「ケイリー・スピーニーは素晴らしいが」プリシラ kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
ケイリー・スピーニーは素晴らしいが
バズ・ラーマン監督の「エルヴィス」を観たのが一昨年前。本作は妻であるプリシラから見たエルヴィスの物語。エルヴィス・プレスリーの表裏を観る感じだ。ところが、本作では潔いくらいにエルヴィスの曲を使わない(権利の問題もあるのだろうが)。ソフィア・コッポラらしく、当時の音楽をふんだんに使った映像は、これはこれで気持ちいい作り。
中学生のプリシラに言い寄ってくるエルヴィスは正直少し気持ち悪い。のちのち結婚しなければ大問題になりかねない。それでもプリシラ視点の物語だから、大スターが自分のことを好きだと言ってくれる高揚感はわかるし、自分が支えてあげたいと思う気持ちも仕方ない。
ただプリシラ視点だから、自分好みに変えようとしたり、急に激昂するエルヴィスが描かれる。少しもマザコン気味なエルヴィスは、プリシラに母親を重ね神聖化したのかもしれない。大事にするのと愛することは似て非なるものってことだ。終わり方も結構唐突だし、女性の自立を描いた感じも薄め。ストーリー的にはやや不満が残るものだった。
それでもプリシラ役のケイリー・スピーニーが素晴らしいのでそこまで低い点数にはしなかった。中学生からの成長を演じきっていたのは見事。そしてエルヴィス役のジェイコブ・エロルディもいい。「エルヴィス」のオースティン・バトラーよりも似ていたし雰囲気がよかった。
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