「天才って不幸」オッペンハイマー 盟吉津堂さんの映画レビュー(感想・評価)
天才って不幸
自分が理数系が苦手なので、理数系の人に憧れがある。理数系の天才たちのエピソードとか大好きだ。
理数系の天才たちは皆、一般社会に溶け込むことができない超がつく変人揃いで、素っ頓狂な天然エピソードからとんでもない超絶頭脳エピソードまで同じ人間とはとても思えないような面白エピソードをたくさん持っていてワクワクさせてくれる。
しかしながらそんな天才たちには共通点が一つある。
それは、みんな頭が良すぎるが故に栄光を手にするが、同時にとてつもない悲劇にも見舞われるということだ。
興味のある方は数学者の藤原正彦氏が著した『天才の栄光と挫折 数学者列伝』などお読みいただきたい。メチャクチャ面白い。
この映画の原作も『オッペンハイマー 「原爆の父」と呼ばれた男の栄光と悲劇』である。
これは、一人の天才が国家に目をつけられて
世界の運命を変えるような巨大プロジェクトに無理やり引きずり込まれて、いったんは栄光を手にするが、その後とてつもない重荷を抱えて一生苦しむ羽目になるという話である。
広島長崎の悲劇を知っている我々日本人にとっては原爆の非人道性をもっとはっきり描いてほしいという思いはやっぱりあるし、この映画に賛否両論さまざまな意見があるのは当然だと思う。
ただこの映画はアメリカの日本への原爆使用を正当化したり擁護したり弁解したりするような、そういう意図を以て作られた映画ではない。
この映画は国境線という見えない線を引いた時から国家というものが本質的に孕んでいる狂気を描いている。
そして、たとえ国が狂気に走った場合であっても多くの人間は自分の国を愛するものであり、その愛国心や同胞愛は無下に否定できるようなものではないのである。
だが、その愛国心や同胞愛の先に待ち受けているのが戦争であり虐殺だったとき、我々はどうすればいいのか。
答えは容易には出ない。
オッペンハイマーはただ立ち尽くしている。
『ダークナイト』でガツンとやられて以来クリストファー・ノーランの作品はチェックし続けているが、やっぱりノーランは一筋縄ではいかない監督である。
原爆を完成させるまでがものすごくスリリングなのだが、その後の展開の方がずっとスリリングだった。
終盤のキリアン・マーフィーとロバート・ダウニー・Jr.の演技は特筆に値する。
ただし、ノーラン監督は『メメント』や『TENET テネット』などを観れば分かるが観客と知的ゲームをやりたがるきらいがあり、今回も時間軸を交差させてこちらをケムに巻いて鼻面を引きずり回そうとするのでそこは要注意である(笑)。
共感ありがとうございます。C・ノーラン作品は仰る通り一筋縄では行かない話が多いですよね。同感です。核の問題は「仕方がない」では済まされない事は日本人なら感じるところです。
「コンスタンティン」への共感&コメントありがとうございます😊「コンスタンティン」は続編が予定されてるみたいですね‼️
私もノーラン監督の作品は毎回楽しみにしています‼️2026年に新作が公開されます‼️ホントに楽しみです‼️