「【”フェラーリ家の血と光と影”「ミッレミリア」でのマセラティとの熾烈なレースシーンと起きた悲劇。そしてフェラーリ家創業夫婦の愛憎を描いた作品。ペネロペ・クルスのやつれた顔の演技が物凄い作品でもある。】」フェラーリ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”フェラーリ家の血と光と影”「ミッレミリア」でのマセラティとの熾烈なレースシーンと起きた悲劇。そしてフェラーリ家創業夫婦の愛憎を描いた作品。ペネロペ・クルスのやつれた顔の演技が物凄い作品でもある。】
■今作は、1950年代後半に次々に起きたエンツォ・フェラーリの身に降りかかった数々の不幸を描いている。
だが、驚くのは、エンツォ・フェラーリはその不幸に対し、苦悩の表情を見せながらも果敢に立ち向かって行くし、息子ディーノを亡くした事で冷え切っていたフェラーリの共同経営者であった妻ラウラが、フェラーリ存亡の危機の際に取った行動である。
そんな、エンツォ・フェラーリをアダム・ドライヴァーが抑制しつつも貫禄ある演技で魅せ、更にはラウラをペネロペ・クルスが狂気性さえ感じる表情で演じ切っているのである。
エンツォ・フェラーリは、妻に内緒で愛人リナ・ラルディ(シャイリーン・ウッドリー)との間に幼き息子ピエロを設け、自宅と愛人宅を行き来しつつ、社業でも社長として敏腕を振るっている。
だが、ライバルのフォード、フィアットなど量産車を売り上げる会社の台頭により、フェラーリの車は年間100台も売れなく、経営不振にも陥っている。
ー ご存じのように、企業方針としてフェラーリは少量生産体制を貫いている。尚、この辺りの企業方針の違いは、「フォードVSフェラーリ」で詳しく語られている。ー
そんな中、エンツォ・フェラーリは起死回生の一作として、公道レース「ミッレミリア」での優勝を目指し、ドライバーを募り参戦するのである。
◆感想
・1950年代のイタリアの法制度の関係(制度上、離婚は出来なかった。)もあろうが、ラウラが愛人リナ・ラルディ宅から朝帰りするエンツォ・フェラーリに向けて、拳銃を撃ち放つシーンにまずは度肝を抜かれる。
この時のラウラを演じるペネロペ・クルスの眼の下に隈を作りながら”外に泊まるのは良いが、珈琲の時間までに戻れと言っているでしょう!”と言い、拳銃を撃つ姿が凄いし、怖すぎる。こんな、ペネロペ・クルスは観たことが無い。
・更に驚くのはアダム・ドライヴァー演じるエンツォ・フェラーリの胆の据わり方である。会社も結婚も破綻寸前。リナからはピエロの認知も迫られつつ、全てレースで挽回すべく没入する姿である。普通はメンタルがやられそうなものだが、会議の際もコーナーで競っている時にブレーキを踏んだドライヴァーを首にするは、その化け物の様な精神力には驚嘆する。
・一番凍り付いたのは、勿論「ミッレミリア」で、アルフォンソ・デ・ポルターゴが運転するフェラーリ335Sが、道路上の異物を踏んだために吹っ飛び、子供を含む観客9名を薙ぎ倒すシーンである。
公道レースの恐ろしさを際立たせるシーンであるし、エンツォ・フェラーリが更に追い込まれる原因となったシーンでもある。
■だが、ここでラウラは窮地に立ったエンツォ・フェラーリの為に、自身が保有する株を現金化して彼を助けるのである。
このシーンのペネロペ・クルスも凄かった。
自身の血を引く息子ディーノ亡きあとに、彼女が守るモノは夫と立ち上げたフェラーリ社のみだったのである。その決然とした覚悟の表情が凄い。
又、終盤にエンツォ・フェラーリが、初めてピエロをディーノが眠る霊園に誘うシーンも、心に沁みるのである。
<今作は、1950年代後半のフェラーリ家の危機を描いた作品である。
共同経営者でもあったエンツォ・フェラーリと妻ラウラの間の冷戦や、共闘する姿を演じるアダム・ドライヴァーとペネロペ・クルスのひりつくような駆け引きと愛憎に引き込まれる作品でもあるのである。>
こちらこそいつもありがとうございます。
貴重なお話を聞かせていただきました。
実はレビュー書く時、NOBUさんのお勤め先ともう1社が頭をよぎりましたよ~。
ではまた。
禁酒なさっているとはびっくり(笑)
人の体は部品交換が出来ないから要注意ですよ。いかに現在のパーツを壊さずに大切に使うか です。
うちのメカニックは言ってました「車に寿命なんてありませんよ」って。技術と自信に満ちた惚れ惚れする名言ですが、これ、残念ながら人間には当てはまらないんだなぁ。
ご自愛下さい。
コメントありがとうございます☺️
「フォードvsフェラーリ」は企業体制について描かれていたのに対し、本作は創業者であるエンツォ・フェラーリを主人公にフェラーリ社が描かれていたため、彼の生き様だとか信念だとかが知れて、かなり面白かったです😁 私も彼は勝ったと思いました。それも、彼自身の力で。
ペネロペ・クルス、めちゃくちゃ怖かったですね...笑
私もなんとか頭を切り替えてみられたのでそれなりに楽しめたました。
2ヶ月!素晴らし覚悟ですね!
断酒でそんなに良くなるってこれまた凄い!
まだ私は切羽詰まるものがなく断酒する覚悟もありませんがw
お互い暑さに負けず頑張りましょうね!
ちなみに今日は4館5本の予定です。