市子のレビュー・感想・評価
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杉咲花の演技が圧巻!
2024年1本目です。
子ども~高校生時代の環境が今の市子をつくったのだと思いますが、
市子の秘密が明かされる度に、いかに壮絶な人生なのかがわかりました。
日本の社会問題も取り上げつつ、ミステリー要素も取り入れることで、
最初から最後まで集中して鑑賞することができました。
時間軸が現在・過去が入り混じり、トリッキーなつくりと思うものの
様々な人物を通して浮かび上がる市子像は見事でした。
これだけ影のある演技をしている杉咲花は初めて観ました。
傑作だと思います。
新年早々ずーんと重い
名前というアイデンティティの重さ
虹は誰が見ても虹、七色があって見え方もくっきり綺麗でも、ぼんやりと滲んだように見えても虹は虹。
オープニングとエンディング、母親のハミングの虹が物語る、私は市子という名前がある。
無国籍児が色んな理由で存在することも最近ニュースで伝えられ、難病介護の苦労やDVなどの社会問題も描くことで市子というひとりの人間の人生が哀しいものに。
私達に当たり前に生まれた時から持っている名前が、自分のアイデンティティなのだろうけど、意識することはないだろう。
無国籍児として育ち学校にさえ行けない苦悩を見事に描かれ演じられている。
幼少期から彼氏との出会いまでの描写に少し頭の中が疲れるが、市子という人間が辿ってきた人生を観るものに伝えるには致し方なく、しっかりと観なくてはなりません。
私が1番苦しかったのは市子が介護してる月子を死なせたが、帰って来た母親が動揺するでもなく市子にありがとうと言って鼻歌歌いながら台所に立ったところ。
映画としても杉咲さん、恋人の若葉さんの真っ直ぐな演技力、子役や若い役者さん全てが高い演技力でこの重いテーマの映画を締まったものにしていて胸に突き刺さります。
エンドロール中の四人家族が幸せだった頃の会話が市子と母親の胸中に常にあるんだろうと思いました。
このような映画が単館でしか上映されない事が寂しいですね、シネコンも1日で一回上映でもいいので上映してほしいですね。
幸いにも私の住む街には珍しく単館系の映画を上映してくれるシネコンがあるので助かっますが。
家庭崩壊で名前まで偽って学生を続けるメンタルの強さ。
市子の家庭はほぼ崩壊していて、筋ジストロフィーの妹、月子の世話をしながら母親の内縁の夫、小泉との関係にも悩んでいる。
月子には戸籍があるものの、市子には戸籍がない。無戸籍である。
月子になりすまして学生時代をおくるものの、高校生までの関係を断ち切って市子と名乗り始める。
話を進め方に工夫を感じる。
時系列でもなく、市子に関わる人物の目線で順に描くというのは面白い。
最後に男女が車ごと海に突っ込んで男女が亡くなったが、市子ではない気がする。
それを明確にしなかったことで、鑑賞後にいろいろ周りで話ができる余韻まで残している。
2024年野川新栄映画館映画初め
2024年映画館鑑賞1作品目
1月3日(水)チネ・ラヴィータ
フォーラムデイ1200円
監督と脚本は『13月の女の子』の戸田彬弘
脚本は他に『ばぁちゃんロード』の上村奈帆
舞台は大阪
筋ジストロフィーで寝たきりの妹月子を献身的に介護するヤングケアラーの姉市子
介護疲れで酸素マスクを外し妹を殺した市子
母の情夫小泉雅雄の力を借りて生駒山に月子の遺体を埋めた
市子には母の事情で戸籍がなかった
市子は月子になりすまし小中高と進学した
市子は月子に関する揉め事で小泉も殺してしまう
杉咲花につきる
長谷川のプロポーズに涙を流して喜ぶ市子
宗介と舌を絡めあうエグいキスをする市子
北に抱かれて泣いているよう笑っているような表情を見せる市子
北に夢を語る市子
などなど
その表情の全て全てが素晴らしい
杉咲花の魅力を篤と味合うための映画作品
小さい杉咲花が大きく見えた
ブラボー杉咲花
杉咲花の髪型が独特
アメリの髪型に似てる
さらにあれを眉毛が隠れるまで前髪を伸ばした感じ
意外とああいう系統の髪型は顔を選ぶわけで美人なら似合うかも知れないがブスはおすすめできない
杉咲花は色白の方だがそれよりも白い森永はどないなってんの?
