市子のレビュー・感想・評価
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ちょっと観客の想像に委ねすぎ
予告で感じられる重さで大体間違いないです。ずっとその重さです。ところによりきっついです。
ちょっと、
そこで三人が合流してから何があったかは明記しません。
誰が死んだかは明記しません。
このシーンで何があったかは
この事件の行く末は
この後の彼は
が多すぎて、エッッッ終わったでオイ!ってなってしまいました。
法廷遊戯でも疲れる役やってたし、花ちゃん、たまにはひたすら笑ってるだけのおバカな役とかやってや。ママ心配になるでしょ。
基本的人権の尊重……
「夏」に込めた感情と想い出が、美しくもたまらなく切ない一作
物語はごく普通の若い男女の仲睦まじい生活から始まるものの、そこから一転して、川辺市子(杉咲花)にまつわる謎に引き込まれるまで、実にあっと言うまの展開。戸田彬弘監督の手際は実に見事です。
市子の跡を追う恋人、長谷川(若葉竜也)と刑事(宇野祥平)は、捜査の過程で彼女が二つの名前を使い分けていたことなど、幾つもの不可解な点を見出していきます。過去と現在を行き来しつつ(日付の表記の仕方が秀逸!)、川辺市子とは誰で、彼女に一体何があったのかが少しずつ明らかになってきます。
姿を消した人が実は正体不明の人物だった、と言う作品は既にいくつも登場していて、昨年公開の『ある男』(2022)もその中に含まれる訳ですが、本作で明らかになる市子の過去、そして結末に至るまでの決断の苦しさと寄る辺なさは、映像的にはむしろ淡々と、といってもいいようなあえて抑揚をつけない演出であるだけに、一層の現実感を持って観客に突き刺さってきます。
決して楽しい気分で劇場を後にできる類の作品ではないので、年末の気忙しい状況を忘れるような気楽な映画として本作を選ぶことはちょっとおすすめしづらいものがありますが、是非とも一度は観ておきたい作品です。
日本の家族制度の根幹にある重大な問題点を突いた物語でもあり、その着眼点に感心すると言うよりも、未だにその問題点が放置されていると言うことに戦慄してしまいます。
演劇『川辺市子のために』を原作とした本作は、時系列が前後する構造となっています。丁寧な演出もあって決してわかりにくくはないのですが、市子の名前に関する設定上、どうしても初見では概要の把握が難しくなりがちです。パンフレットでは時系列に整理した年譜を掲載しているので、鑑賞後の資料としておすすめです。
ごく自然に感じられるような外光の描写が実に見事で、潮の香りが漂ってくるような薄暮の海岸、むせ返るほどの湿気と熱気に取り囲まれたマンションの一室の空気感、雑草の草いきれと足裏の砂利の感覚が伝わってくる冒頭の映像など、年末のこの時期に観ても、特に本作にとって重要な意味を持つ「夏」の季節感がよく伝わってきます。
悪魔やで…
一緒に暮らし3年、プロポーズをした翌日に失踪した女性を探す青年が、彼女を探す中でその壮絶な過去を知っていく物語。
市子の哀しき過去と向き合いながら真相に近づいていく、ミステリーチックなサスペンスドラマといった作品でしょうか。とは言え、失踪の理由は開始1分くらいで大体読めてしまうのですが…。
しかし、物語はそう単純なものばかりでなく、ただ普通の生活を送りたかった、そして何故それができなかったのか…。う~ん、辛い。
市子の過去に接点のある人物を辿って真相を追う展開は良いですね。ちょっと登場人物が多すぎる気がしなくもないが、好みの展開です。
目まぐるしく巡っていく展開に目が離せなくなるし、最後にはどんな真実が待っているのか気になって画面にくぎ付け‼…しかし、な~んとなく嫌な予感が。。あぁいう終わり方しそうな…。お!まだ続くか。あ、でもやっぱり…。う~ん個人的にこの終わり方は好きじゃないんですよね。。
終わり方こそワタクシ的にあれでしたが、終始兎に角夢中にさせられた2時間強で、哀しくもとても面白かった。
物語もそうですが、冒頭のプロポーズシーンが良いですね…。こんな可愛い奥さんと慎ましやかな幸せを感じながら…なんて妄想をしつつ、杉咲さんの演技に心をガッツリ掴まれてしまいました。
んで、印象に残ったキャラクターは彼。やってることはアレだし、思い上がりのストーカーでやべぇ奴には変わりないが、色々と協力してこの扱いって…。
好きだから当たり前なんだけど、長谷川とかには優しかったり乙女だったりする市子なだけに、この都合の良い便利屋的な扱いにちょっと理不尽さも感じてしまったりした(笑)
市子
深淵なるもの
お、これはいいぞ。
年末までの鑑賞候補作には入ってなかったのだけれど、ポスタービジュアルに惹かれて鑑賞。そしたら、予想以上に面白い! 思わぬ拾い物だった。
真夏のアスファルトの道。何故か女性の低いハミングのオープニングが印象的。
訳ありの彼女の失踪から、ちよっとしたミステリを装いながら、過去と今を行き来しながら物語が進む。まあ、普通のミステリ風に、だんだんと彼女の過去が明かされていくのだけれど、そこにとてつもない闇が帳を下ろしていた。
