「アステロイド・シティ以来の玉砕」けものがいる 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)
アステロイド・シティ以来の玉砕
中々理解が進まない作品はたまにありますが、本作は2023年に観た「アステロイド・シティ」以来、1年半ぶりに完全に白旗を上げざるをえないほどに分からない作品でした。
内容は、今から約20年後、2044年の近未来を描いたもの。AI技術が進化して世の中の仕事の殆どをAIがカバーしているため、人間の仕事が極端に少なくなった社会の”矛盾”を突いているもののようでした。そのディストピア社会では、人間が職を得るには”感情”を消去する必要があり、主人公ガブリエル(レア・セドゥ)がその処置を受ける過程を描いていた訳ですが、ここからが難解もいいところ。ガブリエルは、その処置の過程で100年くらい前の世界をはじめ、過去に転生する夢(?)を見ます。この中でルイ(ジョージ・マッケイ)との出会いを繰り返していましたが、一体これらの出来事が何を意味するのか、全くピンと来ませんでした。
また、題名にも登場する「けもの」ですが、さぞかし恐ろしい「けもの」が登場すると思っていたものの、実際は鳩ポッポ。確かに鳩が登場すると怖いことが起き、どうやらガブリエルの深層心理にある不安感の象徴のようなのですが、それが何なのかも分からず仕舞いでした。結局感情消去処置に失敗して物語は終わりましたが、謎多き2時間半体験でした・・・
因みに原作はヘンリー・ジェームズの「The Beast in the Jungle(密林の獣)」という小説だそうで、これがどんな本なのか調べてみると、なんとそもそも100年以上前の作品でした。従ってAIなんてものは原作には登場しておらず、相当に翻案して制作されたもののようです。また、日本で公開されてはいないようですが、2023年に「The Beast in the Jungle」と題するフランス、ベルギー、オーストリアの共同制作の映画が創られるなど、原作そのものは相当ごっついお話であることは想像出来ました。
ただ本作の内容は、何ともはや全く分からない状態でした・・・
AIという近頃話題の技術と、昔から変わらない人間心理を混ぜ合わせて創ろうとしたんだろうとは思うのですが、どうにも私にはレベルが高過ぎました。
そんな訳で、本作の評価は★3.4とします。
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