劇場公開日 2024年3月29日

オッペンハイマーのレビュー・感想・評価

全835件中、681~700件目を表示

4.0一人の男のアンビヴァレンツな物語

2024年3月30日
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かなり素養を問われる映画で何も知らないといちげんでは
流石に訳分らないと思います。

原爆と言うかオッペンハイマーと言う男の物語、史実は詳しくないので
作中限定ですが共産主義に共感してるのに入りたくはない、
奥さんは大事だけど浮気もする、第三者にも物理学はとっくに捨てて政治家
じゃんと言われるが否定も肯定も無い
原爆を産み出し終戦まで導く英雄的な賞賛を自覚し満足つつ
同時にその大罪も自覚する。
理論に長けているハズなのに常にアンビバレンスな迷いを持つ彼を
トルーマン大統領は泣き虫と表現したのはなるほど、と思いました。

この先も色んな形や語られ方がするであろう彼へのノーラン監督らしい
アプローチという点で興味深い作品です。

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azuma

4.0あっという間の3時間

2024年3月30日
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悲しい

難しい

IMAXにて鑑賞
予習としてNHKのドキュメンタリーを観ていたからオッペンハイマーの生涯はなんとなく把握できていたが、そこで流れた広島や長崎の被害の映像には思わず目を背けてしまっていた
だから映画のクライマックスになる原爆実験成功から投下までの下りは哀しい気持ちになっていた
この映画では原爆被害の映像がないから、それを知らない人が観て、どういった感想を得るのか興味深い

しかしオッペンハイマーという人物を描くという点では見応えのある映画だった
クリストファー・ノーランお得意の異なる時間軸を平行に観せていくということを神がかり的な手腕で魅せてくれ、あっという間の3時間だった

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NOSTOS3

4.5後悔先に立たず!

2024年3月30日
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悲しい

知的

難しい

オッピーには何度か計画を中止するチャンスはあった。でも、科学的好奇心の方が優ったのかなと想像できる。まぁ、彼が成し遂げなくとも、他の誰かが完成させたのかもしれないけどね。強風、大雨の中、初日IMAXの1回目で観た。悪天候の中、思いの他観客が多かった。オッベンハイマーのことは、全く知らなかったので、前夜テレビのドキュメンタリー「マンハッタン計画 オッベンハイマーの栄光と罪」を観ておいた。原作の原題の意味は「アメリカのプロメテウス」。ギリシア神話で天上の火を盗んで人間に与えた神のことだ。何てうまいたとえだろう。ノーラン監督らしく、時制を崩しているが、白黒とカラーを用いるなど、予想したほどわかりにくくはなかった。オッピーははじめ、人々を引っ張って行くような人物には見えなかった。でも、ロスアラモスに町ごと建設するとか、分業にして計画の全体像をわからなくさせるといった知恵があったし、どうにか計画を進めて行こうとする粘りがあった。大天才で人間的にも立派な人という風に描かれていなかったことは、好感が持てた。ストローズは「アマデウス」のサリエリのようなオッピーに対する嫉妬を感じた。広島と長崎の原爆の被害が映し出されていないことで、かなり批判が出ていた。昨年夏アメリカで公開されて、すごく話題になっていたにも関わらず、配給が決まらず、唯一の被爆国だから無理かなと落胆していた。ようやく決まって、しかもアカデミー賞をたくさん獲ったので、観られて本当によかった。その描写がなかったことを残念だとは思うが、私はそれよりもアメリカは広島と長崎に原爆を投下したことで、戦争が早く終結したという主張を変えていないことだ。東京大空襲でも降伏しなかった。だから、仕方がないというのだ。たしかに当時はそういう考えだとしてもいたしかたない。あれだけの被害が出てしまうとは予期しなかっただろうから。でも、土地が荒廃し、人間にも長く後遺症が残るという被害状況を分析しきった現在では、その考えは間違いとは言わないまでも、よろしくない考えだったとは言えるのではないか。そうでなければ、ロシアはウクライナに、イスラエルはパレスチナにとっくに原爆を投下しているはずだ。その点が非常に悔やまれる。

