DOGMAN ドッグマンのレビュー・感想・評価
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神と犬と人間
”ドッグマン”ことダグラスが辿ってき人生は実に壮絶だ。ただ、余りにもカリカチュアされたキャラクターと物語、そこに教義的なメッセージも入り込むため如何様にも解釈できるようなドラマになっている。
例えば、冒頭の”神は救いを求める者に犬を与えた”という一説からして実に意味深である。更に、それに呼応させたラストやキリスト教信者だったダグラスの実兄の顛末も然り。色々と考えさせられる。”GOD”を裏から読むと”DOG”になるなんて言葉遊びも、今さらながら気付かされた。
果たして”神”とは何なのか?”犬”とは何だったのか?ダグラスが辿る悲劇的な運命を考えてみると、信仰に対する皮肉的なメッセージも想像でき、一見するとアクション・サスペンスのように見える本作だが、意外にもテーマは深い。
監督、脚本はリュック・ベッソン。この特異な設定はどこから着想を得たのであろうか。
犬をモティーフにした映画はたくさんあるが、大概はペットとしての愛らしさをフィーチャーした感動物だったり、逆に「クジョー」や「ホワイト・ドッグ」、「ドーベルマン・ギャング」のような恐怖の対象として描かれてきた。
しかし、本作はそれらとは少し違う。ダグラスにとって犬はただのペットではない。まるで家族のようであり、無二の親友のようであり、神が授けた純粋で尊い”天使”のようでもある。
いずれにせよ、寓話性が強い物語なので、これまでのベッソン作品と比べるとやや趣向が異なる作品となっている。
ジャン=ジャック・ベネックス、レオス・カラックスと共に”恐るべき子供たち”としてフランス映画界に新風を巻き起こした俊英もすでにベテラン。自らヨーロッパ・コープを立ち上げ積極的に若手を登用する一方、こうして野心的な作品を生み出すその姿勢には頼もしさが感じられた。まったく枯れてない。
ダグラスを演じたケイレブ・ランドリー・ジョーンズの怪演も印象に残った。もはや個性派俳優としての地位を完全に確立した感じがするが、本作でもその強烈なキャラクターは抜群だ。
ダグラスは幼少時代の父親の暴力によって足が不自由になり車椅子の身体になってしまった。何とも不憫な身の上ながら、愛する犬たちに囲まれながら”生”を取り戻していくその姿は活力に溢れている。それを最も美しく表したのが中盤のキャバレーのステージ・シーンではないだろうか。彼はドラァグクイーンの格好でエディット・ピアフの『群衆』を熱唱するのだ。その姿は正に圧巻だった。
そして、忘れてならないのは犬たちの活躍である。多種多様な犬が出てきて、時に愛らしく、時に獰猛に暴れまくり、文字通り八面六臂の活躍を見せている。
欲を言えば、ダグラスの聞き役となるエヴリンにも、もう少しドラマがあっても良かったか…。彼女にも複雑な家庭事情があるのだが、こちらは割とアッサリとしか処理されておらず、どうにも食い足りなかった。もっとも、この淡泊さがベッソンらしいと言えるのかもしれないが…。
再分配してるだけ
劇場でベッソンを鑑賞するのは「アンジェラ」以来18年振り。他のレビュアーさんも書いている様にジョーカー的な作品でした。ジョーカーと違うのは、ダグラスには犬がいたからまだ正気を保っていたところ。ダグラスと似た様な恵まれない生い立ちでも、懸命に生きている世界中の人達を想像してしまいました。彼はお金持ちから宝石を盗むことを「再分配してるだけ」と言ってましたが、お金があれば救われた人達が世の中にどれくらいいるのでしょうか。ダグラスの父親も兄もキリスト教原理主義でしたが、神は彼らを救ってくれませんでした。そして神はダグラスの事も救ってくれませんでした。これがリアルな世界なのだと思います。
2019年に日本公開の「ドッグマン」イタリア制作も本作と違った不条理さがありオススメです。
奇想天外な物語だけど、妙にリアリティを感じる作品
一言で表すなら、非常に衝撃的な映画でした。子供時代に父親からのDVを受け、犬小屋に閉じ込められた主人公のダグラスが、犬と意思疎通が出来るようになり、大人になってからも犬とともに暮らす。ここだけ切り取れば単純なお涙頂戴の心温まるお話ということになりますが、本作はだいぶん違いました。