杉咲花以外では森永悠希の芝居が光った
最後は車の中の若い男女が海に飛び込んで死んでしまうわけだが誰なのかはっきり明示されていない
状況的にいえばどうやら北と北見らしい
モヤっとしてるのがちょっと残念
手塚治虫の『人間昆虫記』や『奇子』のような女性中心の黒いドラマに感じた
傑作と高く評価したいが何かそれには物足りない
社会問題としてなにかコメントをするべきだがそれは避ける
削除対策でセンシティブな話題にはなるべく意見しないと決めている
配役
重い障害を持つ妹の月子になりすました無戸籍の川辺市子に杉咲花
市子の彼氏でプロポーズの翌日に逃げられ行方知れずの市子を探す長谷川義則に若葉竜也
月子(市子)の高校時代のクラスメートで月子(市子)に片想いしている北秀和に森永悠希
高校時代の月子(市子)の彼氏の田中宗介に倉悠貴
新聞配達時代の市子の仕事仲間でケーキ屋さんになった吉田キキに中田青渚
右側の首筋にあざが目立つ自殺志願者の北見冬子に石川瑠華
子供の頃に同級生の月子(市子)と取っ組み合いの喧嘩になったが力負けした山本さつきに大浦千佳
なつみの情夫の小泉雅雄に渡辺大知
刑事の後藤修治に宇野祥平
市子と月子の母親の川辺なつみに中村ゆり
鼻歌
同じ鼻歌なのにラストシーンは
何とも不気味というか、恐ろしいと言うか…
自殺願望の彼女と北くんを
市子が海に沈めてしまったのか。
彼女の戸籍を奪って別人として生きていくのか。
戸籍があれば、妹が健康であれば、
たらればだけど色々考えてしまった。
杉咲花さん、いい女優さんですよね。
引き込まれました。
運命とはいえかなしい
ネタバレなしに説明が難しい
杉咲花さんの地味な佇まいがたまらん
重いテーマなのに
個人的には観に行ってよかった作品でした。
内容は社会問題を扱っていてとても重いです。生まれた時から巻き込まれていた無戸籍の問題。ヤングケアラーにならざるをえない家庭環境。どちらも市子の意思とは関係ない問題です。でも母親も追い詰められてやったこと。わかっているから家族のために、市子は必死に取り繕って生きるしかなかったのでしょう。
でももがけばもがくほど、綻び辻褄があわなくなっていく。どんどん苦しい状況に追い詰められていく。全編にわたって息苦しさが流れています。
それにも関わらずこの映画には、抱えきれない問題を押し付けられて心がずっしり重くなる感じがあまりありません。(社会派の映画を見ると時々感じます)
理由をいくつか推察すると、ひとつは映画と鑑賞者の距離感にあると思います。映画はサスペンスとドキュメンタリーの中間くらいの視点で進んでいきます。なので鑑賞者は、第三者の目撃者、もしくは近くても市子もしくは市子の恋人の友人。でも演出・音響・演技には妙なリアリティーがあり遠すぎもしない。絶妙な距離に観客を置いています。
ふたつめに善悪の議論がないところ。市子も市子の周りの人もしばしば非常識、非人道的な行動を取ります。でも映画の中で良い悪いを語ることはありません。事実がやや淡々と流れていきます。鑑賞者はいろんな感情に揺さぶられますが、映画側からの明確な主張は無いようにみえます。
最後に、市子自身に視点をむけると妙な爽快感があるのです。もちろん悲惨な現実にもがき、平穏な日々をおくれないことを悲しんでいます。でもとてもしぶとく強かに見えます。映画の最初と最後で、真夏の日差しの中を市子が鼻唄を歌いながら歩くシーンがあります。絶望的なシーンですが、市子はどこか楽しげで、なにかから解放されたように見えます。
ながくなりましたが、重いテーマでありながら押しつけがましくなく、適度な距離感で観客にいろんなことを考えさせる映画です。
乗れなかった、理由は、、
最近、評判の高い作品を勝手にワクワクで観に行き、勝手に若干失望してるケースが多いですが、今日もそうでした。
先ず、300日問題、ここ最も深掘りして欲しかった。ここが核なのに結構あっさり進行してしまって残念。で、この部分についての市子の心理描写、苦悩をもっと描くべきだったのでは?と。ここ明らかになった後はもう観ていて、そりゃそうなるよね、の連続で驚きは全くありませんでした。それと、なんか妹を殺害する状況を、仕方ないよね。みたいに見せてるのもちょっと浅さも感じてしまいました。また、あんな表情が乏しい影がある子に一緒にケーキ屋やろう!決まり!って言うかな?初めて会った他人から焼きそばもらって、同じ箸で食ったり、ビール回して飲まないっでしょ。なんか、無戸籍設定を成立させるためのムリクリのような気がして、乗れませんでした。長谷川も小泉と同じ道を一直線のような気がして、、、、
私の心が汚いから話に乗れなかったのか残念です。せめて市子の心理描写がもう少しあれば、杉崎さんの演技もあり凄い作品になったような気がするなぁ。
あなたは市子⁉️それとも月子⁉️
この市子というキャラ、全く感情移入出来ない‼️小学生のくせに同級生の彼氏にチョッカイ出したり、友人の家の菓子を盗んだり、プレゼントのお礼に万引きしたたまごっちをやろうとする。高校生の頃に自分に好意を持つ男の子と母の内縁の夫を殺害、死体を線路に置いて自殺に見せかける。先天性の病気を持つ妹を介護疲れで殺害。本気で愛し合った彼からプロポーズされると、過去がバレるからと、突然の失踪‼️物語はその彼が市子を捜し続ける過程を描きながら、市子の過去が次第に明らかになるという構成‼️実はこの市子というキャラの人間形成は、両親の離婚のゴタゴタで出生届が出されず、戸籍が無いという事実がある‼️それで寝たきりの妹・月子に成りすましたりする‼️加えて母や母の内縁の夫との人間関係のもつれがバックグラウンドにある‼️それを踏まえれば、素晴らしい物語で、傑作になったかもしれない‼️しかし母や内縁の夫との人間関係や、妹の介護で心身ともに疲れ果てた、みたいな描写、シーンがないため、市子の行動に共感できないし、説得力も全くない‼️その辺の描写がきちんと出来ていれば、傑作になったかもしれないのに惜しいですね‼️そもそも戸籍の問題もオカシイ‼️いくら出生届を出していないからといって、寝たきりの妹に成りすまして生きていこうなんて決断するか?罰金はあるかもしれませんが、フツー後から届け出るでしょ⁉️意味不明ですね‼️でも杉咲花ちゃんにはまったく罪は無い‼️この作品での彼女の演技は素晴らしかったと思います‼️演出と脚本構成に難アリですね‼️
そこにある危機
なるほど
評判が良かったので期待していた分、なるほど、で終わった感じ。
社会派と言うよりも、
サスペンス、いやファンタジーか???