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瑞

4.0物語の「ピーク」の設定が大変理性的。

2024年3月30日
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悲しい

怖い

知的

ユダヤ人であるオッペンハイマーが、反ナチスの大義のもと自らの研究成果を示す「実験場」としてマンハッタン計画を推し進め、結果として過酷かつ数奇な運命を辿らざるを得なかっという話・・・と理解しました。

この作品のピークは人類最初の核実験「トリニティ実験」の成功であり、決して「広島、長崎への原爆投下」じゃないってところが、ノーラン監督の理性的、客観的視点の鋭さを良く表していると思い非常に感心いたしました。

トリニティ実験の迫力は想像以上なので、ぜひ音響効果の優れた劇場でご覧ください!

戦争終結後、一時的にメディアに持ち上げられ富と名声を得ますが、それは彼の今までの払ってきた犠牲とは全く釣り合わない形だけのもので、逆に軍縮を意見した国家、そして政敵にはめられて没落する様は見ていて痛々しいものでした。

そういうの好きな方は良いのかもしれないですが、公聴会の攻防に明らかに尺を取り過ぎで、しかも人物相関も複雑、時系列的にごちゃついていて詳細の理解は基礎知識あっても一度の鑑賞では常人にはたぶん無理でしょう。稀にレビューアーさんに可能な方がいらっしゃてほんと凄いと思いますが。

これがカオス大好きアカデミー賞の主要部門総なめってのは逆に納得しました(笑)。

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やまちょう

4.0【”プロメテウスの火。水爆を作れば、ソ連も作る!と原爆の父は言った。”今作は、天才理論物理学者の毀誉褒貶の半生を描いた物語であり、観る側の原爆のリテラシーにより鑑賞後の余韻が変わる作品でもある。】

2024年3月30日
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悲しい

知的

幸せ

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NOBU

3.5作品賞・主演・助演男優賞ほか

2024年3月30日
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悲しい

怖い

知的

ノーラン監督脚本作品らしさが表現された秀作。
ただ史実に基づくとはいえ被爆国の悲しみゆえに米国民が歓喜している様子を直視するのはキツイものがありました。米国作品なので仕方ないですが。
作品としては長尺の良さをそれほど感じることはできませんが終盤に押し寄せる怒涛の展開は見応えがありました。私的にはアインシュタイン役のアクターが激似で良かったです。

36

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タイガー力石

4.0ちょっと記憶や理解力を求められる作品かなと。

2024年3月30日
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悲しい

知的

難しい

まず興味を持って見に行った人間でも、いろいろな国の人名(学者等)や、前後する時間軸など、理解力・記憶力を求められる展開が続くので、多くの人にウケるかと言ったら決してそうではないと思う。この手の話題にあまり興味ない人が『なんか話題だから』といった感じで見に行くと、ちょっと嫌な思いをするかもしれない展開が(特に序盤は)続くので。

必要があるのかどうかは良くわからない(個人的には嫌いでない)性的な描写などがあって、そもそも年齢制限がある作品だけど、終盤はかなり見ごたえがあるので、そこまできちんとついていければ、とても見ごたえのある作品だと思います。

正直あの原爆の幻覚はちょっとヌルいのではないかと思ったりもしましたが。

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フクメン

3.0オッペンハイマーの成し遂げた事とは?

2024年3月30日
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 この映画を核兵器開発を反対しているとか、原爆を広島、長崎に落とした事をアメリカが後悔しているとか、反戦をテーマにしている映画だと思って観に行きますと、何を描いているのか分からなくなりますので少し注意が必要です。

 この映画は、題名の通りオッペンハイマーの青年時代から晩年に差し掛かる頃までのオッペンハイマーの半生を描いていますが、話題の中心はオッペンハイマーにかけらるスパイ容疑にまつわる「オッペンハイマー事件」を展開させて進められているのです。