ダグラスの命令でギャングを襲ったり、大富豪の家から宝石を盗んだり、昔苛められた兄に天誅を加えたりと、万能の動きを見せる犬たち。普通ならこんなバカな話あるか、と思うところですが、ダグラスの生い立ちや、父親に銃撃されたことをきっかけに脊髄が損傷し、車椅子生活を余儀なくされてしまったこと、そして職に就こうにも中々上手く行かない境遇などを見せられると、徐々にダグラスに対して感情移入していくようになり、不思議と万能な犬たちの存在を虚構だとは思わない、というか思いたくないようになっていき、やがてリアリティすら感じるようになってしまいました。この辺の創りは、見事だったと思います。
また、警察に捕まり、彼を男女どちらとして扱うべきかを判断するために派遣された女医のエヴリンとの会話を通じて、自らの半生を振り返るという形式になっていましたが、夫のDVに悩まされた彼女の境遇を察知し、彼女に対しては実に真摯に向き合うダグラスの姿も、感情移入を深める材料になっていたように思います。
あと感じたところと言えば、チラシの写真のダグラスは女装していて、これはようやく見つけたキャバレーのステージで唄う仕事の時の姿な訳ですが、かの「ジョーカー」のチラシと雰囲気的に似ており、恐らくは意識してこうしたデザインにしたものと思われます。「規格外のダークヒーロー爆誕」なんていう宣伝文句も、まさに「ジョーカー」と軌を一にするものですが、内容的にも社会から疎外された主人公が、一矢報いてやろうという展開であり、その点2作品の方向性は同様だったと言って良いかと思います。
ただ「ジョーカー」との相違もあって、ホアキン・フェニックス演じたアーサーには、本作の犬たちに該当する伴侶がおらず、またコメディアンとして有名になりたいと思っていたのに挫折してしまったアーサーとは対照的に、ダグラスはキャバレーの舞台で人気を博す。その辺りは、「ジョーカー」に比べると心温まる物語と言えなくもないかなと思ったりもしたところです。
ただ、DVの父親や兄、そしてダグラス自身も神=”GOD”を強く意識しており、また題名の”DOGMAN”も、”GODMAN”のアナグラムになっているなど、キリスト教的な趣向がまぶされており、この点キリスト教的基礎知識というか、世界観を殆ど知らない私にとっては、ちょっと理解しにくい部分もありました。まあこれは仕方ないところと諦めるしかありません・・・
そんな訳で本作の評価は★4.5とします。
リュック・ベッソンの「犬ファンタジー」にがっかり。
以下ネタバレ
鑑賞前日にテレビ番組の
「情報7daysニュースキャスター」で
犬のしつけをするドッグトレーナーの紹介を見て、
犬のしつけは大変だなという印象をもったまま、
「DOGMAN ドッグマン」
を見たせいか、
主人公の不思議な能力による犬とのコミュニケーションに
嘘臭さを感じてしまい、
リュック・ベッソンの「犬ファンタジー」を
楽しめませんでした。
犬が登場する映像は、
指定された「物体」を運ぶ犬のカメラアングルの外側に
「ご褒美の餌」をもったドッグトレーナーがいるような印象があり、
「ご褒美の餌」目的で
「犬ファンタジー」の映像素材を撮影していると思ってしまうと、
やらされてる「犬」が少しふびんな気がしました。
また、ルッキズムに洗脳されている立場から見ると
意図的に汚しメイクをした、おっさんの女装を
大きなスクリーンで見たい気分もおこらず、
主人公の設定も、
ふびんな設定で同情させようという意図がして、
ラストの銃撃戦の結末を明かした作劇だったこともあり、
リュック・ベッソンの「犬ファンタジー」を
楽しめませんでした。
「ご褒美の餌」のためにトコトコ走っている「犬」でなく、
どうやって撮影してるのか想像できない、
犬POVを使った壁や階段をドッグパルクールする映像など・・
もっとこだわったカメラアングルにしてほしいと思いました。
「DOGMAN ドッグマン」は
「ニキータ」や「レオン」と比較すると
退屈な展開でした。
犬泥棒を見つけた保険の調査員の顛末をみて
証拠隠滅に手段を択ばない
主人公の「ドッグマン」を応援する気にはなれず、
ギャングのおどし方が雑なせいで
相談しにきた回線工事の青年を巻き込んでしまったりする展開は
「ニキータ」や「レオン」と比較すると
雑な脚本でした。
もっと「犬」の習性による
納得のできる犬の行動によるアクション、
ドッグトレーナーでは表現できない
見たことのない「犬」アクション(CGでもいい)で
「ニキータ」や「レオン」のような
何度か見たくなる映画にしてほしかったなと
思いました。
イッヌだらけの
