「無邪気な車好き「ピエロくん」。」フェラーリ ガバチョさんの映画レビュー(感想・評価)
無邪気な車好き「ピエロくん」。
フェラーリが人の名前だと初めて知った。「トヨタ」みたいなもんか。創始者エンツィオのレースと車づくりにかける情熱みたいなものが伝わってくる。一方で最高の車を作ることの代償として「孤独」を抱えているように見える。心が安らぐ場を愛人母子との生活に求めるのも分かる気がする。レースは元々命がけの仕事であるが、その真剣勝負の緊張感は想像するしかない。レーサーとのドライな関係や、「俺の車に乗ったら、命よりも勝つことだけを考えろ」みたいなセリフに現実感がある。
私生活と会社経営に問題を抱えて、その思いがすべて「ミッレミリア」のレースに集約しているようだ。映像面では、1950年代のレースを見事に再現している(知らんけど)。爆走するレースカーの迫力にはドキドキさせられる。それにしても車体自体やレーサーを守る安全設計はどうなっているのかと疑問が浮かぶ。いやそれよりも交通規制や観客の安全対策が大丈夫なのかとドキドキする。そして不幸な事故は起こってしまう。
エンツィオの「孤高」さが作品全体に際立っている。それが周囲との軋轢にもつながっているが、息子ピエロとの関係には何かしら明るい未来も感じさせてくれるそんな映画でした。
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