「エンツォには共感できず・・・」フェラーリ ひでちゃぴんさんの映画レビュー(感想・評価)
エンツォには共感できず・・・
エンツォ・フェラーリという人物の生き様を描いた作品です。
共同経営を始めた奥さんを裏切り、愛人及び愛人との子どものところへ足げく通うエンツォ。
こういう倫理観始め、奥さんとお母さんへの扱いが酷く、
もう本当にレースのことしか頭にない人物なんだなと感じました。
そのことを表す顕著なセリフが「レースをするために車を売っている」です。
もう、レース狂というべきクレイジーさなわけです。
したがい、全く共感はできず、終始客観的に鑑賞しました。
とはいえ、ひょっとすると奥さんとの息子、ディーノが亡くなった1年後から
物語は描かれているので、ディーノの死が、エンツォをそうさせているのかもしれないとも思いました。
ディーノの死が夫婦の亀裂にもつながったのかな・・・と。
レースシーン始め、車がFeaturingされるシーンは、
ギアチェンジの動作やエンジン音、タイヤのグリップする音など、
実に臨場感にあふれていて、魅入ってしまいました。車好きにはたまりません。
まさにフェラーリの車の魅力全開といったところです。
当時はマセラティがライバルだったんですね。
このあたりのレースバトルも面白かったです。
俳優も素晴らしく、主人公エンツォを演じたアダム・ドライバーはもとより
奥さん役のペネロペ・クルスが迫真の演技をしており、本作の俳優陣の中では
もっとも迫力のある演技をしていました。
今後も要注目ですね。
ラスト近くの事故のシーンは胸が痛みました。
驚くほど冷静に、しかしながらあっさりと人が亡くなっていく様は
本当に恐ろしかったです。
そりゃレーサーもやめたくなるのも道理ですが
それでもレースを続ける(今もなお)フェラーリはすごいですね。
レース映画ではなく、ヒューマンドラマではありますが、
エンツォ・フェラーリという人を見事に描き出した作品だと思います。