劇場公開日 2024年4月12日

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「プレスリーの元妻プリシラの回想録(本人監修による)」プリシラ 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 プレスリーの元妻プリシラの回想録(本人監修による)

2025年8月12日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

プリシラさんが脚本の一人にクレジットされている時点で、
プリシラさんの意向に沿った内容だと思うのが普通でしょうか。
そして原作は1986年に41歳のプリシラさんが書いた回想録
「私のエルヴィス」を元にしています。
世界的大スターの幼な妻とプレスリーの家庭生活を
垣間見ることは出来まる点では、いいかも。
映画は、現在80歳で存命のプリシラさんの、
14歳から28歳までの14年間を描いた映画です。
1959年。
プリシラが14歳でエルヴィスに身染められ、交際・同居を経て、
1967年のブリシラ22歳でやっとゴールイン、結婚式を挙げます。

エルヴィスは気の長い男で、結婚までに8年近い年月をかける、
女に不自由しないスターだからこそ、可能なことかもですね。
待つ方のプリシラさんの、エルヴィスの妻になると言う固い決意にも
驚くばかりです。その位の忍耐力が無ければシーデレラガールには
成れないと、知る映画でもありました。
22歳でやっとのことでゴールインして、
9ヶ月後の出産。ヤンママになったプリシラにエルヴィスは
急激に興味を失った感じが匂います。

エルヴィスは映画共演者のアン・マーグレットと1964年
「ラスベガス万歳」と言うミュージカル・コメディに出演。
エルヴィスはその後も共演者と次々と浮名を流します。
プリシラとの同居をしつつエルヴィスは結婚式を挙げるまで、
決してKiss以上のことをしません。
そしてプリシラは共演者とのロマンスの噂をタブロイド誌で見るたびに
嫉妬に駆られます。
ナンシー・シナトラ(有名なフランク・シナトラの娘)
ナンシー・シナトラとは1968年「スピードウェイ」で共演。
エルヴィスは当然ながらフランク・シナトラを尊敬。
彼のショーで初めて『ラブミー・テンダー」を熱唱したのです。
出産後のプリシラは映画撮影やツアーで留守がちのエルヴィスに
不安を募らせて、彼を独占出来ない辛さを、ショッピングや
お洒落に打ち込むことって紛らすのでした。
しかしプリシラは1973年に28歳で遂に離婚を決意して実行します。
自らの意志で6年間のすれ違いの結婚生活に終止符を打ちます。
14歳の「おチビちゃん」は母となり、ひとりの大人の女性で自我を
持ち女優としても活躍始めたのです。
♠︎1980年から1990年代には、「裸の銃を持つ男」シリーズで、
コメディエンヌとしての才能を発揮したし、
テレビドラマ「ダラス」で女優として広く知られるようになる。
♠︎プリシラさんは「グレイスランド」を経営して長くCEOとして
実業家としてキャリアの方が有名です。

グレイスランドは映画「プリシラ」の舞台とも言えます。
プリシラが14年間も生活した場所です。
プリシラ・プレスリーはどう言う契約だったのか知りませんが、
プレスリーの死後、音楽ファンの聖地となると共に、今で言う
テーマパークとして「グレイスランド」を訪れるファンに解放して
長い間大きな収益を上げるのです。
「グレイスランド」はエルヴィスが1952年に購入して
25年間暮らした広大な邸宅のことです。
テネシー州メンフィスにあり、南部の金持ちが住むと一目で分かる
白亜の白い柱が特徴の邸宅でコロニアル様式で建てられています。

「グレイスランド」は貧しく育ったエルヴィの成功のシンボル。
贅を尽くした邸宅をツァーで見学が出来て、
彼のキャリアを物語る展示、
彼が収集した車の博物館、
プライベートジェット機、オリジナルグッズの並ぶ
ギフトショップやレストランなど見どころがたくさんあります。
離婚してもプリシラさんはプリシラ・プレスリーの名前を名乗り
膨大な利益を上げていることになりますね。
彼女の結婚式の写真を見ても勝ち気で賢明で頭の良さが
滲み出ています。
★話しはそれますが、エルヴィスと離婚後のプリシラさんの
男性遍歴の華やかさにも驚きます。
プレスリーの束縛から放たれて第二の人生は実り多かったのでは
ないでしょうか?
男性遍歴の多さは娘のリサを上回り、金目当てで近付く男性の多かった
リサより、小物の遊び相手が多い印象です。
プリシラは再婚してプレスリーの名前を変える気が無かったのでしょう。
ある意味でストイックだったプレスリーの何倍も人生を謳歌
しているようですね。

