「脚本と杉咲花の好演が光る作品」市子 Toruさんの映画レビュー(感想・評価)
脚本と杉咲花の好演が光る作品
そろそろ終映してしまう思い、遅ればせながら鑑賞。
戸田彬弘監督自らが主宰する劇団の戯曲をベースとした作品。
3年間共に暮らした恋人の前から突然消える市子。市子の行方を追う中、画面では様々な時制で、彼女の持つ過去を辿り、取り巻く過酷な環境を描きながら、ストーリーは展開していく。
壮絶な境遇を生きた市子という女性を、主演の杉咲花が見事に演じ切り、その表情や話し方から、誰も掴みきれない市子という存在、その生き様を形作っていく。
重いストーリーではあるが、すべての役者がしっかり演じ、実際にある社会問題を多面的に取り上げている。
脚本とキャスティングの良さに、市子を取り巻く生活環境の演出、その空気感を肌身に感じて、2時間集中を切らすことなく観ることが出来た。
観る者にとって、取り方や感じ方が異なるという、映画として完成度が高い作品。
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