 この事件に関して、少し知識が無いと、映像が“事件”の聴聞会とオッペンハイマーの半生が時系列において入り組んでいますで、何がなんだか分からない状態になってしまいます。それ故、事件に関して簡単に説明させて頂きます。

 オッペンハイマーは原爆の開発に当たって、フックスというドイツ生まれの物理学者を雇いますが、フックスは科学者の傍らソビエトのスパイとしても働いていて、機密情報をソ連に流しソ連の核兵器開発に加担しFBIに捕まります。

 オッペンハイマーも戦後、米ソの緊張が高まる中、スペイン内戦の人民支援や共産主義者との交流が過去にあったこと、
そして何よりも水爆の開発を先頭とする「核開発競争」に踏み込む事にはっきりと反対の意思を表明し、批判したために、ソ連に肩入れしているという、言わば“なんくせ”をつけられて機密漏洩している共産主義者のレッテルを貼られます。

少々、雑な説明でしたが、宿敵ルイス・ストローズがオッペンハイマーを落とし入れる、この事件の聴聞会の場面から始まりますので、何も知らないと面食らいますから、お粗末ながら説明させて頂きました。

 肝心なレビューの方ですが、『原爆を落とす理由は日本を降伏させ戦争を終結させるためだと、戦争を終結させれば何百万人の命を救える』と被爆された方には理不尽な言い訳をします。
私から見ればオッペンハイマーは自分の理論が正しい事も証明したかったのではないかと疑ってしまうのですが、
何せ、アメリカ映画ですからアメリカよりの立場で太平洋戦争
(第二次世界大戦)を捉えています。

 その辺りに憤りを感じる方も多いのではないかと思います。

 オッペンハイマーは原爆投下後、かなり後悔するのですが、
後の祭り「後悔、先にただずつ」、彼は、これから世界が破滅の道へと向かうのではないかという恐怖にかられ、ちょっとした
精神的、病いにかかったかのようにも映されていますが、果たして彼も含めて原子力エネルギーの開発に携った者は偉業を成し遂げたと言えるのでしょうか?観客に問いかけてきます。

 挙国一致、本土決戦の意思を貫こうとしていた大日本帝国軍を降伏させるには、原爆投下は、やむを得ない事だったのでしょうか?

 話しが外れますが、日本が太平洋戦争に突入せざるを得なかった理由には、ロシアの東アジアへの侵攻(中国・満州への侵攻)に端を発し、欧米諸国の植民地政策も背景に有り、本当に日本だけが一方的に悪いのか?それに、核兵器ばかりを巨悪と非難しますが、戦闘機は?戦車は?機関銃は?…兵器と呼ばれるものは皆、破壊、殺戮を目的として開発された悪なのではないか?

 昨今、ガザ地区、ウクライナにおいて、市民の被害者の事ばかりマスコミは大きく取り上げるけれど、兵士ならば命を失うのも仕方のない事なのか?

 こういった事に、疑問を持つ私は変わり者なのかもしれませんが….

 話をオッペンハイマーに戻しますが、彼は実験物理学には向きませんが、理論物理学に向き、特に量子力学の分野では才を発揮し、中性子をウラン235にぶつける事により、核分裂が誘発され、莫大なエネルギーが放出される事を数式上で打ち立て、理論を組み実現へと向かっていきます。

 これが良くも、悪くも彼の運命を左右する事になり、名声を勝ち取りながら、結果自分の犯した罪に苛まれ、スパイの嫌疑をかけられ没落します。

 後にジョン.F.ケネディに名誉を回復されながらも、62歳の若さで、この世を去ります。(映画ではここ迄は描かれていません。)

 アメリカはドイツの天才・量子力学者ハイゼンベルクが先に原爆を造るのではないかという、影に怯えまた焦り、核兵器の開発を急ぎ、成功しますが、太平洋戦争が起きた為に、科学は大きく進歩し、禁断のエネルギーを人間は手にします。

