劇場公開日 2024年3月29日

「ノーラン監督の悪いとこだけを煮詰めた駄作」オッペンハイマー inさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0ノーラン監督の悪いとこだけを煮詰めた駄作

2024年4月2日
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鑑賞方法:映画館

みんなの心の声を聞かせて欲しい。ほんとにこの映画、駄作と思わなかったか…?

「核兵器」っていうセンシティブな扱いをしなければいけない題材だから、あえてみんな口にしてはいないように思うんだ。みんなホントに心の底で思ってない…??この映画"駄作"だなって
「分かんない〜!退屈〜🥱」なんて書いたら怒られちゃう!これはそんな気持ちで見ちゃいけないんだ…!的な事、思ってない…?
自分この映画マジで駄作だと思うんだけど。ホントに思ってない?ホントに…??!

ちゃんとなんで駄作と思ったか書くから、ホントの気持ち、知りたい……

ノーラン監督作品は基本好きだしほぼ全て見てますが、監督のダメな部分だけをとにかく煮詰めきっている
あまりに分かりにくい、いや、分からせる努力をやめた完全に独りよがりな構成
いい意味では感情抑揚を抑えた、悪い意味で言えばどこを見せたいのか主張せず視聴者に3時間もの時間を丸投げしてますよねこれ

セリフに関しても、
「君は鶏とトマトで待ちぼうけだな。ふん、量子か」
「神しか知らんよ」
みたいな、もう全編監督の「俺の"雰囲気"感じてくれ〜!」みたいなイミフ構文が続くわ、それだけでカット終わるわがひたすら場面転換して続く
小説で言うと口語文だけが4行くらいでパッ!パッ!パッ!と場面が切り替わる
抑揚なく史実に沿いたいならそれこそもっと人類が普通に喋りそうなセリフにしろや。エモ"み"だけでどうにかなると思うなよ

何よりひどいって、急に挟まる
「マイルズがいれば5年は先に進めるのに…」
風な台詞、シーン
知らねーよ。誰だよマイルズ。こちとら初聞きだよマイルズ
1時間待っても説明ねーぞマイルズ。マジで誰だよ
3分ごとに「あれ、俺今無意識にトイレ行って戻ってきた…?」ってくらい知らねー名前や単語出されて話に置いてかれる。マジで説明してくれ
「マイルズの◯◯理論は◯◯にとって革命だったんだ…クソ…」的な一言入れるだけじゃん

もう中盤までひたっっっすらこんなんばっかで、ある程度原爆の開発史やオッペンハイマーの生涯、政治関連しってる自分ですら話を追えないんですよね
何考えてんだ。周りのスタッフなんか言ってやれよ

いつものCG不採用も、今回は全く活かされてなくてただただ足枷になってて、
「核」は、まさに「世界を破壊してしまう」ものなのに、ただのすごーい爆弾しか表現できないならそんな矜持捨ててしまえよ(そんなすごくすらない
あんな、実家が燃えちゃったんだよね…程度の🔥で何の共感を得たいんだろうか
もしや1ミリもこわーい爆発見せたくない…?見せたくないならなんでこの映画作ったんだ…??

あ、音はすごかったです。でも正直ホラー映画の「バン!!」と大して衝撃レベル変わらんわ

そもそもこの映画、オッペンハイマー自身について語りたいのか?原爆について語りたいのか?当時の政治を語りたいのか?全くどこにもフォーカスが絞れてない。場面尺どこもかしこも間違えすぎでしょう

・この映画を見て科学者の葛藤や原爆や政治について考えて欲しいの?
それならきちっと背景を知らない人に教えることをすべき
これを見て理解できるほどの事前情報を持ってる人は既に自分の意見を持ってるわ

・背景を知ってる人に考察なり楽しんで欲しい?
ならこんな抑揚ない退屈映画を作るな

・背景を知ってる人に、改めてもう一度考えて欲しい?
ならクソみたいなわけわからんオッパイシーンなんか入れるな

・ただただオッペンハイマーの史実を書きたかった?
演出尺間違えすぎだろどんだけ偏った人生だよ。他人の人生を脚色するな

カーーーッ!文句ばっか出てくるわ!
みんなホントに駄作と思ってないのか??!!
「"核"だから厳かに見なければ……」とか、「考えさせられる……」とかそういうレベルじゃないでしょうこれ!!!

今まで難解なストーリーを映像の説得力や構成力で素晴らしい作品に仕立ててきた監督が、映像と構成を捨てたら、こうも虚無な映画が出来上がってしまうんですね

とまぁ罵詈雑言でしたが、中盤の、実験直前〜成功〜持て囃され、の辺りはさすがに引き込まれました。こう見せてくるか、と
オッペンハイマー本人というよりは、政府や軍、群像のファナティックさなんかへの興味の方が大きかったですが
ホントに掘り下げるべきはこの辺だったんじゃないのかなぁ……

よく見かける、日本の扱いが〜所詮アメリカの〜に関しては、もし日本軍が先に開発成功してたら絶対陛下無視で勝手に使ったろうなと思っているので、個人的には単なる視点の違いで、映画の評価に加えることはしませんでした

※実は翻訳のせいでした!とかだったら、すまない、ノーラン…。その時は星2.5にするね……

in
えーじさんのコメント
2024年4月4日

この映画はノーランが賞(アカデミー)を獲りたくて作った映画です。それ以上でも、それ以下でもありません。その為、米国以外はどうでも良いのです。

えーじ
あんちゃんさんのコメント
2024年4月3日

共感ありがとうございました。自分のレビューでもそういうニュアンスで書いたのですが、ノーラン監督の描くドラマはあまり人間味が感じられないのですね。昔からその傾向はありましたが「ダンケルク」あたりから強くなっている感じを受けています。何かAIがつくったドラマのような気がするというと言い過ぎかもしれませんが。この映画でその部分がよく分かるのはアインシュタインとの絡み。アインシュタインの立場や考えは良く伝わるが彼のチャーミングなところは全く欠けている。ドラマから雑味を除いているというかそれも個性なんでしょうけど。

あんちゃん
ファランドルさんのコメント
2024年4月3日

inさんのレヴューを読んで、その気持ちよく分かりました。映画は観客に見せるために作っているものなのに、観客無視で作りたいように作って、見ている方は訳が分からない部分が多過ぎましたね。わたしも自分のレヴューでそのように言ったつもりです(ただし、駄作だ、とまでは思いませんが)。
人によっては、ノーランとはそういう監督だからと、頭から認めたうえで高く評価しているようです。まあ、映画とは、見る人それぞれが、好みや、思いで評価するものなのでしょう。そうした、様々な評価のレヴューを読むのも、楽しみです。

ファランドル