劇場公開日 2025年4月25日

「作品内における「現代(いま)」である未来(2044年)」けものがいる TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0作品内における「現代(いま)」である未来(2044年)

2025年4月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

1か月半ほど前、映画館で目に入ったチラシに写る「こちらを向くレア・セドゥ」。気にならないはずもなくタイトルに目を移せば『けものがいる』。興味深い...(ひらがなだし...)これは絶対観ようと心に決め、そしてようやく公開の今週、サービスデイを狙ってシネマカリテへ。10時からの回はなかなかの客入りです。
と言うことで、今回も予告編やあらすじを一切見ず、前情報なしで取り組んだわけですが、、、始めに言っておきましょう。本作、難解すぎて1回観ただけではその「趣旨」が解らず、言語化なぞ到底出来そうもない。何なら、解らないだけに迂闊にネタバレしかねないため、取り敢えずこのレビューを書くために映画.comの「解説・あらすじ」に目を通します。ところが、それを読んだところで「膝を打つ」ような閃きもなく、またそれ以上どなたかの考察を読んでまで詳しく知りたい欲も沸かず。。決してつまらなかったわけではありませんが、そんなこんなで申し訳ありませんが総評としては「それなり」。まぁ、レア・セドゥの美しさは当然に裏切らず、それだけはチラシが物語っていた通りでした。
まず冒頭から、意外性たっぷりな状況に「え?そっち??」と戸惑いを隠せず、その後の展開もしばらくそのイメージに引っ張られてノイズに。(一応、この件は終盤近くになって回収されます。正直、されたところで、、とも思いますが。。)それでも観進めれば徐々に話の構造が解り、次第にストーリーについていけるようにはなります。ところがまたすぐに襲いくる困難、劇中で交わされる会話がまるで真理を解くような哲学のよう、、ああ…思わず眠気が。。。いかん、いかん、とツボを押しながら何とか中盤まで辿り着けば、ようやくそこまで蓄積された「それぞれの時代」に共通するシチュエーション、キーワード、或いはアイテムの登場でリズム感は掴めるようになりますし、更にはなかなかに緊迫するスリルが加わり、中盤以降は「ノレる」ようになって眠気も忘れます。
ただ大変に残念なのは、作品内における「現代(いま)」である未来(2044年)が、1910年、2014年に比べてフンワリと抽象的な表現が多くイマイチ切れが悪い。そもそもこれが20年後の「設定」と思えない緩さ、甘さが最大のネックとも思える「SFドラマ」。まぁしょうがないんでしょうど、ちょっとリアリティは感じません。
勿論、構造的な複雑さを持たせてまで語り直そうとする「挑戦」は素晴らしいのですが、残念なことに私は「置いて行かれた」気分。それならば、原作であるヘンリー・ジェイムズ作品集 『密林の獣』を読めば、本作にももっと興味が持てるかもしれませんが、これまたかなり難解そうだしな。。兎も角、本作において一番肝心な趣旨である「けもの」とは一体何なのか?について、せめて「考察したい!」と興味を沸かせてくれるだけの掴みは欲しかったかな。あほですいません。

TWDera
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