 未来においても、同じ状況が起こり、この禁断のエネルギーを超える破壊力を持った兵器が開発される事を誰が否定できるでしょう。

 そのような事を痛烈に感じた次第です。

             畏

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Movie Angel

4.0瓶の中に蠍は複数いる。プロメテウスの呪い。

2024年3月30日
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泣ける

悲しい

難しい

 内容は、1926〜1950年代アメリカ🇺🇸における人物J・ロバート・オッペンハイマーの人生を主観的に捉えた作品。原爆の父とも揶揄される彼の天才的頭脳による栄光と苦悩が描かれている。今までに無い原爆に対する🇺🇸の答えと感じられる様な複雑な作品。
 印象的台詞は、『世界は、瓶の中に🫙2匹の蠍を入れている様なものだ』太平洋戦争が終わり冷戦時代の大国を揶揄した最後の演説には🎤複雑な思いが毎回込み上げてきます。原爆の罪を知った上で科学者としての利己的な能力を使用した苦悩とそれでも原爆の問題を原爆で解決しようとした矛盾。玉ねぎ🧅の皮を剥く様に複雑で多面的な人物描写には驚きます。
 印象的な場面は、なんと言っても世界初の原子爆弾実験『トリニティー』の爆破の瞬間です。何故そう名付けたかは今は分かりませんが、何故か最後の審判的な感じを受けます。理性的には分かっているつもりですが『キレイ』と感じてしまいました。あの爆発の映像表現と音の迫力の没入感は恍惚にも似た感じがあります。自分の非人間性と子供の様な無邪気さの混ざる気持ちにさせられました。
 当時原爆の見解は世界初の核実験、何が起こるか分からない。大気中の空気が全て燃え尽き世界を破壊してしまうかも判らない状況で、原爆実験をしてしまう人間の性が、浮き彫りで何とも言えない気分になりました。
 印象的な立場は、『オッペンハイマー事件』ストロースとオッペンハイマーの立場です。結果アマデウスの映画のサリエリとモーツァルト様に、七つの大罪で最悪のものとされるENVY『嫉妬』によって、最終的にお互いの身を滅ばず事になる展開はリアルで根の深い面白さを感じました。
 3時間に及ぶ大作なので複雑に感じると思いましたが、終始オッペンハイマーの視野からの覗き見と言う事で分かりやすく感じました。オッペンハイマーの感じた時間と空間を超越した感覚に至るまで映像化と音にこだわった今までにない作品だと感じます。クリス監督自体が観客に迎合する気も無い芸術家気質なので、メイン登場人物が15人以上出る人間関係の構図の予備知識が、かなり必要な様にも感じました。テンポの良いカットワークで観る人を置き去りにしてしまう凄さを感じます。
 全体的に登場人物の老化具合や衣装やなりきり具合が全てマッチし、1950年代を覗き見した気分になりました。この映画で何を伝えたいか感じるかは人其々だと思いますが、自分は、『今に全て分かる』『瓶の中の二匹の蠍』が意味深に思えて仕方が無いです。既にパンドラ箱を開けてしまった人類の希望は、望むべきものは無いのかもしれません。

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コバヤシマル

2.5内容が難しい

2024年3月30日
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戦時中の原発の話、しかも被爆国の人間からすると不愉快極まりない内容

やはり米国には全てを償わせる必要がある

勿論オッペンハイマーに罪がある訳ではないが、原爆投下の意思決定をした人間には同様の被害を被ってもらう必要があると感じた

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chanta

4.0原爆開発後の苦悩が見所

2024年3月30日
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悲しい

怖い

知的

第2次世界大戦中、天才物理学者のロバート・オッペンハイマーは、核開発を急ぐ米政府のマンハッタン計画において、原爆開発プロジェクトの委員長に任命された。実験で原爆の威力が予想以上だったことと、それが実戦で広島と長崎に投下され、恐るべき大量破壊兵器を生み出したことに衝撃を受けた。オッペンハイマーは、戦後、さらなる威力をもった水素爆弾の開発に反対するようになり、上司から迫害を受けるようになり・・・という史実に基づく話。

