「受けた衝撃そのものに最大の価値があるのかもしれません」悪は存在しない よしてさんの映画レビュー(感想・評価)
受けた衝撃そのものに最大の価値があるのかもしれません
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見る前から何かを考えることを強いてくるタイトル。
終始見せられる不穏なメタファーや心を逆撫でする音楽。
わかりやすい悪役が現れて、ざわつくものの、それすら肩透かしを喰らわせる展開。
「どうやって物語の着地させるのだろう……」と思いはじめたところで顕在化する悲劇。
捜索の果てに描かれる再会は絶望的なもので、それはこれまで紡がれてきた伏線をすべて悪い方に帰結させるものであり、この物語を終わらせるに十分なものでした。
ただ、そこには一人の異物が存在し、我々の予想を覆して、主人公は物語を美しく終わらせるためにその異物を排除しました……。
これが自分なりの解釈です。
映画を見終わって、「何が起きたんだ?」という気持ちと自分の中で合理的に解釈して正解を見つけようという理性がぶつかり合い、興奮が覚めません。
おそらくこの衝撃的な体験こそがこの映画の持つ意味であり、その前ではラストをどう解釈するか、というよりも解釈に至る過程こそに意味がある作品なのだと思いました。
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