平板な描写の連続で、昭和のドラマを思わせる撮影スタイル。セリフも掛け合いは静かで、沈黙も多い。派手さは無いのに、何故かグイグイ来て、画面から目が離せない。
なんといっても杉咲花が、秀逸。
浮世離れした存在感が作品にぴったりマッチしていて、話の先を知りたいような知りたく無いような、不思議な感覚にとらわれる。彼女の、死んではいないけど、生きてもいないような目。単なる絶望感とも、諦めとも違う、深い沼の底のような目が良い。それを覗きたいが、近づくのが怖く思える。崖の上から真っ暗な海を覗くような感覚だろうか。
エクソシストより、よほど怖いかも。
そこそこの客足だったのだけど、エンドロールで、最後まで誰も立たなかったのが印象的。好き嫌いはありそうだけど、一見の価値あり。
3.6なかなか難役を杉咲花が良かった
傑作というよりは問題作、杉咲花に脱帽
タイトル通りです。
技術面で細かく気になる点はあれど、圧巻な作品の内容とそれを見事に演じ切った杉咲花に言葉もありません。
ラストの汗と鼻歌が示す結果と、それでも前に進む彼女の足取りはしばらく頭から離れないでしょう。
杉咲花さんの素のような表情が好き
切ないというよりただただ哀しい。生まれや環境は選べないし、安全圏にいる人間がこうすれば良かったとか、なぜそうしなかったのかなど、外野から口を出すのは容易い。その中で与えられている選択肢があまりにも少なくて過酷で、より現実みがあった。恋人の誠実さに救われていた市子、大雨に打たれて歓喜する市子、そして夢を語る市子の顔が美しかった。だからこそやるせない。杉咲花さんの素のような自然な表情がとても良かったです。
市子と義則の出会いのシーンが一番好きです。何かが始まる予感、互いにピタッとハマるような感覚っていいですよね。
引き込まれたが、ラストがよくわからなかった
けっこうはまりました。
2時間の作品でしたが、丁寧にストーリー展開されていて、観ご耐えありました。
杉咲さんはじめ、素敵なお芝居でした。
もっとこういった秀作を上映してくれる映画館が増えて欲しいと思いました。繰り返し観たい作品でした。
仮定法過去完了
辛くて衝撃的な作品だった。 暗いしスッキリするような話ではないけど...
おちょやん
杉咲花の陰キャ芝居。
ここにはいない
主題歌の無い映画は怖い。落ち込むほど食らってしまう。作品のテイストによるだろうけど、邦画はこうあるべきだと思う。エンドロールに何かある訳でもないのに、誰一人として席を立たない。このたった3分間の暗幕が身震いするほど恐ろしい。「福田村事件」以来初めて、もどかしくやるせない感情が全身を襲った。
テーマとしては昨年度日本アカデミーの作品賞を受賞した「ある男」と似たものを感じるが、それ以外は他のどの作品にも当てはまらない唯一無二の独創性があった。映画を熟知している人が撮ったんだと見て取れる。登場人物に迫るカメラワーク、無機質で静かな演出、そして他人目線で描かれる市子という存在。どれもこれも秀逸。パンフレットによると、大好評により2度も再演した人気舞台が原作で、映画化にあたり黒澤明監督の「羅生門」をベースにして作品を構成したらしく、おかげで非常に厚みのある物語に仕上がっている。とても舞台が原作だとは思えない、小説らしくもあり映画的でもある作品。魔法にかけられたように惹きつけられた。
市子というタイトルでありながら、市子目線で描かれることは決してない。常に第三者目線で市子という人間が語られるため、彼女がどんな気持ちだったのか、何を考えていたのかは全く分からない作りとなっている。当人の目線で描いていれば、他人からは見えない部分が見えてくるため、より一層感情移入し共感出来たりするのだけど、本作ではあえてその手法をとっていない。それがすごく辛い。他人から見た市子はどれも本当の市子ではなく、真の姿は母親ですら知り得ない。当然、観客である我々にも分かるわけもない。だが、1人だけ彼女を知る人間がいる。それは是非とも劇場でご覧頂きたいが、とにかくその人物との関係性が悲しく辛いのだ。
人を理解すること、そして逃げること。失踪事件から始まった市子探しは、いつの間にか市子本人ではなく、市子の気持ちを探す物語へと変貌。サスペンス、ミステリーのような序盤から、胸にグサッと刺さる人間ドラマに持っていく展開の上手さ。時系列を見事にバラし、観客を困惑させながらも作品の渦へと巻き込んでいく。ストーリーから演出まで、映画のあるべき姿を徹底して練り込まれた、杉咲花の代表作とも語られるだろう大傑作。言語化するのは難しいが、少しでも興味を持ったら見て頂きたい。今週、いや、今月のベストムービー。ぜひ。
北くんはどうなったの?
プロポーズした彼女市子が翌日失踪した。 彼女と関わってきた人たちの...
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