「気持ちがザワザワする」悪は存在しない nakadakanさんの映画レビュー(感想・評価)
気持ちがザワザワする
山の自然の美しさや厳かさに合わせ、美しさの中にどこか不穏感のある音楽が印象的でした。
題名からのぼんやりとしたイメージもあり、不穏さを掻き立てる音楽もあり、何か不吉なことが起こるのかと終始ザワザワするような気持ちに。
山での穏やかな暮らし、都会の人間との交流など、一見自然と調和する生活を尊ぶようなストーリーにも見えましたが、音楽のためかどこか不穏感が拭えず。
都会から来た男が山の暮らしに傾倒する様子は、ただの現実逃避の薄っぺらい感じに見えますし。
死の気配を漂わせる描写もあり、自然の中での生活に幻想を抱くことを拒むようにも見えました。
ラストは、率直に訳が分からず。
え?という疑問と、子供がこういう結末になるのは避けて欲しかったが…、という感じです。
主人公は何故あんな行動に?と、モヤモヤと考えさせられます。
あれは都会の男に見られてはいけない場面だった、ということなのかとか。
鹿は神聖な動物というのを聞いたことがあるので、子供と神が遭遇している的な神聖な場面であったとか。
自然の摂理に従って死を受け入れるべきであり、それを邪魔してはならないとか。
又は、子供の命が神の元へ向かおうとしていたので、とっさに男の命を代わりに差し出そうとした、とか。
子供の命は救おうとするだろうという固定観念から、こんな風な考えも湧いてきましたが。
又は逆に、主人公は子供の迎えを忘れたりなど子供に対して素っ気ない様子もあったので、子供の死を望んだ、ということなのかとか。
題名の意味も、自然の摂理の中に悪は存在しない、悪も善もなく、死も自然の営みの一部である、というような意味合いなのだろうかとか。
と、色々と考えてもよく分からないので、また映画評や考察などを読んでみたいと思います。