「今明かされるレナード・バーンスタインの素顔」マエストロ その音楽と愛と 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0今明かされるレナード・バーンスタインの素顔

2023年12月24日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

アメリカが生んだ20世紀を代表する大指揮者
レナード・バーンスタインの伝記映画です。
カラヤンと並び称されるほどの大物指揮者です。
20代から60後半まで一人で演じ切ったブラッドリー・クーパー。
監督も勤めているが、その極似ぶりに驚き、彼以外のバーンスタイン役を
思いつかない程成り切っています。
バーンスタインの精力的でカリスマ性のある姿はクーパーと、
とても似通っています。
良く言えば、ブラッドリー・クーパーのバーンスタイン憑依演技・・
熱演にに尽きる映画。
逆に言えばドラマらしいドラマがかなり薄い映画でした。。
バーンスタインに同性愛傾向があった事と、
妻のフェリシア(ケリー・マリガン)が、
60代で乳癌に罹り闘病して、
バーンスタインが愛妻家ぶりを見せるシーン。
それ以外に山も坂も谷もエピソードも少ない平板さである。
晩年にも美青年には弱い人で、教え子の青年と熱いキスを交わす
シーンがある。
バーンスタインの同性愛嗜好など、知りたくなかったのが、
私の本音です。
バーンスタインさんは北海道ゆかりの人で、1980年にスタートした
札幌コンサートホールKitaraと芸術の森・野外ステージを拠点にして
世界各国の若手音楽家をオーディションで集めて養成講座を
夏の三週間開催されるPMF
(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)の
言い出しっぺで、第一回の総監督。
そしてそれを見ることなくバーンスタイン氏は亡くなったのです。
KitaraのPMFには毎年何回も行きました。
ヴァイオリンの五嶋みどりや弟の五嶋龍もゲストとして出演。
聴きに行きました。
ゲストのオーケストラも世界的な布陣でした。
23年経った今も開催されています。
バーンスタイン氏の遺産が日本に、北海道に、今も残って
息づいています。
ゆかりといえば世界的指揮者である佐渡裕氏の師匠としても、
日本では有名です。
「この一本でタバコはやめる」が口癖で、遂に肺癌で亡くなったのも
14歳から1日100本のヘビースモーカー・・・故のことですね。
映画でも殆どのシーンで煙草を手にしています。
一番の名演奏はエンディング映像でバーンスタインさんご本人の映像で
流れる、1973年、イーリー大聖堂でのバーンスタイン指揮、
ロンドン交響楽団演奏の「マーラーの交響曲第2番」
これぞクライマックス。
本当にダイナミック素晴らしい名演です。
大感動でした。
エンディングこそが一番の見所で聴きどころ。
身体全体の動きで楽員を鼓舞して乗せて実力以上を引き出す
「見せる指揮者」のお手本ですね。
レナード・バーンスタイン(1918年〜1990年)享年72歳。
フェリシアの死後は気落ちして後を追うように2年後には
後を追うように亡くなっています。
やはりフェリシアを深く愛していたし心の拠り所だったのですね。
バーンスタインの代名詞は「ウエストサイド物語」作曲者。
クラシック愛好家以外の世界の人々に愛されるミュージカルナンバー。
ジャズの要素も取り入れた現代的な名曲がズラリ。

バーンスタイン、その輝きは不滅です。

琥珀糖
パングロスさんのコメント
2024年3月28日

琥珀糖さん、再返信ありがとうございました。
らじるらじるの件ですが、「かけるクラシック」ではヒットしませんでした。失礼しました。
「×クラシック」で検索してみてくださいませ。

パングロス
パングロスさんのコメント
2024年3月27日

琥珀糖さん、拙レビューへのコメント、ありがとうございました。
小生もレニーファンなので、仰ることは全面的に共感いたします。
しかし、彼が博愛的なバイセクシュアルであることは生前から隠していなかったことも事実。
佐渡さんのお話とか、よく聞いてると、そんな話題もされることがありますよ。
ところで、3/24放送のNHKFMかけるクラシック、聴かれましたか? 『親愛なるレニー』の著者吉原真里さんゲストのレニー特集でした。本作や札幌の話題も出ました。感動的で小生、らじるらじる(1週間聴き放題です)で聴いて落涙が止まりませんでした。

パングロス
talismanさんのコメント
2023年12月24日

小樽のにしん御殿です。いかにも普請道楽の方のお家だけあって、細部まで凝っていてそれでいて品のある家屋でした

talisman
talismanさんのコメント
2023年12月24日

🔺コロナ前云々の上記は私の話です。父は23年前にまだ死ぬ年齢ではないのに亡くなってしまった

talisman
talismanさんのコメント
2023年12月24日

コロナ前は仕事で札幌に行って、時間見つけて市内の素敵な映画館で映画見たり、足をのばしてにしん御殿見に行ったり。父はよくにしん御殿や北前船の話(父にとっても誰かから聞いた昔話ですが)をしてくれました

talisman
talismanさんのコメント
2023年12月24日

琥珀糖さん、そうですね。バーンスタインへの若手育成の熱い思い、如何に若い人達がバーンスタインから影響を受けたかも映画で描いて欲しかった、そうですね。
私の亡き父は海産物関連の仕事をしていました。6月は昆布の値決めでいつも北海道へ。札幌もでしょうが、根室や釧路といった道東によく行っていたのだと思います。私の高校の修学旅行は北海道で寝台車→青函連絡船、その移動は今でも心に強く残っています

talisman
マサシさんのコメント
2023年12月24日

コメントありがとうございます。羨ましいの二乗です。朝比奈隆マエストロとは♥もう二度と聞けませんものね。
僕はサラ・ヴォーンとジョン・デンバーかなぁ。知ってる方はいらっしゃるとは思いますが。クラシックでは井上道義さんくらいですか。勿論、ご存命ですが。いずれにしても、朝比奈隆マエストロは良いなぁ。羨ましい。

マサシ
talismanさんのコメント
2023年12月24日

北海道とバーンスタイン、全く知りませんでした。素晴らしい指揮者、音楽家は必ず若手を育てていますね。本人映像のエンディングはクラシック音楽に疎い私でも感動しました。素敵なレビューを読ませていただきありがとうございます

talisman
マサシさんのコメント
2023年12月24日

五嶋みどりさんとバーンスタイン♥
羨ましい限りです。
確かにこの映画はストーリーじゃなくて、バーンスタインが生きているって感じでした。それだけで良いと思いました。比べようがありませんが、のだめカンタービレのちあきとシュトレーゼマンの演技が下手だなぁーなんて思っていました。そんな事ないですけどね。
しかし、羨ましい。

マサシ