「イタリア語で演じて欲しい気もする」フェラーリ たあちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
イタリア語で演じて欲しい気もする
フェラーリの創始者エンツォの実話をベースに1957年が最後の開催となったミッレミリアという耐久レースをクライマックスとするわずか3か月を過不足なく描いた脚本が素晴らしくアダム・ドライバーと奥さん役のペネロペ・クルスがどちらも単純な芝居では到底表現できぬシーンごとに人間がまるで変わるかのようなコンプレックスを持った多面性を見事に演じておりこの二人が画面に登場するだけでヒリヒリするほど見ごたえがあった。4年前公開の1966年のル・マンを描いた「フォードvsフェラーリ」もすごく面白かったけれどそこに至る絶対王者フェラーリがいかに狂気を孕んだ脆く狡く危うい男であったかを重厚に描く本作は全く違う方向に突き抜けていてまぎれもない傑作。名画座で2本立てのプログラムを組んで欲しいものだ。
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