「フェラーリは赤い。血も、トマトも、ワインも赤い。」フェラーリ きりんさんの映画レビュー(感想・評価)
フェラーリは赤い。血も、トマトも、ワインも赤い。
赤い車ばかり走って、何が何だかわからなくなった皆さまへ、
フェラーリ、ランチア、フィアット、アルファロメオ、そしてマセラッティです。
どれもイタリア車でしたから、みんな赤くて見分けがつかなかったですねー(笑)
フェラーリのファクトリーカラーはROSSO =赤です。
そしてあのレースの参加国=「イタリア」としての国別ナショナル・カラーも赤なのです。
かつて「ミッレミリア・レース」で、欧州が国籍別の自動車レースを開催した際に、イタリア🇮🇹からの出場車に運営側から割り当てられた識別の色が「赤」。=ナショナル・カラーだったのです。
で、開催地が当地イタリアなのですから、勢い、赤い車ばっかり走ったという訳です。
フェラーリと云えば、誰しも赤い車を思い出しますが、
あのミッレミリア・レースにおいて、
英国車は緑、例えばジャガーやオースチン。
ドイツは銀、例えばメルセデス。
フランスは青でした。ルノー・アルピーヌなど。
故にいまだにそのカラーリングがメーカーごとの「フラグシップ・イメージカラー」として残っているという訳ですね。
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フェラーリの創業者エンツォ・フェラーリ氏は、元々はイタリアのスポーツカーメーカーの名門「アルファロメオ」のテストドライバーでした。
(劇中ラウラが乗っていたクリーム色のセダンはアルファロメオだった)。
そこから身を興してエンツォは自分のファクトリーを作ったのです。
映画は、エンツォが、古巣のアルファロメオを退社して身を興し、今では独立して、ファクトリーの責任あるオーナーとして奮闘する様子を見せます。
物語はそこからのスタートでした。
・会社の経営とレースの成績、そして
・女性関係に難儀するというストーリーでした。
でも、エンツォの前身時代、つまり「本人がレースドライバーであった時代」については、この映画では取り上げられていなかったので少し残念でした。
僕はそのあたりからのストーリーがとても観たかったものでね。
アダム・ドライバーは、今回は役柄としては弱くて物足りないですね。お坊ちゃまの財閥のオーナーになってしまっているから。
「フォードVSフェラーリ」で見せた一癖も二癖もあるエンツォの横っ面が見たかった。
⇒川谷拓三似の目が血走った俳優さんが演じていました。
経営難を乗り越えるためには企業統合するのは、昔も今も一緒です。
策士のエンツォは「偽の新聞記事」を書かせてフィアットグループの支援を勝ち取り、その傘下に入っていきます。
「ライバル会社ではあっても、なんとしてでも盟友フェラーリを米国資本なんぞには渡したくない」というイタリア魂の、支え合いのシーンでした。
レースのシーン、
イタリアのあの黄色い空気、空の色、わかる!
そうですね、
僕がいつの日か乗ってみたいのは「アルファロメオ8cのオープンカー」。
搭載されるエンジンは、”エンツォが実家に里帰り”した形になるフェラーリ社からの供給で、V8自然吸気。
車体の組み立てはトリノのマセラッティの工場で行われています。
もうそれだけで垂涎ものです。
僕が7年間乗ったアルファロメオ(916スパイダー)は、アメリカのクライスラーのエンジンを積んでしまうギリギリ直前のモデルでしたから、生粋のイタリア製ブッソーネ・エンジンでした。
滑り込みの幸福感でした。
あの7年で僕はイタリア車の虜になってしまい、あれを手放して以来、僕はずっと車なしの生活です。もう他の車には気持ちがまったく動かないので。
剛腕なペネロペ・クルス(ラウラ)は共同経営者、
控え目なシャイリーン・ウッドリー(リナ)は穏やかな愛人。
これ、
ど•ち•ら•も•イ•タ•リ•ア•女でした。
エンツォは生涯浮気などせずに二人のイタリア女だけを愛し抜き、イタリアのスポーツカーだけを求め続けた。
そこが、実に面白かったですね。
コメントありがとうございます。
車が赤ばっかりでなんで、と思っていましたがそういうことですか。
ペネロペ・クルスの歩き方ですが、「パラレル・マザーズ」(妊婦じゃないシーン)見たときも「キレイなのにあの歩き方…」と意外に思った記憶があり、彼女のくせもある気がします。
コメントありがとうございます。
916スパイダーと7年も過ごしたなんて羨ましいです。
ナショナルカラーの解説は、とても参考になりました。イタリア人は赤が大好きだとばかり思ってました。(笑)
コメントありがとうございます。
暴れ馬や猛牛をエンブレムにしてる所からもイタリアンって・・スーパーカー世代の勝手なイメージはランボルギーニ黄色、ランチャ黄色、マセラティ黒か白って感じ。
こんにちは。
きりんさんのレビューが素晴らしく、よくご存知なので、夫にも読み聞かせてしまいました。
拝読した上で鑑賞したらもっと面白かったと思います。
車なし生活の部分、なんだかとても心に残ります。
今晩は。
昼に温かいコメントを頂いており有難うございます。
春に身体が異常に怠くなり、かかりつけ医に行ったらナントγ―GTPが2500もあって(基準値はMax50)、即入院。
で、三か月禁酒したら医者もビックリの血液数値大改善。面白いので禁酒続行を決めました。アル中でない事も分かったので・・。酒は魔物です・・。では。
トリノはなんでも面白く素敵で美味しかったです
1)モーレ・アントネリアーナに入ってる映画博物館(夢のよう🎥)
2)サヴォイア家の王宮と美術館(死ぬほど広くて金持ち!)
3)エジプト博物館(ミイラの山盛り!)
4)萌える「自動車博物館」(メルセデスの博物館とは構成がまるで異なり独伊の違いを感じました。ドイツではBMW博物館よりメルセデスの方がずっといいです!
きりんさん、トリノはほんの五日間しか居なくて教会には行かなかったので聖骸布が公開されてるかどうか残念ながらわかりません。トリノはとても気に入ったのでまた行きたいと思ってます
「フォードVSフェラーリ」では、エンツォは川谷拓三似の、目が血走った男でした。
アダム・ドライバーさんは僕も大好きな俳優さんですが、ご自身ハングリー映画は苦手な性格かもね。
きりんさん、レビューとコメントありがとうございました!訳わからず興奮してました。メルセデスがシルバー、しかわからず、赤いの全部フェラーリなのか?ほど無知なまま見てました。エンジン音の爆音いいね!と車好きの人に言ったら、あれはミュージックと言いますとたしなめられました~
ちなみに、三菱ふそうトラックのエンジンは現在ではメルセデス・ベンツ社製、
日産ディーゼルのUDトラックのエンジンはスウェーデンのボルボ社製です。
そしてあの英国の誇りロールスロイスでさえドイツBMWの12気筒が搭載されています。
寂しいですが、もうこれは時代の趨勢ですね。