「我々は破壊者だ‼️」オッペンハイマー 活動写真愛好家さんの映画レビュー(感想・評価)
我々は破壊者だ‼️
この作品は "原爆の父" と言われたJ・ロバート・オッペンハイマーの伝記映画‼️戦争を終わらせた英雄として称賛されながらも、戦後、世界が核競争に突入していくことに苦悩するという彼の人生は、知ってる人は知ってるので、ひょっとしたら重苦しいだけの伝記映画になるところですが、監督はあのクリストファー・ノーラン監督‼️ノーラン監督がどんな演出で、そして時間軸を操ることに長けている彼がどんな物語構造で描くのかヒジョーに楽しみでした‼️構成としては戦後、オッペンハイマーが共産主義者かという審議にかけられるエピソードと、ロバート・ダウニーJr扮するストローズが商務長官に任命される公聴会のエピソードが描かれ、さかのぼってオッペンハイマーが原爆を発明し、戦争が終結するまでの過去のパートが交錯しながら描かれる‼️ひょっとしたらオッペンハイマーの戦後と過去が混乱するかもしれない⁉️ストローズのパートはモノクロ映像になっているのですが、できればオッペンハイマーの戦後もモノクロにしてくれたらもっと分かりやすかったかも‼️そういう意味では1週間、1日、1時間という異なる時間軸を見事に収束させた名作「ダンケルク」のほうが映画的には優れていると思います‼️ただそれらを踏まえて観れば、ヒジョーにエキサイティングな作品で、原爆発明と共産主義に揺さぶられるオッペンハイマーの心理的葛藤を表現したキリアン・マーフィは素晴らしい‼️ロバート・ダウニーJrのストローズもオスカーを獲っただけある‼️そして奥様役のエミリー・ブラントも証人台に立つシーンは爽快‼️その審議会のセリフの応酬は素晴らしいテンポで3時間をまったく飽きさせない‼️映像的にも量子力学や核分裂を宇宙空間の無数の星々で表現したり、CG無しで製作されたらしい原爆実験のシーンの圧倒的な迫力と臨場感、たびたび挿入される "閃光" 、それによって女性の皮膚がめくれるような描写、ラストの無数のミサイルが翔び立ち、地球の各地で爆発する、まるで「ターミネーター」のような描写まで、ノーラン監督らしい映像表現の数々‼️ただ巷で言われている通り、原爆を生み出してしまったオッペンハイマーの苦悩を描くのであれば、広島と長崎の惨状をキッチリ描いて欲しかった‼️ノーラン監督はオッペンハイマーの視点で描いているからと言っていましたが、やはり戦争を終わらせるためとはいえ原爆を投下したという事実から、目を背けているように映ってしまう‼️その描写がキッチリ出来ていれば超傑作になったと思うだけに残念です‼️
こんにちは
ストローズの公聴会の場面がモノクロなのは、オッペンハイマーの心象風景でしょうか。地球の各地で火柱が上がるターミネーターのようなシーン、自分が引き金を引いてしまったものの大きさに恐れおののくオッペンハイマーは気が狂いそうだっただろうと思いました。
共感ありがとうございます。
実際、“目を背けている”印象が残りますね。当事者(国)じゃないから解らない、軽々な事は言えない、だったんでしょうか?無理にも静か〜に描写しようとした様に思われました。