劇場公開日 2025年4月25日

「遠い未来でもない社会の薄ら寒さを味わう」けものがいる ターコイズさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5遠い未来でもない社会の薄ら寒さを味わう

2025年4月27日
PCから投稿

ヘンリー・ジェームズの『密林の獣』を大胆に翻案し、2044年のディストピア世界を起点としつつ、コスチュームプレイが美しい1910年、そして2014年の時代を行き来することで、ガブリエルとルイの謎めいた関係が描かれる。

ガブリエルが怯えている正体はなんなのかが謎のまま、ストーリーはすすむ。曖昧さ、ほのめかしに翻弄され、また、2044年の設定もなかなかに尖ったものなので、話についていけているかこちらも不安になる。個人的には2014年のストーリーの陳腐さがあまり好みではなくて、1910年の優美さ、曖昧さとのバランスがよくないように思った。

2044年という設定、それはそれほど遠い未来でもない。
「感情の揺れは幸福を妨げる」ことが定説とされる社会が、いずれ来るかもしれないし、それが定説となったとき、私たちはそれをちゃんと否定し拒むことができるだろうか。

そういう薄ら寒さとともに混乱したガブリエルの心情と状況に身を委ねて観たことで、彼女の恐怖や混乱を堪能できたように感じた。レア・セドゥは素晴らしかったと思う。

ターコイズ
PR U-NEXTなら
映画チケットがいつでも1,500円!

詳細は遷移先をご確認ください。