「鳩と人形と男と女」けものがいる うぐいすさんの映画レビュー(感想・評価)
鳩と人形と男と女
130年を越え繰り返される、ある男女の邂逅を描く。
予告やイントロダクションからはもっとロマンス寄りの物語をイメージしていたのだが、実際は、転生や業や運命・縁といったものを題材にしているようだ。
人間は転生を繰り返している・前世の記憶を持っている・前世の経験が今世に影響している、という本作の世界観は東洋の我々にはなじみ深いものだが、海外の観客はどう受け止めたのだろうか。個人的には、SFとスピリチュアルが結びつく構想も日本のコミックや小説のようで、スムーズに受け止めた。
ルイとガブリエルの関係の変遷を見ると、2人の繋がりは、見方によっては運命というドラマチックなものよりも、1910年あるいはそれ以前からのガブリエルの未練にも見え、運命や肉体を離れた執念をどう捉えているかによって印象が別れそうだった。本作のような概念に慣れている人・慣れていない人、運命にドラマを感じる人・感じない人からそれぞれ感想を聞いてみたくなった。
運命をドラマチックに扱うのではなく、ポジティブな面もネガティブな面もドライに描く筆致が印象的な作品だった。作中の2044年の人間は前世のトラウマを解消した後、誰かと引き合う・誰かに引き寄せられる輪から抜け出せたのだろうか。
エンドロールやエピローグを劇場の外に置いたのは、感情を排した2044年の世界観の表現らしい。自分が行った劇場ではQRを読んでいる人の方が少なそうだった。アクセスした人がどれくらいいるか知りたい。
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