劇場公開日 2024年3月29日

オッペンハイマーのレビュー・感想・評価

全879件中、681~700件目を表示

3.5科学者(人間)としての罪

2024年3月31日
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シューテツ

3.5アカデミー賞受賞は納得できるが、他に有力な対抗作品がなかったからだと私は思う。

2024年3月31日
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何年前だったか忘れてしまったが、原作を立ち読みして、オッペンハイマーの映画を作るべきだと強く思った。ノーラン監督がオッペンハイマーの伝記映画を作るとニュースで見て、私の念願がかなった。

観賞前に原作を読んでいく事を勧めるが、文庫本でも大部なので最低でもチラシにある人物相関図を見ていくと良い。

原爆開発と赤狩りが同時並行し、また時系列も前後する。頭が混乱してしまう。しかし、オッペンハイマーの数奇な人物、および複雑な性格を描く事に成功している。私達は今も核兵器の脅威にさらされている。その原点を見るだけでも価値があると考える。

ウクライナ侵攻でプーチン大統領は、核兵器の使用を脅しに使っている。この映画は時節がら合っている。これに対抗するにはよほど優れた映画でなければ、アカデミー賞受賞は難しいだろう。但し、10年も経てば、そんな映画があったなと思える作品になる気がする。

私が考える映画に是非すべき人がいる。他でもない我が国の昭和天皇である。オッペンハイマー以上に数奇な人生を歩んだ方だ(神様から人間になった、戰犯を逃れた。私は天皇に道義的責任はあると考えているが、仕方がないとも思っている)。しかし、右翼の反発が恐ろしくて日本では製作されることは無いだろう。海外の監督でもいい。たしかイッセー尾形が外国人監督で昭和天皇を演じた映画があった。

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いなかびと

4.0Struggle

2024年3月31日
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ブレミン

5.0科学者と政府

2024年3月31日
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原爆の父ということでそこにクローズアップされてたけど、どちらかと言うとオッペンハイマー自身について。冒頭は何が起きてるのかよくわからずに断片的に話が進んでいくが、物語が進むにつれて話がつながっていき、スクリーンから目が離せませんでした。
純粋に技術を追い求めた科学者と、それを政治利用・軍事利用しようとする政府、そしてその責任の所在をどこになすりつけるのか。
理系出身者は特に考えさせられる映画ではないでしょうか。
どこまでがほんとでどこまで美化されてるのかわからないし、日本人にはちょっと見るにハードルは高いかもしれないけれど、これは観るべきだと思う。

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しょう

5.0知的ヒーローの悲哀、残酷な仕打ち

2024年3月31日
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都心の音響の良い館だったので、心情が爆音と重なり、ストーリーもずっと落ち着かないが、それもいかにも天才を描く映画っぽく、圧倒された。癖の強い科学者たちを束ねて巨大プロジェクトを一から動かすさま、時代の英雄から挫折と復活、文化・芸術に及ぶ教養など、細部にも魅力多し。それにしても、アメリカの政治って、人を大胆に使って、誉めそやし、後には痛めつける、なんと残酷なのだろうと思う。

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Boncompagno da Tacaoca

3.0映画の上手さと語ることの背景

2024年3月31日
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 観客の頭を適度に揺さぶる構成、登場人物の多さと複雑な時制を扱いながらそれほど混乱させない。まず感じたことは、とても上手い映画だということ。しかし好きではない。
 好きでない最大の理由は作品そのものににあるわけではない。この作品は人をこそ描くもので戦争や原爆被害を描くものではないことも承知している。ただドイツとの競争で作られた原爆を「ドイツは降伏したから落とせない、それなら日本に」みたいな軽さで落とす判断だったり、当時は彼我ともに戦時で麻痺していた事も含め、加えてオスカー授与の露骨なシーンもありもやもやが取れない。こちとら昭和のオヤジ、仕方がない。
 東京大空襲に触れている点やわずかながら被爆イメージも描いている点、良心も感じることは感じる。ピューちんのもよく見えたし(笑)

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またぞう

3.5よく日本で公開できたな

2024年3月31日
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モ-ts

何とも言えない感情

2024年3月31日
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悲しい

知的

難しい

原作は上巻の途中まで読み、
通常スクリーンにて鑑賞。
次は本全部読み終わってIMAXで観たい。

小学生の頃に夏休みの登校日に平和授業を受けていた記憶がある。原爆の悲惨さを学んできたので、この映画の発明の成功の裏側を容易に想像できた。悔しくて泣いていた。人間は頭が良いのに愚かな生き物だと見せつけられたような気がする。