理論物理学から実験で連鎖反応を確認し、原子爆弾が想像以上の威力だとわかった時の驚愕の顔、戦後非公開の公聴会での尋問シーンが1番の見所だったのかも。
原爆投下のシーンやその被害状況の映像は無かったのは多少被爆地への配慮なのかな、と思った。
わかっているとは思うが、この作品の関係者にはぜひ広島と長崎を訪問して、被害の実態も知って貰いたいと思った。
ソ連がアメリカを追い、すぐに原爆開発が出来たのはスパイを送り込んでたのだと知り、昔からしたたかだったんだな、って思った。
オッペンハイマー役のキリアン・マーフィが素晴らしかったのと、原子力委員会議長・ルイス・ストローズ役のロバート・ダウニー・Jr.が憎らしい役を素晴らしく演じてたのが印象的だった。
あと、ラミ・マレックの誠実さ、フローレンス・ピューのエロさも良かった。

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りあの

4.0ストーリーだけを追える日本人もいるのか?

2024年3月30日
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時代に翻弄された天才科学者、を描くためのエピソードの1つが広島、長崎への原爆投下であって、原水爆の恐ろしさそのものを描いた映画ではないってこと。
途中までは確かに有名人気俳優ではあるロバート・ダウニー・Jrが、何故この役で最優秀助演男優賞だったのか?と思っていたが、終盤で多少理解できた。
3時間あるが、3分の1が実験な苦手だった学生時代からロスアラモスまで、中盤が原爆開発と実験、日本への投下〜世間の熱狂、後半3分の1が戦後の彼への事情聴取と分けられるかもしれない。事情聴取の成り行きがややこしくて分かりにくい。
7月の実験が成功し、ロスアラモスのメンバー全員の歓喜と祝福を見ていて、その後の日本への原爆投下と切り離せるわけもなく、胸がグッと苦しくなった。ヒロシマ、ナガサキへの投下も成功していよいよオッピーが英雄となり、満席の階段教室のような所で人々が彼に大歓声を送っているシーンで、一瞬女性の顔の皮膚が捲れたり足元を黒い泥に埋まる幻覚を見るが、原爆の被害はあんな薄皮が剥がれる程度のものではなかったし、足元だって泥のレベルではなかった…と思ってしまう。
罪悪感に苛まれたオッピーが晩年心穏やかな生活を送れなかったと描くことによって、結果的に彼の贖罪が赦されるような結末になっているのではないか。
ただまあしかし、3時間を感じさせない迫力ある展開は1本の映画としては面白かった。
それでも、監督やプロデューサーにはオスカー受賞式で一言でも核開発について言及して欲しかった、喜びだけでなく。

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ミーノ

4.0原爆の父の葛藤

2024年3月30日
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ハンバーグ

4.0【男の恨み辛みは怖いし気色悪い】

2024年3月30日
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“原爆”という日本人にとってセンシティブ案件から本邦上映に際して賛否両論あったようだが、そもそも古今東西問わず歴史なんぞ勝者によって作られるものであり、そこへは特段の違和感はなかった。

ただ原爆開発計画拠点 ロスアラモス国立研究所で初の原爆実験成功に狂喜乱舞する米国人のお祭り騒ぎの1カ月後に広島・長崎の罪無き市井の人々に地獄の惨状をもたらした蛮行は決して消せないし、日本人として忘れてはならないと再認識させられた、観ていて沸々と怒りが込み上げてきた。

反戦・反核といったイデオロギー的要素より、純粋な科学技術への探究であってもややもすれば政治的謀略や手段に取り込まれて歯止めが効かなくことへの恐怖と警鐘という普遍的テーマが訴求されていて見応えがあった。

しかし男の嫉妬と怨嗟は粘着質でほんまに気色悪い…これが裏テーマというかメインテーマ⁉︎

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Chang Koh

3.5描きたかったのは後半の聴聞会だったのかな?

