「クソしかない鳥の下に立つな」マエストロ その音楽と愛と ジョーさんの映画レビュー(感想・評価)
クソしかない鳥の下に立つな
愛ってなんだろうと考えると荒涼感にさいなまれる。けれど、夫婦愛ってなんだろうという問いかけはありでは?
そう思わせる天才マエストロ、バーンスタイン夫婦の愛の軌跡を描いた作品。
ふたりの壮絶な夫婦喧嘩のシーンが印象的だ。
ここまで妻に罵倒されるバーンスタインは、ただの身勝手でわがままな自己中の男。
特に、チリ生まれの妻が言う、「クソしかない鳥の下に立つな」というチリの格言が辛辣。
鳥はもちろんバーンスタイン。
ウソをつき続けて愛を偽り、難なく指揮する姿を見せて、聴く者がいかに下等か思い知らせたいだけ、あなたの真実は偽りで、自分だけ勇敢に見せて人の気力は吸い取る真実よ。
男もここまで言われたら、うーん完全にぐーの音も出ない。バーンスタインでなくても、男なら皆へこむ。
自分のいままでの人生観の全否定。
天才で同性愛者で世間ずれしたバースタインだから、言われてもしょうがないじゃなくって、夫婦ってそう
やって罵り合いながら、愛か破局かの壮絶なデッドヒートを演じる関係だってことだと思う。
男の奢りと女の興ざめという危うい均衡。でもそれが夫婦。
ブラッドリー・クーパーとキャリー・マリガンの絶妙な掛け合いが堪能できる。
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