空前絶後の!犬を愛し、犬に愛された人生。ここでの犬はめっちゃ賢いし(寧ろ人間同然、いや人によってはそれ以上かも)、犬好きには堪らない理想のdogLifeとなっておりやす。
そーんなサンシャイン池崎と私は猫が好き。
ダグラスは生きた証をウィットに富んだ会話で、魂の通じる誰かに遺したかったのでしょう。生きていてほしかったけれど。最後の十字架の影と重なるところに犬が集まるのがとても印象的だった。エンドロールでうっすら涙が。歌も効果的でしたね
ファンタジックなジョーカー
犬がいっぱい登場するのに暗くて悲しげな予告と、リュック・ベッソン監督だというので観に行きました。
犯罪を行うに至る主人公の苛酷な人生は「ジョーカー」のようでしたが、慕ってくれる大勢の犬たちや心優しき職場の同僚のドラァグクィーン達というプラス材料もあり、あのラストはハッピーエンドなんじゃないかな、と思いました。
犬たちが賢すぎてファンタジー要素が大きく、児童・動物虐待や身体障がい者差別の問題を描きつつも娯楽色が強かったので、それほど暗い気分にはなりませんでした。
エヴリンのご家族は、きっと頼もしいボディガードをお迎えしたんでしょうね!
不運なアーティスト
ものすごく辛く哀しく重たい内容。それでもダグラスと犬たちの強い絆が、なんとか小さな光を繋いでいく。
負傷したダグラスが運転していたトラックを警察がとめ、荷台に乗せられた数十匹の犬を発見するところから始まる。
拘束されたダグラスに精神科医が接見し、ダグラスは自分の子供の頃から話しはじめる。
幼いダグラスに何が起きるのかすごく不安で、嫌な予感がずっとしている。
父親がまず人間ではない。子供の頃から父親の暴力、虐待に怯え、兄はそんな父親の点数稼ぎにダグラスを貶める。ダグラスにとって唯一の救いは母親だったが、その母親も、ダグラスを犬小屋に放り込む父親の残忍さから逃げるようにして、家から出ていってしまう。
それでもダグラスは本来とても優しいし、とても人間らしい。なのにダグラスに救いの手が述べられるのは、皮肉にも父親の残忍な仕打ちがあってからだった。それによってダグラスは、車椅子を余儀なくされる。
だが、ダグラスはいつでも必死に生きていた。
養護施設に引き取られてからは、演劇を教えてくれたサルマと出逢い恋も覚え、通信だが大学に行くこともでき、学位をとるほどに。やっと人間らしく生きることができた。
犬のシェルターを管理する仕事についたダグラスだったが、年々予算を減らされとうとう閉鎖されることに。
だがしかし、車椅子生活になってしまっていたダグラスには、まともな仕事にありつける事すら難しかった。
吸い込まれるように入ったドラァグクイーンのキャバレーで、やっと生きる術を手に入れる。同時に犬たちとダグラスは心が通じ合うが、間違った方向へ進んでしまい、事態は最悪な結末に。
ダグラスは優しい心の持ち主だったのに。そんな優しいダグラスを犬たちは守っただけだったのに。だけど、何かが間違って普通に生きることを許されなかった。
エンドロールが流れ出し、余韻で涙が溢れてきて、しばらく動けなかった。
【自分の持ち合わせる語彙では説明出来ない、大作。】
なんの前情報も無しにフラっと映画館に見に行きました。
寝耳に水です。油断していました。こんな不思議な体験が出来る映画は『JOKER』(2019)以来です。
主人公の設定の車椅子、女装、犬のボス。どの設定も在り来りなものでは無いので、字ズラだけ見るとゴチャゴチャっとしている印象を持ちますが、不思議とその設定達が上手く絡み合っていました。それは個人的にはとても形容し難かったです。「取り敢えず見ろ!」としか言えません。
ですが、犬を愛していて犬を家族のように扱っている主人公『ドッグマン』が、犬を使って人殺しをしているシーンを見ると何処かむず痒くなりました。
え?犬を利用して殺人するの?と単純に思ってしまうくらい、殺人をしてしまうことへの主人公の心情も書かれていませんでしたし、作中を通して主人公は良い人の様に描かれていましたが、殺人への良心の呵責が無かったので、不思議な気持ちでした。意外と人間はそのようなものなのかも知れません。外ズラが良くても中身は計り知れない闇に覆われています。それをこの映画で再確認出来ました。
ラストのシーンも最高ですね。教会の影に倒れ込む『ドッグマン』。余す事無い映像美で顔面をぶっ叩かれました。
死ぬまでこの不思議な体験を忘れないようにしたいです。
主役の演技が光る!
