「信仰や神に責められる人生?」DOGMAN ドッグマン かばこさんの映画レビュー(感想・評価)
信仰や神に責められる人生?
予告編から、「ジョーカー」とか「ベンギン」とか「キャットウーマン」とかバットマンの悪役たちの前日譚みたいなものを想像しており、リュック・ベッソンなのでどのくらいスタイリッシュにしてるんだろうと思いながら鑑賞。
バットマンの悪役たち風は予想通りで、虐げられ傷つけられ世の中と人間に不信感しか無く犯罪に手を染める、犬だけが心許せる存在というダグラスのひどい人生を延々見せられるだけ。スタイリッシュ、は目立ちません。キャバレーでエディット・ピアフを歌うところくらい。
キャバレーの同僚のドラァグクイーンのおねえさんたちが良い人たちで、少しだけほっとしたけど、ダグラスにはそこにほろっとする心の余地がない感じ。ヒトを信じるどころか親しく触れ合うという考えすら放棄しているような気がする。
彼は、始終、犬=家族を養うことしか考えられない貧乏家族の大黒柱の立場だったと思う。
なので金持ちや悪党相手ながら窃盗とかヤバい仕事も躊躇なくやる。もちろん、家長である自分の言う事を忠実に聞く、愛する子どもたち(=犬たち)を使って。
彼が障害者でなく、たくさんの犬を養う必要がなければ、もう少し幸せな人生を選べる道があったかも? いや、ないか。彼には犬しかいないので。
画面が暗く、グロく、不潔感でいっぱいで単純に不快。廃高校要塞(?)での、犬大活躍の悪党一味とのバトルも、グロいばかりが目立って爽快感がない。
似たものの匂いを嗅ぎ取ったエヴリンに自身の人生を語れたのは、彼という存在の生きた証になったと思う。
ケイレブ・ランドリー・ジョーンズはよく見たらイケメン。
難しい役を、絶妙に演じきったと思う。
犬たちが良かった。可愛く賢く、素晴らしい演技の数々でした。
神や信仰は、必ずしもヒトを救うものではないようだ。
というか、ダグラスは常に「神」に責められて生きてきたように見える。
狂信的な兄のいう「神」父の「神」ダグラスがうちに持っていた「神」
十字架の影を象って息絶えた彼は、何を思っていたんでしょうか、自分をキリストに見立てた?
GOD の裏返しが DOG は何かを暗示している?
キリスト教(に限らず)宗教に疎いので良くわかりません。
親ガチャ大外れのコドモが浮上すること無く人生を終えたという身も蓋もないハナシでどんよりしました。
Mさん
リアルでは浮上することなく終わる人たちは決して珍しくないので、それを考えるとさらにどんよりします。彼はどうしたら幸せになれたか、とつい考えてしまいます。愛する犬との生活だけど「幸せ」には見えなかったんですよね。
コメントありがとうございます。
私も宗教には疎く、その信仰心についての理解も出来ていないと思います。ただ、何となく、宗教って救いにもなれば呪縛にもなるのかなと。。
戦争や人種差別などの問題にも宗教って深く関わっていますよね。
無宗教者の日本人の私では本作のメッセージは正確につかみ取れていないとの自覚あり。しかし心臓を鷲掴みにされた感覚になった事は事実です。
ダグラスの妄想なのか、真実なのか、犯罪なのか、なんて野暮に思える程の衝撃でした。
かばこさん 共感コメントありがとうございます(⋆ᴗ͈ˬᴗ͈)”
ダグラスが「この子達は大丈夫」と言っていたのは強く生きていけるという意味なのかなと思いました。
ダグラスも犬達も不運な人生で、大きく道を外してしまいましたが、残されたものたちが、少しでも報われるといいなと思います。
talismanさん
宗教疎くて見当違いかもしれませんが、ラストは、神に「どう、俺あんたと同じだよ」と言っているように見えました。。犬がキリスト教ではあまりいい意味で使われないようなので、俺は自分も含めて蔑まれた者(犬)たちのキリストだ、と言っているような。。。大変不遜ですが。。。
共感ポチりありがとうございました。主人公が男性(同性)のせいか、アウトロー映画好きなせいか、暗澹たるキモチにはなりませんでした。むしろ、清々しい感じ。宗教的(キリスト教的)なことは正直わからないのですが、無神論的な潔さを感じました。今も世界でモメているのは宗教絡みなので、リュック・ベッソンの信条は全然知りませんが、少しは関係あるのかも。落下の解剖学や哀れなるものたちも動物が出てきますが、主役が女性のせいなのか、とても暗澹たるキモチになってしまいます。期待したいからか?甘えなのか?