「『原爆の父』の半生を描く物語」オッペンハイマー まろに~さんの映画レビュー(感想・評価)
『原爆の父』の半生を描く物語
日本での上映が見送られ、満を持しての上映とあって、朝9:45~の上映だけど、ほぼ満席。
率直な感想を言うと、歴史的事実を忠実に再現しながらも、登場人物の心理描写が緻密。
さすが巨匠クリストファー・ノーラン。
特に、幾度となく登場人物をアップで描き、彼らの心理を描写するシーンが印象的だった。それを可能にしたのが、主役のキリアン・マーフィやロバート・ダウニーJr.、マット・デイモン、ラミ・マレックら実力派の俳優陣だった。
セリフも何もなく、表情だけで心理描写を伝えることができたのは、こうした俳優陣だからこそ。
近年の説明的な映画が好きな人には、向かないかもしれない。
歴史的な背景は、作中でも描かれているが、聴聞会・公聴会・過去とオーバーラップして描かれているので、話の時系列をとらえにくい。
なので、当時の社会情勢や歴史的事実は、予備知識としてある程度必要。
例えば、『共産主義と当時の反共運動』、『東京空襲からポツダム会議』、『マンハッタン計画』、『アメリカの公聴会制度』、『原爆の歴史』などである。
知らなくても楽しめるが、知っていることで当時のアメリカを想像しながら見ることができる。
3時間というすさまじいボリュームの映画だったが、時間を忘れ去れる見ごたえのある映画だった。
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