この映画を監督したソフィア・コッポラは言わずと知れた
フランシス・フォード・コッポラの娘。
映画監督、プロデューサー、脚本家とファッション・デザイナーでもある。
作品を4本見ていますが、個人的には「ロスト・イン・トランスレーション」
が一番好き。
本作でも、主演のケイリー・スピーニーの爪にマニュキアを塗る・・・
目とまつ毛の大写し、などをロックバンド「フェニックス」の、
音楽に乗せて異常な度アップに、作家性と個性を発揮する。
スピーニーがとても小柄で155センチ)なのがプレスリー役の
ジェイコブ・エロルディの身長差、
182センチとの27センチ差なのですが、それ以上に見た目の差が大きく、
まるで子供を相手にする大男のパパ・・・
そんなイメージで子供が子供を産んだような違和感が拭えないのでした。
(実際は23歳の出産だが、リサを抱くプリシラは大きな赤子を持て余しる
ように見えます)
★プリシラのファッションは1960年代から1970年代の流行を
細かく再現している。
特に黒髪に染めるようにエルヴィスは命令しているし、
逆毛を立てて大きく膨らませたヘアスタイル・・・
ヘアサロンのお釜のような加温器が珍しい光景だ。
(弘田三枝子や奥村チヨなどの若い頃とほぼ同時期なので、その頃を
思い出すととても懐かしい)
彼女たちの活躍期間はプレスリーの絶頂期とも重なるのですね。
ケイリー・スピーニーの無垢な少女期の一途に思い詰める姿、
しかしプレスリーと結婚する意志は硬く
親を説得する所、エルヴィスの留守に大家族のグレイスランドで
それなりに自分の居場所を見つけて、7年間も結婚を待つ強さは
並みの女の子には出来ない強さである。
そのあたりのスピーニーの演技が冴える。
私は『エイリアン・ロムルス」次いで「シビル・ウォー」を本作より先に
観たのですが、演技の上手さは「シビル・ウォー」で実感しました。
先輩カメラマンのリー(キルスティン・ダンスト)の好意を利用して、結局、
リーを踏み台にしてのしあがる若手カメラマン役。
強かさが際立っていました。

★ドラックとプリシラ。
はじめてエルヴィスの部屋に入ったプリシラ。
帰りがけにエルヴィスは覚醒剤らしき一粒をプリシラに渡すシーンが
印象的。
「学校で眠くなったら飲んでごらん。」そう言うエルヴィス。
そしてある日はベットに横になりドラッグを飲まされて2日間
死んだように眠るプリシラ。
「目を覚まさないかと心配したよ」とエルヴィス。
多少は懲りたかもしれません。
★卒業への拘り。
エルヴィスはプリシラと同棲する時のプリシラの父親との約束を
頑なに守ります。
カトリック系のハイスクールに編入。
プリシラはエルヴィスの恋人としての好奇の目に晒されるのです、
マスコミの注目を集めるのですが、案外平気そうに見えるのは、
演出が平坦でプリシラの内面に迫る一面が全くないのも、
この映画の特徴。

♠︎映画「エルヴィス」が彼の生い立ちやルーツ、
やりたい方向性を封じられた葛藤、
黒人音楽からの影響・・・マネージャーの大佐の搾取と束縛。
と内面にも迫ったのとは全く対照的で、
スターの夫婦生活を
お抱えカメラマンが写した動く写真集(プライベート・ビデオ)と
大差ない仕上がり。
ミーハーの私はそれなりに興味深くて、それなりに面白かったです。
(ただエルヴィスの歌声の好きな私にとっては、
(ヒット曲も歌声もほとんど聴けないのは、とても残念でした)
★★☆
最後に。
プリシラさんは【プレスリー・ブランド】を守り通す
しっかり者の女性だった。
それは確かだと思います。

琥珀糖
映画LOVEさんのコメント
2025年8月16日

今晩は^ ^
プリシラ観ました♬ 出会い方は仕方ないですが…上官の未成年な娘にΣ(-᷅_-᷄๑)
彼女本人が選んだ事でしたが…親目線で納得して良いのか悩み所でした。我慢をさせ続けたエルビスは見方が変わりました…それにしてもしっかりした女性で安心出来ました‼︎

映画LOVE
小町さんのコメント
2025年8月12日

共感ありがとうございます✨️
今回も琥珀糖さんのレビューには共感しまくりです😄

この前「聖地には蜘蛛が巣を張る」を観て琥珀糖さんのレビューに共感させていただきました😊
あの作品のレビューも共感しまくりでした😆

小町
Mr.C.B.2さんのコメント
2025年8月12日

共感どうもです。
4度の結婚歴があり、マイケル・ジャクソンとニコラス・ケイジ⇒これはプリシラでは無く、娘のリサ・マリー・プレスリーですよ。

Mr.C.B.2
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