「終始ゾッとする」プリシラ moroさんの映画レビュー(感想・評価)
終始ゾッとする
二人は恋に落ちているのか?本当に惹かれ合っているのか?と終始、疑念を抱きながら観ていました。
大人たちは無垢な少女を誘い出して、新しい遊び道具を与えるようにエルヴィスにあてがっているようにみえる。
「スーパースターとのプライベートな関係」を餌にして少女の無垢を食い物にしているようにみえる。
プリシラの両親に対する誠意もみえない。
成人するまでプラトニックだったかもしれないが、それはエルヴィスの自分本位な制約であって、プリシラを思いやる行動ではない。親密なスキンシップを求めるプリシラをはしたないと吐き捨てている。エルヴィスに捨てられたくない一心で、プリシラは不満を抑え込み、エルヴィス好みの振る舞いや装いをする。
エルヴィス一家はプリシラに友好的に見えるが、プリシラはエルヴィスの活動の事務すら手伝わせてもらえない。プリシラを社会から孤立させ、エルヴィスの支配下にあることを手助けしているようにみえる。
だけど、ときおり二人が遊んでいるとき、ローティーンの無邪気な少年少女がただ心を寄せ合うようにもみえる。
相反するものを抱え、不安定で壊れやすそうな危うさがある。
ずっといけないものをみているようなゾッとするような心地で観ていました。
プリシラ視点で描かれますが、移入するようではなく淡々とエピソードが展開されます。
幼い少女だったプリシラが、覚悟とプライドと苦悩をもってエルヴィスと生き、自立した女性に成熟していきます。
途中、本作を鑑賞したのは失敗だったかなぁとまで思いましたが、ラストまでみて、ようやく受け止められるような気がしました。
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