言いたいことはたくさんあるけど、これ以上何も語りたくないという気持ち。

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nao

3.5ハイクオリティーだけど予習が必要な映画

2024年3月31日
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悲しい

知的

難しい

知的でクオリティーが高く、映像の一部に白黒を使用したりと凝った部分のある映画でした。ただ、大ボリュームでそこそこ長い音の流れるシーンがあり、正直、不快でした。
ストーリーは、軽く予習していったので話の流れは掴めましたが、科学者や政治家、原子力委員会の面々等、大勢登場するので、細かい所までちゃんと理解したい自分にとって、3時間は短すぎると感じました。6-12話位のドラマで作ってほしかったです。
第二次大戦と赤狩りに翻弄されながら生きる一人の科学者の人生を興味深く見ることができました。
激動の時代を生きた人達から、人間の愚かさ等、多くの考えるトピックをもらえる映画です。

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sunbeams72

3.0他人に話す映画ではない

2024年3月31日
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悲しい

知的

難しい

【良かった所】
臨場感のあるBGM
原子爆弾の開発経緯が分かる
科学者の人生を追体験

【微妙な点】
爆発の迫力がショボい
時系列が分かりにくい
共産主義など政治知識がいる
同じシーンが多く飽きる

原子爆弾がどのようにして作られたか、
どんな人が作ったか知りたければ見る映画。
他人に話す映画ではない。

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ヤスナリ

4.0時系列のややこしさこそあれど名作

2024年3月30日
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類稀なる才覚を持つ物理学者のオッペンハイマーは、新型爆弾の開発を担当することとなり…。
クリストファー・ノーラン監督作。時系列が変わりまくるややこしさこそあれど、自己顕示欲がそのまま後悔に変わっていく物語が精神的にキツくなる良質な作品でした。

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shotgun

4.5とまどいもありつつ

2024年3月30日
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TPO

4.0慧眼でありながら盲目

2024年3月30日
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Pocaris

4.0予習していった方がよかったのかも

2024年3月30日
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悲しい

知的

オッペンハイマーの伝記映画というイメージでしたが、法廷劇的な流れもあり、ストーリーの構成の仕方も面白く、見応えがありました。
主人公の心象風景を重ねるような映像や音響の迫力も印象的でした。
オッペンハイマー目線なので、日本の被害の描き方は浅いものの、その目線を通して反核反戦のメッセージはきちんと込められており、良かったと思います。

とは言え、「オッペンハイマーは原爆を開発した科学者」くらいの知識だけで観に行ったので、もう一人の主人公的なストローズのことは全く知らず。
二人の関係性を知らないまま観ていたので、分かりにくいところもありました。
その部分は予習していった方がよかったかもと…。
しかし、知らなかったので後半の展開が読めず面白く感じた、という部分もあるかも…という気もしました。

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nakadakan

3.0非常に疲れました。私はだめでした

2024年3月30日
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ノーラン監督作品の中では、私は唯一不満の残る作品でした。残念です。

理由は、原爆被害が映像として全く描かれていないからです。
唯一の被爆国の日本人として、国をあげて原爆開発に勤しむ中盤あたりから、観ていて沸々と怒りが湧いてきて・・・心がゾワゾワして・・・
実験成功の場面の恐ろしさと合わせて、大騒ぎで歓喜する様子を見て非常に不快。
腑に落ちないし、正直とても気分が悪い。

出来上がった2つの原爆が砂漠の中を運ばれていく場面は、罪のない沢山の人たちがこの球体によって無惨に焼き殺されたのだと思うとたまりませんでした。
広島や長崎の人たち、これ見れないんじゃないでしょうか?

私は、敗戦間近の日本への原爆投下は間違っていたと思っているので。
非人道的過ぎると思うので。

ロバート・オッペンハイマー個人は善人だったし、大変優秀な研究者でしたが、結果、とてつもなく恐ろしい殺戮兵器をその手で作り出したことは変えられない事実であり、罪を背負うべき。
あの時代に政治利用されないわけがないでしょう?
科学者は、そういう事を考えられないの?

罪の意識に苦しむ晩年を丁寧に描いてはいるけど、それが当然の報いだと思ってしまう私は厳しすぎるのでしょうか?

