「大傑作」オッペンハイマー ヘルスポーンさんの映画レビュー(感想・評価)
大傑作
情報量が多く一度ではとても処理しきれない。
こんなシーンまでIMAXカメラで撮るのか?!というくらいIMAX撮影にこだわっており、巨大なIMAXカメラを1人で担ぎ上げる撮影監督のホイテ・ヴァン・ホイテマは圧巻のムキムキボディに仕上がった。そして見事ボディビル金賞(違った、アカデミー撮影賞)を受賞しました。
この映画は3時間の尺の中に4つの時間軸で、しかも2人の視点が入り混じるという大変複雑な構成となっている。これだけの膨大な映像をこんな複雑な構成で編集させるなんてクリストファー・ノーランは鬼じゃないかと思いますが、神懸かり的な編集をしたジェニファー・レイムもアカデミー編集賞を受賞しております。
そして本作の緊張感・スリリング感に大きく貢献した音楽ですが、こちらはスターウォーズの「マンダロリアン」シリーズでお馴染みの若手ルドウィグ・ゴランソン!(ハンス・ジマーはデューン!で忙しかった笑)ゴランソンもアカデミー作曲賞を受賞しました。
そしてクリストファー・ノーランですが、メメントから始まった時間操作(終わりから始まり向かう話や、時間感覚が違う夢の中に潜る話、時間の流れが違う何光年も離れた宇宙に向かう話、異なる時間を過ごす3人の軸で一つの戦争を描く話、時間が逆行する話)ですが、本作は時間操作ではなく、異なる時代を主人公オッペンハイマーと敵対するルイス・ストローズの法廷劇的な争いに合わせ4つの時代を行ったり来たりします。
尋問するごとに新たに証言や証人達が出て来ると、その人の過去の話に遡って実際には何が起こっていたのか写されていきます。原爆実験成功という映画的な見せ場に向かいつつ、尋問も進んでいき、登場人物も説明していき、オッペンハイマーの人間に迫るというこれまたすごい映画になっています。
最後のアインシュタインとオッペンハイマーの会話は創作かと思いますが、かなりメッセージ性が込められています。
意外と初?かもしれない濡れ場もあり、フローレンス・ピューはミッドサマー、デューン2の皇帝の娘など、何故か不幸になる役柄がピッタリハマる。映るだけで不吉なことが起こりそう。スタイル抜群というわけでもないのだか、不思議な色気がありとても良い!
あれ!?この人!っていうくらいビッグスターがちょい役で後から出て来るので、何回も不意打ちを喰らいました笑 なんて贅沢な映画なんだ。
大傑作です。