「オッペンハイマーとアインシュタインは何を夢見たか」オッペンハイマー flipperpinballさんの映画レビュー(感想・評価)
オッペンハイマーとアインシュタインは何を夢見たか
クリストファー・ノーラン「オッペンハイマー」を観る。「アインシュタインと原爆」は戦争とファシズムを憎んだアインシュタインがなぜ原爆の開発を推進したのかという話だったけど、今作は組合運動を支援するリベラリストのオッペンハイマーがなぜ原爆を開発したのかというお話でした。
まあ、傑作だとは思うんだけど、ノーラン監督は相変わらず面倒くさく、マンハッタン計画、レッド・パージ、聴聞会のつの時間軸をいったりきたりする難解な展開で、観客は「テネットを乗り切った俺たちなら大丈夫だ」と暗黙にお互いを励ましながら観るはめになる。でも、仕方ないよね、ノーランだもんね。
「ダンケルク」が愛国的な映画だったので、ノーランがオッペンハイマーを撮ると聞いたときは、原爆投下に肯定的、あるいは仕方なかった的な作品になるんじゃないかと危惧したけど、ラストシーンでも示された様にそれは杞憂でした。ただ、オッペンハイマー自身は原爆の開発、投下対して罪悪感を持ちながらも被害を直視できない人物として描かれていて、オッペンハイマー目線の今作には広島、長崎の惨状は登場しない。その意図はわかるんだけど、やはり短いショットでも入れるべきだったと思う、それが可能なシーンはあったしね。
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