3時間観終わり、とっても疲れました。

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Mariko

4.5「原爆の父」の数奇な伝記ドラマ

2024年3月30日
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怖い

興奮

難しい

「NHK」の「映像の世紀バタフライエフェクト」、
2024年2月19日の放送は〔マンハッタン計画 オッペンハイマーの栄光と罪〕。

本作の良い予習になると同時に、
幾つもの感嘆すべき内容が。

一つは国家を挙げてのプロジェクトだけあり、
多くの映像が残されていたこと、
もう一つは本作でも同様のシーンが再現されていたこと。

最近流行りの『キリアン・マーフィー』の主人公への激似さは驚きも、
『クリストファー・ノーラン』は
脚本や監督にあたり、過去の映像をつぶさに確認し
印象的な場面を援用したのだろう。

が、個人的にもっとも嘆いたのは
兵器開発のために、砂漠のド真ん中に街を一つ造ってしまうだけの力のある国に
戦争を仕掛けた当時の大日本帝国の指導層の判断なのだが。

二つの物語りが同時並行で描かれる。

一つは「原爆の父」とされる『ロバート・オッペンハイマー(キリアン・マーフィー)』の盛衰
(このパートはカラーで)。

もう一つは彼に(最終的に)敵対し引きずり降ろそうと画策する政治家
『ルイス・ストローズ(ロバート・ダウニー・Jr.)』の暗躍(こちらのパートはモノクロで)。

『オッペンハイマー』の造形はエキセントリックで女好き。
それが先々の禍根を生むことは明白ながら
ずぶずぶと男女の関係を結ぶ。天災にありがちなタイプではある。

『ストローズ』は私怨に近い感情から
絶頂にある『オッペンハイマー』を「赤狩り」を利用することで排斥し、
その機に乗じ、更にのし上がろうとする。

味方と思っていた人間の裏切りを共に味わい、
それが濃厚なドラマとなり昇華する。

ここで思い出されるのは、
〔イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密 (2014年)〕
での『アラン・チューリング 』。

戦況を変える偉業を成し遂げた彼は
同性愛が元で国から捨て去られるように41歳で死去する。

国家の非情性が二人に重なって見える。

三時間の尺を使い、エピソードもふんだんに盛り込み、登場人物は多数。
目まぐるしく変転する画面に、とても頭の整理や理解は追いつかない。

ため、人名を紐付けるのは中途から諦め、
シーン毎に記憶を呼び起こすことに専念し対応する。

それでも各人の役割が不明朗になる瞬間もあり、
もっと枝葉を整理することはできなかったのか、との
恨みは残る。

ナチスに先んじることを第一義に「マンハッタン計画」に邁進、
「トリニティ実験」を成功させた瞬間の高揚感。

一方で、自身が生み出した大量破壊兵器が実際に使われる段になり、
その威力に畏怖する科学者や愛国者を離れた人間臭さを垣間見せる言動。

同時に、当時ですら、原爆の投下に反対し
署名活動まで行った識者がアメリカ国内に存在したことは
僅かながらの無聊となる。

劇中で語られる、
『スターリン』が日本への原爆投下を望んだとのエピソードは、
8月8日のソ連対日宣戦布告を見据えてのものなのだろう。

今も変わらぬ同国の狡猾さと共に、
『クリストファー・ノーラン』がそこまでの意図を組み込んだのかは
気になるところ。

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ジュン一

5.0凡人ストローズが天才オッペンハイマーに嫉妬するが骨子の反戦反核映画です

2024年3月30日
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怖い

知的

難しい

 件のアカデミー賞作品賞受賞作をやっと日本で公開、鑑賞出来ました。普段は映像で描き切るクリストファー・ノーラン監督にも関わらず、膨大なセリフ劇にまずは面食らいました。画面切り替えしによる会話劇が延々と続き字幕派ですが吹替版が欲しい程、時折、核反応をイメージさせる抽象画面が大音響とともに不意に挿入される、まるで「眠っちゃダメよ」と言わんばかりに。おまけに時間軸をズタズタに切り裂き、さらに数多の登場人物を唐突に投入で観客を混迷地獄に陥れる。タイトル通り「原爆の父」たるロバート・オッペンハイマーの半生を忠実に再現し、物理学者としての本質と、政治的観点からの極めて恣意的な扱いの理不尽描く。