市子の今へ至る生い立ち、
それは、あの母と、その周りの社会環境なんだろうけど、
社会派ドラマとして私たちに何かを訴えることをテーマとするなら、そこをもう少し深く描いて欲しかったかな。
だから、終始何故?がつきまとっていた。
ただ、サスペンスとしては、面白かったし、
何にせよ、評判通り杉咲花さんの熱演には拍手です。
お母さん役の中村ゆりも、彼氏役の若葉竜也も良かったです。
ただ、ラストに繋げるためなのか、自殺願望の彼女が唐突に現れたのは、???でした。
そこからの三人の展開も、なんだか、あっけなかったというか…。
でも、人間なんて、そんなものなのかしらねぇ…。
んーー期待し過ぎたか⁈
鼻歌
川辺市子とは何者なのか?
失踪した市子の身辺を聞き込みをしていく。
そこには、そのように生きてきた市子の証が
浮かび上がってくる。
徐々に重くなっていく終盤。
無い戸籍に心揺さぶられる。そんな人生だったとは。
市子の生きる社会に問いかける社会問題。
引き返せない現実が切なすぎる。
杉咲花さんの静かな演技が素晴らしい。
ケーキやガリガリ君の食べ方も。
あの笑顔と話し方が魔性の女を
感じる。そこに引き込まれてくよね。
上手だなぁ。
『普通に生きたいだけ』…そうだよね。
最後の鼻歌しながらの歩きは
色々な感情が渦巻いてしまった。
現在と過去の交錯が多過ぎる
人気舞台を映画化したヒューマンドラマで一人の女性の壮絶な人生を描いているストーリー。現在と過去が交錯しながら進んでいく展開ですが、交錯する頻度が多過ぎる印象で全く共感出来なかった。
それでも主演の杉咲花は今や誰もが認める実力派女優であり、今回も彼女の演技が素晴らしく引き込まれた。
2023-209
演出以外はとても良い
役者の演技は良い。
カメラワークも良い。
特に美術部のお仕事が素晴らしい。
大まかなプロットも興味深く面白い。
しかし肝心の演出が正直残念だった。
以下、次回作に期待を込める意味で忌憚なくコメントします。
大きく気になったのは以下の2点。
①演出の方向性がバラバラ
社会課題を取り入れたストーリーと、ドグマ95のようなドキュメンタルなカメラワークの相性はとても良い。ならばストーリーのドキュメント性ももっと高めるべきだと思う。元々は舞台の作品のようだが、人々の関係も舞台のまま持ってきてしまっ他のか、カメラワークの狙いと乖離してしまっている。その人とその人がその場所に一緒にいるのはおかしいだろ、と観ながらツッコミを入れざるを得なかった。舞台のままのストーリーを大切にしたいなら、カメラワークはここまでドキュメンタルにするべきではない。もし予算やスケジュールの都合でドキュメンタルな撮影になったのなら、脚本も見直すべきだと思う。それと、ドローンショットは他のカメラワークの狙いから外れているので要らない。ただ「ドローン撮影をやりたかった」ようにしか見えなかった。
②音をもっと大切にして欲しい
一番ストーリーに没頭出来なかった理由は音声の扱いである。人物の対話シーンで、Aさんの画のときにBさんの声が入るが、その声がマイクから遠すぎて聞き取りづらい。同録スタッフいなかったのかな?こういうところで、幻想の映画の世界に浸っていたのに、あ、これは作り物なんだよねって一気に覚めちゃうから、最低限の音の設計はしっかりやって欲しい。映画という夢の世界に没頭させてください。
上手く演出すればラース・フォン・トリアーの作品みたいになりそうなストーリーなだけに、惜しい作品だなと思いました。次回作に期待しております。
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