2024年3月30日
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物理の天才だが世の中のこと(政治、戦争、思想、女性、立ち回り方など)については一切興味がなく生き方が不器用な典型的な学者肌のおじさんが、自分でも明確に説明しづらく誤解を受けやすいような行動をとった代償として罪や進退を問われてしまう。

こういうことをしたらこの先どうなってしまうのだろうか?という事が全く考えられないため、その日に出会った女性と即関係を持ち、不倫相手の子供を作り、共産主義者達と公私で親密な関係を持ってしまうので、知らぬ間に敵もできてしまう。
原爆にしても当初起こる悲劇がイメージできず、後々になって大きく後悔する。
(原爆を使うのは学者ではないと自分で納得してたのにw)

トルーマンの「原爆投下で非難されるのはつくった者ではなく指示した者だ」という言葉は、自分自身が最も覚悟と責任を持っているため、お前なんかがウジウジしてるのはどうなのか?という厳しくも正しい言葉だったように思う。

オッペンハイマーとストローズを見ていると「アマデウス」のモーツァルトとサリエリの関係に似ていると思った。
奇しくも両方ともアカデミー作品賞、ストローズ役のロバート・ダウニーJr.は助演男優賞、サリエリ役のフランク・マーリー・エイブラハムも主演男優賞を受賞しているところも面白い。

原爆研究を一生後悔する人の話かと思ったが、この描き方だとオッペンハイマーの人生の出来事のうちの一部にしか見えず、やはりそんなもんかというガッカリ感?のようなものはどうしても拭えなかった。

後から擁護する証言者達が続々と現れるのが少しだけご都合主義を感じたが、聴聞会のシーンは本当に長く集中力維持が大変だった。

人間の愚かさが知るには一番良い作品。

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カツベン二郎

5.0めっちゃおもしろかった

2024年3月30日
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3時間でもあっというま

音が本当にこだわり抜かれててよかった。

個人的には被爆描写のバランスは、あれで良かったと思う。

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ボイス

2.5私のレベルでは、3時間はキツイし理解不能

2024年3月30日
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難しい

寝られる

金曜レイトショー『オッペンハイマー』

アカデミー賞を席巻したノーラン監督の最新作!
私的には、ダークナイトシリーズ以外は、合わなかったし・・・
今回の作品は、日本人としては複雑な内容ながらキャストは、アベンジャーズレベル!

ただコレ、、話が行ったり来たり、モノクロになったり・・・
サブリミナル効果みたいな爆破画像が、頻繁に組み込まれたり・・・
私のレベルでは、一回で理解出来ないし・・・3時間は苦痛。。。
気軽に観れそうなゴーストバスターズの方が良かったかも!?

