戸籍の人
きっと明日はいい天気
関係者の証言からある人物の生涯を炙り出そうというのは「嫌われ松子の一生」、身分を偽っていたパートナーというのは「ある男」あるいは戸田監督自身の作品である「名前」。ミステリで言えば宮部みゆきの「火車」もそうだし、アイデンティティの揺らぎという意味では、安部公房やフィリップ・K・ディックの一連の著作もそうだ。つまり、既視感を覚えそうな要素満載なのである。しかし、観る者はそんなことは気にせずストーリーに引き込まれてしまう。これは無〇〇という重いテーマを扱っていることと、杉咲花の熱演に負うところが大きいだろう。
詳しく書くとネタバレになってしまうので、印象に残ったシーンのみ幾つか挙げてみる。
まず、友人に「花、好きなん?」と訊かれた市子の「水あげへんと枯れるから好き」という答え。人の手を借りなくては生きていけない花。市子は決して花が嫌いなわけではなかったのだ。その意味に気づくと胸が締めつけられそうになる。
もう一つは、フェリーで帰る長谷川に、市子の母親が深々とお辞儀をするシーン。長谷川は確かに市子のことを何も知らなかった。しかし、彼女の存在を認めてくれた。母親として、そのことに対する感謝の念なのだろう。
そして最も心に残ったのは、童謡の「にじ」。「きっと明日はいい天気」と歌詞にあるこの歌を、市子は冒頭と最後に鼻歌で歌う(母親も口ずさんでいたことが後でわかる)。高校時代の市子がずぶ濡れになるシーンがあるが、水が辛い過去を洗い流すメタファーだとすると、虹は未来への希望。ラストの海にかかる虹の暗示に救われるような思いがした。
確かに市子の行為は、倫理上正しいものではない。勝ち逃げのような狡い面もある。しかし彼女の出自や境遇を考えた時、誰が彼女を指弾できるのか。そして、誰のせいで彼女はこのような壮絶な人生を歩まなければならなかったのか。観終わった後、重い問いを突きつけられたような気になった。
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