 ロバート・ダウニー・Jr扮する政治屋ストローズのシーンは敢えてモノクロで描き、政治に翻弄されるオッペンハイマーはカラー画面にする監督の深謀遠慮がポイント。要はオッペンハイマーと純粋な学者としてのアインシュタインに策士ストローズが明らかに嫉妬する構図、凡人が天才に嫉妬と言ったら簡単に過ぎますが。いよいよ映画のラストに、冒頭では明らかにされていなかったオッペンハイマーとアインシュタインの会話の内容が正面から描かれる仕組み。そのポイントは科学者の探求の先に訪れる世俗(政治やら社会)との軋轢について覚悟を先輩から後輩にアドバイスって場面です。

 天才オッペンハイマーは純粋に可能性を追求し真理を探究したい一心、一方の凡人ストローズはそれをいかにしてツールとして御するかに尽きる。当然に天才は事実のみを吐露していくが、凡人には深謀遠慮がつきまとう。本作の主役はキリアン・マーフィ扮するオッペンハイマーですが、監督の視点は明らかに凡人ストローズの側にある。感情を剥き出しにした慇懃な凡人に人間味を感じたのでしょう、だからこそ本作が制作されたと見るべきでしょう。ノーラン監督は天才側のはずなどと不遜な姿勢は全くありません。

 その意味からも本作最大の骨格はストローズにあり、それを近頃の映画における最高峰の演技の壁をさらに突き抜けたロバート・ダウニー・Jrの渾身の演技が超ド級の見事さです。ついでに記せば、大ベテランのアイルランド役者キリアンは殆ど本作では殉教者であり、超越した風情を熟成し主演男優賞は当然です。それにしても昨今のハリウッド映画で男優が裸になる際は事前の体づくりが当然なのに、これほどに「貧相」な体躯(もちろん敢えて)を晒すとは驚きで、頬も抉れる程のストイックを貫いたわけです。

 正直に言いましょう、私が本作で最も心揺さぶられたシーンは、原爆投下により大戦が終結し、多くの学生達が仮設のスタンドで足を踏み鳴らし歓喜に揺り動かされるシーンです。ちょうど南京陥落時日本橋の三越デパートでは「南京陥落祝賀大売出し」と山田洋次の映画「小さいおうち」2014年でも描かれたように、また真珠湾攻撃によって日本全土が心底歓喜したように、米国全土で怒涛の大音響で悦びが爆発するのです。当時の彼等米国人には広島・長崎における空前の惨状に心痛める前に、戦争終結がなにより優先ですから、これをもって彼等を責める必要なんてまるでありません。なにしろナチスの息の根を止める手段としての原爆早期開発だったはず、ところがヒトラーの死を迎え残すは日本のみとなってしまった。日本に事前に核実験の威力を知らしめたところで、日本はもはや理性の通じる域を超え「一億総火の玉」状態で無意味と判断されてしまった。で、日本が自ら降参するまで次々と原爆を日本各地へ投下の決断となってしまった。被害国として原爆=広島・長崎は自明の理で、加害の側の論理を慮るなんぞ到底あり得ない。けれど歴史の現実を彼らの思考プロセスを、思い知るのも必要な事と思います。

 投下後の広島での撮影フィルムを関係者に示されるシーンが後で登場します、思わず目を背けるオッペンハイマーもそこに描かれます(惨状の画は見せない)。奇跡的に生き残った者達も放射能により次々と死んでしまったとも言葉で説明されます。が、それ以前にその仮設のスタンドの歓喜のハイライトシーンにおいて、焼け焦げ真っ黒に炭化してしまった人体に足を踏み入れる幻覚に戸惑うオッペンハイマーが描かれます。実際にここまでの惨状は彼自身到底考え及んでいなかったはず。とんでもない悪魔の所業に自らが加担してしまった事実に驚愕です。このシーンだけで広島・長崎の絶望を象徴的に表現しているのです。

 当然に原爆を水爆に格上げする事にはオッペンハイマーは明確に反対するのです。それを臨むのは科学者ではなく冷戦に対峙する政治家及びそれに紐づく実業家たちなのです。歯止めの利かない軍拡競争、人間の飽くなき欲望に限界がない以上止めようがない。抑止力なんて所詮机上の詭弁に過ぎない事は誰もが承知、ですがそんな根源的なリアクションでしか納得出来ない愚劣に陥っているのです。「俺は強いぞジャイアンだから」と悪ガキの虚勢のレベルを1ミリも超えていない。そんな現実を本作は観客に突き詰めるのです。オッペンハイマーとしては、放出されてしまった放射能への対策こそしたかったでしょうね。後始末まで出来て初めて科学は生きるのですから。いまだに、のみならずこの先何十年と手を焼く福島原発事故の後始末に対する科学的回答は全く登場していないのですから。

