「杉咲花の熱量」市子 Film_Montageさんの映画レビュー(感想・評価)
杉咲花の熱量
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撮影も脚本も構成もとてもバランス良く出来た作品だと思う。
一緒に暮らしていた女性が突如失踪して、その行方を追う恋人の物語。
彼女の過去が徐々に詳らかになり、彼女の背負ってきたもの、人生を知っていく。
この作品の見どころはなんといっても主役の杉咲花の芝居だろう。
感情を押し殺した芝居と溢れ出す所のギャップは惹きつけられるものがある。
これまでの男性にとって、どこか放って置けないオーラと魅力を、表情と佇まいだけで表現する彼女の芝居は凄まじいものがあった。
無戸籍が故に難病の妹の戸籍で学校に通い、夢も希望もなく、身勝手な大人たちに巻き込まれていく。
好きになっても家庭の事は打ち明けられず、夢を持っても上手くいかない。自分の名前さえも言えない少女時代は人格形成において致命的だろう。
精神がおかしくなっても無理はない。
最後は、自殺願望のある自分に似た背格好の女性と、自分を慕っている同級生を自殺に見せかけ、死んだ女性の身分証で新たな人生を生きていくのだろう。
彼女の終着点はどこなのか、どうしたいのか、行き着く先を知りたいと思った。
何人も殺してしまった彼女に平安はないのかもしれないが、捕まるのか、逃げ続けるのか、また誰かと暮らすのか、納得感が欲しいと個人的に思いました。
余韻は良いんだけどね。
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