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eigatama41

5.0タイトルなし

2024年3月30日
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素晴らしかった。脚本が圧巻。キリアン・マーフィの存在感、ユダヤ人を引きずりつつ、科学者として生きた人生が描かれていた。
実験を成功したときの人々の熱狂と歓喜のシーンは、被爆国国民であり、被爆二世の夫と三世の娘を持つ身には辛いけれど、原爆を完成させた男がこのような形で巻き込まれていく文脈に、心を打たれていた。
そして、後半の筋の中心にあったストロースとのやり取り。ストロースは小者であり、アインシュタインとオッペンハイマーとのコミュニケーションの高度さがストロースの卑劣さを浮かび上がらせる。
女性たちが強く知的であることもよかった。
ユダヤ人の文脈もあるけれど、一流の科学者たちが左派的な活動とも繋がっていたこと、当時の赤狩りの文脈の凄まじさも感じた。
ノーランの映画は、孤独で暗い感覚が漂う。これだけの成功と名声を手にしたオッペンハイマーの持つ孤独も描かれていた。彼に妻がいた事は救いだ。
原爆の連鎖反応が地球を破壊するかもしれないというエピソードにノーランは惹かれたという。ほぼ0の指摘は実際恐ろしい。
ノーランはもともとファンだったので、とても楽しみにしてたのだけど(好きすぎたベッソンのドッグマンを楽しみにしてたのと同じく)。
原爆成功のあとのアメリカ人たちの歓喜のシーンも凄まじく、それ自体が考えさせるものだし、原爆がトラウマの事象だからこそインパクトをもつものなのだと思った。
この映画の、トラウマの事象である原爆がもつあまりに日常的な文脈、そして政治的な文脈は、原爆を脱神話化させる。もっと恐ろしい現在形の何かへの想像力を掻き立てる。
とはいえ、映画の素晴らしさは、ナチも日本も原爆を作る正当性、理由でしかなく、科学者たちがただ作りたいのだとする欲望も描けてしまっていること。
さらに、オッペンハイマーがユダヤ人でありそれはあらゆる不安を喚起し、物理学者の世界の中で実験も下手だった彼の闘いがあり、それは原爆を作るコンテクストとして重要で、また、軍には軍の、官僚には官僚の、ブルデュー的に言うと界の文脈があり、誰も全体を見て動いているわけではない。
とはいえ、オッペンハイマーはそんな中でもナチスにだけは渡せないとして、全体を統括する強いリーダーとしてやはりそこにいたことも。彼が共産主義者として疑われることになるような人道主義者であったことも。
アインシュタインとのやり取りは見事だし(それをシーンとして作り出しているのも)、ノーランが注目したのは、原爆が大気への反応を引き起こして地球を滅亡させるかもしれないほんの数%の確率にオッペンハイマーがおそれをもったこと(ネタバレです)、それはこの映画の隠れた重要なモチーフ、ノーランゆえに惹かれるテーマか。一方、原子力のもつ力のイメージにオッペンハイマーは若い頃から圧倒され悩まされ、アメリカ人たちの歓喜、日本の原爆被害の映像も、彼にとっては、科学が作り出してしまった意図せざる結果として、トラウマというか、操作不能なものとして描かれる。
このとき、オッペンハイマーは孤独で(理解できる物理学者の友人たちや妻がいても)唯一、先人としてのアインシュタインがいるだけ。
この世界との違和感というか、存在の解離的なイメージ、孤独もノーランの描きたかったもの。バットマンの圧倒的な力と孤独、その力がもつ悪のテーマは、オッペンハイマーに来て、さらなる説得力を持って迫る。
豊橋でも初日初回そこそこ入ってたので、当たるかなと思われる。

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えみり

5.0製作する者と使用する者の隔たりを感じた!

2024年3月30日
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知的

難しい

世界で初めて原子爆弾が実戦で投下されたのは日本国であったのは言うまでもない…
対戦を一瞬にして終止符を打ってしまう程の威力があった。敗戦国の悲劇は想像以上の人命を奪って開発したオッペンハイマーの自責の念を襲う姿に私も呆然とスクリーンを観てしまっていた…😭
核兵器を脅し合う抑止力が渦巻く社会に恐怖を感じたし真の平和を考えさせられた。
原爆を作った視線から見た社会であって被爆国の被害については淡々と描かれていのが辛い立場ではあるが寧ろ良かったと思う。
ラスト30分程、胸が詰まる思いで観ていた。

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倭

5.0映画の限界をよく知っている監督の切実な訴え

2024年3月30日
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悲しい

怖い

難しい

この映画に写るのは大なり小なり、原爆の開発及び投下へ関わった人々、及び戦後の核の脅威を拡大させた人々だ。世界を永久に変えてしまったオッペンハイマーとその共犯者、すなわち加害者の犯行に至る経緯と犯行後の述回の映画である。
だからこそ被害者(広島・長崎)が受けた被害の規模はただの一コマも映像として写されていない。