 翻って、この怒涛のセリフ洪水劇を支える役者達の半端ない豪華さには驚く他はない。
①オッペンハイマーの妻役のエミリー・ブラントのオスカー助演賞は実に惜しかった。
②ノー天気な軍人役のマット・デイモンは彼ならではの単細胞的陽気さがまさに適役。
③オッペンハイマー以上に当時有名であったローレンス博士役に相変わらず長身でかっこいいジョシュ・ハートネットが扮してますが、「パール・ハーバー」でベン・アフレックとダブル主演したのがもう23年も前の事、第二次世界大戦の開戦と終戦の両方を演じているわけです。
④天才も女性には弱いを描く際のフローレンス・ピューがまさかトップレスで登場とは意外、「デューン2」にも出演の引く手あまたの人気女優になりました。
⑤英国からのエスタプリッシュの助っ人として登場のケネス・ブラナーは安定感がありますね。
⑥影の主役であるストローズのサイドに、ほんのチョイ役と思われたが後の証言が活きる役にラミ・マレックが、
⑦同じく証言側として殆どアップだけのケイシー・アフレックと、ともにオスカー受賞スターを配し。
⑧さらに「チューリップ・フィーバー」や「ヴァレリアン」で繊細な主役を張ったデイン・デハーンが慇懃な銀縁メガネで登場し、
⑨その昔には「フルメタル・ジャケット」や「バーディ」で一世を風靡したデリケート役者マシュー・モディーンが国会議員役で登場。
⑩最後にオッペンハイマーを追い詰める蛇のような役人に「猿の惑星」シリーズの主役ジェイソン・クラークが実に嫌らしく演技を展開、
⑪そしてストローズの側近役のイケメンさんに見覚えが・・と調べたら「ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー」2018年に大抜擢され若き日のハリソン・フォードを演じたたオールデン・エアエンライクでした。
⑫まるで気付かなかった配役で、オッペンハイマーの水爆否定に反吐はくトルーマン大統領がなんとゲイリー・オールドマンだったなんて、
⑬そしてそして肝心のアインシュタインがなんとイギリスの重鎮トム・コンティとは。

 クリストファー・ノーラン監督の以前作「TENET テネット」が約2億ドル、「インセプション」が約1.7億ドルの製作費、を思えば本作は1億ドルだそう。金かかるのはニューメキシコのオープンセット程度で、ジャンボジェット機を本当にぶっ壊した「テネット」と比べるまでもなく彼にしたら安上がり。逆に言えばそれだけドラマ中心の作品なのです。この辺りで期待外れの印象は出るのもやむを得ません。米国の云わば黒歴史とも言える題材を取り上げた気概は100%評価すべきでしょう。

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クニオ

4.0自分が日本人だと思い知らされる

2024年3月30日
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個人評価:4.0
オッペンハイマーの史実を描いているが、決して反戦や非核ではなく、これこそリアルSFの決定版といっていいだろう。
数々のSFを描いてきたノーラン。神の力を手にした男。人類史に残るこの本当のSF物語を描かずして、この先何を描くのか。そんなノーランの心の声を勝手に想像する。
原子爆弾の実験シーン。自分が日本人だと思い知らされた。
すごい映像体験と共に、この場面で涙が込み上げる。それはあの業火の中に日本人が居たんだと思う視点。アメリカ人は同じ視点になっただろうか。日本公開が先送りになった経緯も今ならうなずける。
しかしながら、本作は映画史に残る最もリアルSFな映画といっていいだろう。

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カメ

4.0コレは傑作❗️ただし 人間関係が錯綜するだけに 観る人【成人以上向き】のコンデション が重要。

2024年3月30日
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知的

【まず最初に 原爆被害に遭われた犠牲者の方に哀悼の誠を捧げます】

本作は 観客に 問いかける大人の作品。今たまたま コレ打ってるときテレビで福山雅治さんが 想望 歌ってるけど
まさしく 「今 生きてる〜」作品 全人類に降りかかる 核の問題投げかけてる でも3時間はチコっと長いかも 特に前半