リュック・ベッソン監督作品という事で期待して鑑賞。
主人公は犬小屋の中で犬と寝食を共にして少年期を過ごす。
その為に主人公は犬達と意思疎通が出来るようになり、犬達は主人公の思いが理解出来て主人公の言葉も理解出来るようになる。
全く筋書きが読めない展開だが、ちょっとエンディングが疑問。
ホームアローン with DOG
『スリービルボード』『二トラム』につづき、
ケイレブ・ランドリー・ジョーンズが
とても素晴らしかった。
絶対いつかオスカー獲ると思う。
てか獲ってほしい。
ストーリーとしては
最初の方は良かったのだけど、
途中から何見せたいんだか分からなくなってきて、
スリラーなのかアクションなのか。
本筋がぶれてしまったのが気に食わなかった。
ちゃんと彼と彼の人生を追って欲しかった。
なんかめちゃくちゃもったいなく感じた。
イルカマンになりたかった
リュック・ベッソンといえぱグレート・ブルーをビデオレンタルした中学生依頼かも。
好きな映画はグレート・ブルーと言っとけば、なんかカッコいい気がしてました。
でもそれ以来だもんなぁ。
全然好きじゃないじゃん!
でも感動はしたんですよ、あの頃のイメージを壊したくなくて、観られなかったのかも。
純粋な野生の魂のまま、生きていく事は出来ないんだな~と、ひとつ大人になったあの頃。
純粋な野生の魂のまま生き続けるなら、異形の人となって闘い続けるしかないのだなと、またひとつ若くなってしまった。
そんなドッグマンの姿が、頼もしかったり、せつなかったり。
犬
に育てられた男
ではなく
犬として育った男の物語
だが、主人公がどうのこうのではなく
現在の世に生きている全ての人間が実は
犬として生きているんじゃねぇのか?
と思う内容だった。
ある男は組織の犬
ある男は金の犬
そして彼の男は神の忠実なる僕としての男
皆DOGでありGODの存在の上ではDOGである。
と
だから
DOG IN THE NAME OF GODだったんだなぁ。と
鑑賞後振り返れた笑
僕はフィフスエレメントやルーシーが好きだけど
本作も好きにラインナップ!
最後のコメントとして
クリストファーもリュックも、良いタイミングで
我々に気付きの機会を与えてくれた。
我々はいつまで孫のお父さんを続けるんだい?w
まあまあだ
主人公の境遇がかわいそうすぎて、うちにも小学生の男の子がいるから気が気でない。しかし、その割に内容が、なんだこれ?みたいな感じで真面目にとらえていいのか、と思う。避妊手術をしているように見えず多頭飼育崩壊が起こるのではないだろうか。トイレのお世話もしてなさそうだ。途中でそんなことを気にして見る映画ではないと気持ちを切り替えるべきだ。一方でバイオレンス山盛りを期待していると、最後まであまりない。
ミュージシャンの中村一義が気の毒な生い立ちで、子どもの頃犬を親代わりに暮らしていたという。その時は犬とテレパシーで会話できたそうで、この映画の主人公もそんな感じなのかと想像しながら見た。
現実の問題で児童虐待がある。面白映画の素材としての扱いを、実際虐待されている子はどう思うだろう。そういった遠慮が全くないのがリュック・ベッソンの面の皮の厚いところだ。
久し振りのリュック・ベッソン監督
変な映画ではあります。けど目が離せない。
子供の頃から多数の犬と共に過ごした男の狂気と孤独。
精神科医との会話の中で、淡々と語られる壮絶な人生。
あるシーンは「ランボー ラスト・ブラッド」を彷彿としてた。圧巻。このシークエンスだけでも観る価値がある。
リュック・ベッソン監督のスゴさを感じた。
けど、ダークヒーローでは、決して、ない。
「マダム・ウェブ」もだか、日本の宣伝担当は作品を観てるのだろうか?
#DOGMAN
#ドッグマン
#リュックベッソン
自分の異常
この映画を見て
"愛と正義に根ざす強さと優しさ"
を感じている。
人間社会やその中のルールを外れ
それらを超えた万物の掟
そんなモノを感じ、共感する。
自分は法は犯さないが、
異常の範疇に片足を踏み入れている
かもしれない。
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