上記の感想に至ったのには冒頭からの繊細な脚本と演出の賜物だ。
静謐の中で迫る破滅の予感。そこかしこで作中人物に指摘される原爆の危険性とオッペンハイマーや他の科学者への思慮不足。高まる緊張の中、ついに行われる実験に臨む人々がいかに無知であるかがその装いに現れる。日焼け止めにサングラスとは!直前までの理知的な彼らのイメージを覆し丸裸にするシーンだ。
(同じく諮問会ではオッペンハイマーの丸裸の心象イメージがインサートされることも無関係ではなかろう。裸の王様たる科学者達。)
理論先行型で実験の苦手なオッペンハイマーはここでようやく、(それでも周りの人々よりは)一足早く、自らが何を作ってしまったのかに気がつく。
原爆投下の成功に喝采を浴びせる科学者はそれまでの思慮深い表情とは打って変わって、まるでジョーカーのような屈託のない無邪気な笑顔で、無垢な喜びを爆発させている。
それに対するオッペンハイマーは日本やナチスの名前を出しスピーチをしてみせるが、その笑顔はもはや笑っていない。張り付いた笑顔の奥に狂乱に近い恐怖がもたげている。

いずれも前後の文脈や暗喩を意識して読解しないと見落としてしまうレベルの表現ばかりだ。
前半部、オッペンハイマーが鑑賞していたピカソの代表作はゲルニカであり、レコードで流れているストラヴィンスキーはナチスに非難されつつも、敵対者の音楽技法を学び、度々来日公演を果たしている大作曲家だ。
フィルムに直接写るのは加害者ばかり。被害者の立場に沿うものは、仄めかす程度にその存在が示されるのみだ。

この映画は相当に、けれどもかなり暗示的に、深く、当時のアメリカ政府だけでなく、関係した科学者、無邪気で無垢だったアメリカ人の群集心理までもを断罪している。
正直、これを見て激怒するアメリカ人が続出しなかったことが驚きだ。
おそらく、気がついていないのだ。そしてそれをも見越して、こうした無垢な人々全てに監督は激怒している。私がアメリカ人だったら途中で退席していたかもしれない。

オッペンハイマーは広島・長崎へ投下される原爆「だけ」を作ったのではない。それに加えて、はるか未来まで、地球丸ごとを変えてしまったのだ。その主犯と共犯者がこのフィルムに映る人々なのだ、とノーランはスクリーンの裏側で絶叫している。
「監督の娘だけが」ケロイド状に皮膚が変化する描写があるのはそのためだ。その断罪にあたっての人身御供だ、その代表として娘を選んだのだ。
「このフィルムに写るものにはただの一人として罪なきものはいない」と証しするために。

『一度も罪を犯したことのないものだけが、この者に石を投げなさい』

極め付けはラストの「かの人」とオッペンハイマーのやりとりだ。そこまで踏み込むのか。衝撃的だった。
かの人はこんなことを語る。
「あなたを持ち上げるのは自身の行為の正当化のため。あなたを罰するのは罪の所在を擦り付けるため。あなたを許すのは自分の罪悪感を誤魔化すため。あなたのためではない」と。言外に、彼らもまた、無関係ではない、共犯者である、という主張が見える。
だからこそ、この映画がアカデミー賞で多数の部門を極めて深い意味がある。原爆の父を都合よく持ち上げ利用して世界を変えてしまった罪を、問い続けなくてはならない、という作品が認められたのだ。

かような事情・テーマから、だからこそ、日本人は描かれない。
奢りと無垢で楽天的な熱意に浮かされた正義感の犠牲となった、その被害の実態を加害者側が決めつけてはならないという、これもノーランの怒りのメッセージだろう。

核を持って脅しあう世界となった事を示す、フィナーレのカット。
爆心地は丁度日本のあたりだった。あの日が引き返すことのできない始まりだったのだ。

クリストファーノーランは、映画の限界をよく知っている人物だと思う。
映画がどれだけ真に迫る凄惨な映像を見せたとしても、本物の人間が語るたった一言の哀しみに叶わないことがある事を、よく理解しているはずだ。
被害者を描くことで戦争の悲惨さを伝える作品は多数見たことがある。この映画は加害者のみを描くことで、彼がどれだけ無垢で浅慮な正義感の元、決断し、核兵器の発明と利用まで至ってしまったのかを糾弾し、反戦メッセージを伝えている。ノーランらしい、挑戦的傑作だ。

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