「レースよりも心情に没入感」フェラーリ 吠えない狼さんの映画レビュー(感想・評価)
レースよりも心情に没入感
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マイケル・マン久々の劇場映画ということで上がりすぎた期待を、「マイアミ・バイス」「ブラックハット」「TOKYO VICE」という近年の作品群で思い出されるガッカリ感でクールダウンさせて臨んだのが良かったのか、満足度は割と高めでした。
撮影も綺麗だし、音響も素晴らしい。様々なアングルで見せる序盤のテストレースや終盤のレースのスピード感とレーサーとの一体感は劇場ならでは。
しかしそれを軽く凌駕して没入感を与えてくれたのはアダム・ドライバーとペネロペ・クルスの圧倒的演技力に裏打ちされたキャラクターの心情。特にペネロペ・クルスが良くて、序盤の亡き息子の墓参りで見せる万感の想いを込めた表情なんて物凄く胸に迫るものがありました。
同監督の同じ伝記物「ALI」とは異なり、短期間の出来事を描いているため密度も濃い。映画的盛り上がりはそこまで無いものの、見応えある作品なのは間違いないと思いました。
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