コレはジャンルは 生き様伝記映画というより
原爆とその後に至る複雑な人間関係の力学に感じ入り 主人公の萎え方を通じ 核兵器の問題を考える 思考作品

トリニティ実験場が実物で 極力CGは抑えた 大画面作品の模様だが
俺みたいな映画シロウトには 普通の画面スクリーンと同じに感じた申し訳ない。でも力作大作感がハンパ無い
大人の映画 【ただし 正確には 単純には面白くなく、スルメイカのように噛めば噛むほど味の出る作品
賛否は割れるかもね でもここ数年のアカデミーオスカーでは かなりの正統派 戦後ほぼ80年に時機を得た作品
色々と日本公開時期は 憶測されるが 単純に 被爆国日本を敢えて遅らせた営業戦略だと思う】
関係ないけど 俺 仕事の引き継ぎ終わったから 年度末終了☑️ただ、本作長いので
【ゴーストバスターズ ニューヨークが氷柱に】は鑑賞断念。本作一本だけ。

距離感が絶妙で キチンとアメリカの歓喜 だけども それを礼賛も 卑下もしていない。

原爆開発者 オッペンハイマーの 一途な 打倒ナチス 日本も一緒だ❗️感
その後の1954の内部的な聴聞会【カラー】
水爆推進の海軍少将 原子力委員会委員長 ストローズの公聴会【モノクロ】1959
で 原水爆をめぐる 大人の取引 複雑な人間模様が描かれる

本作観る方は 有料パンフおススメ チト文字数が苦手な方は 後述する 映像の世紀 配信おススメ44分
コレ IMAXが売りで 俺もIMAXで見たが アカデミー賞だけに大入り 9割
映画終わったあと トイレ行ったら オシッコの列 男なのに 空前絶後の行列
そう 膀胱が何を訴えても それを制御させる チカラワザの作品。
まぁ 俺は 前半チコっと😪で トイレ1回行ったけどね 時間配分考えて

あと 史実かどうかは不明で時間も短いが
原爆被害の惨状フィルム🎞️上映で オッペンハイマーが 目がうつろになり 正視できなくなる
シーンが実は本作の象徴的場面【ホントかどうかはわからない】

そうだよな 原水爆問題レベルの問題となると 大人の思惑が錯綜するよな、当時は反共赤狩りだし
というか描写も納得【ただし 前半の トリニティ実験 以前のやりとりは チコっと長くてきつい😓😪】

まあオッペンハイマーという複雑な人物像、決して善人ではないが【性的な部分含め→これで R15➕の模様】
若干、達成感のあとに悩む、迷走する人物像が 観客に問いかける作品

実はさあ U-NEXT でNHK の【映像の世紀 バタフライエフェクト オッペンハイマー 栄光と罪】44分を
事前に 面白いから 3回観てて 事実関係としては このNHKの方が 単純でわかりやすい。

まあ テレビNHK は本作映画 ①UCバークレー②オッペンハイマー🆚原子力委員長ストローズ
とは好対照で ①ドイツ ゲッティンゲン大学 ハイゼンベルグ【ドイツ】仁科芳雄【🇯🇵】の核兵器開発競争
②オッペンハイマー🆚本来は自分の方が優秀を自負する 本作にも出てくる学者ローレンス
と視点が違うが 結構 名言 とか オッペンハイマー自身が 原爆投下以降 萎えてくる リアル実写なので【参考まで】

本作は コレからは話し合いによる核拡散防止 我は破壊者なり 恐れないそれを理解するまで 理解しないそれを使うまで
的なセリフは良かったけど

NHK 版にあった 「原爆開発 に後悔は一切無い だが 申し訳ないと思っていない訳ではない。大義は信じるが」
との訪日時の実際のセリフ 「自然を理解活用する科学者が道を外れ【こうなったことに】自分には答えが出せない」
との実際のセリフ は コレ アメリカ🇺🇸目線の映画だから 触れないのはやむを得ないと思う。

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満塁本塁打

4.03時間の中で大半が会話、しかもなかなか専門的で量も多い、一回だけで...

2024年3月30日
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3時間の中で大半が会話、しかもなかなか専門的で量も多い、一回だけでは処理し切れなかった。
しかし、時間を行き来しながら賞賛、非難という対極の扱いを受けることになったオッペインハイマーの人物性に迫る内容はとても引き込まれた。
オッペインハイマーの意外な一面、女たらし、実験苦手等しれたのは良かった。

初めはナチスへの対抗、自身がユダヤ人ということもあり共感できたが、次第にボールは科学者ではなく軍に移行していく…止めることはできないのだが、なぜ引き留めようとしなかったか…科学者は起こりうる未来を想像し責任を負わなくてはならない。
自国の犠牲をこれ以上なくすための手段という理屈も分かるが、やはり日本で起こった悲劇は悲惨すぎる。まとまらない考えはしばらく続きそう。

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いたかわ