ドラキュラ デメテル号最期の航海のレビュー・感想・評価
全53件中、1~20件目を表示
ドラキュラ以外めっちゃ良い
木造帆船の解像度、セット、どれを取っても高クオリティで素晴らしい〜。小汚くて暗くて臭そうで不気味な夜の船最高!!映像も良いし船員のドラマもギスギスがダルくない程度に小気味よくて良かった。ドラキュラが出てくるまでは。ありがちハゲネズミが姿を現す度に萎える…と思ったらジェーンドゥの監督じゃん!姿を現す化け物は駄目なの??ドラキュラが出なければ怖くなるの変なホラー映画…。もし続きがあるならクレメンス君は頑張って欲しい。期待してます。
タイトルなし
ドラキュラがトランシルバニアからロンドンに渡航するエピソードのみを描いた作品。逃げ場のない船の中で船員が一人一人モンスターの餌食と成っていく「エイリアン」スタイルの作品。
夜毎に船員がドラキュラの犠牲と成っていくのだが、同じ様な事の繰り返しで早々に飽きてくる。そもそも見せ方も良くないのか飽きる前からしてハラハラドキドキしてこない。序盤で犠牲になる船員に犠牲者要員としての役割しか持たせておらずドラマ性が無い事も要因か。
残念な事にドラキュラが夜な夜な徘徊するモンスター程度にしか描かれておらず神秘性の欠片も無いし、ドラキュラ自身が大ピンチに陥るシーンも描くべきだったと思う。
題材が凄く自分好みなだけに観賞後のガッカリ感は大きかった。
淡々と殺戮が繰り返されるだけ
久しぶりに怖くてハラハラするの見たいなぁと思って選んだけど、怖いというより物語が胸糞展開ばかりで引いてしまった。ただただ一方的な殺戮で死闘もなく、どう夢中になればいいのか。古典作品が原作ということで、ちょっと納得。それでも映画的な演出でどうにかできなかったものか。淡々としたシーンばかりで飽きてきてしまった。
昨今はB級ホラーが人気と聞きましたが、私はあまり面白いと感じないかもしれません。まだ「ヴァチカンのエクソシスト」の方が好みでした。
船上の密室ホラーへの挑戦
ありそうでなかった密室ホラー
ホラー映画の舞台と言えば大抵は人里離れた古民家ですが、今作は大海原の帆船の上という逃げ出す事が出来ない密室空間です。
人のことを家畜として見ているドラキュラが計画的に人を殺すのは恐怖でした。
また、血を吸うたびにどんどん人間化し、パワーアップするのも恐ろしかったです。
しかし、ドラキュラの入っていた箱にドラゴンのマークが書かれている意味は最後まで解説がなかったので少し疑問点は残ります。
船上のモンスター・ドラキュラ
数多くの作品を世に送り出してきた、ゴシック・ホラーの名作・吸血鬼ドラキュラ。本作は、その原作となる『吸血鬼ドラキュラ』の小説の第7章を映画化。本作がこれまでと大きく違うのは、その舞台が、お馴染みのルーマニアの古城ではなく、ロンドンへ向かう『デメテル号』の船上ということ。
船上だけのシチュエーションというのは、大海の上で、どこにも逃げ場のない密室の恐怖に煽られる。そして、一人また一人と吸血鬼の餌食となっていく、ホラー映画の王道を行く展開によって、次は誰が狙われるのか、という疑心暗鬼が船員の中に渦巻いていく内容。
物語は、『デメテル号』がロンドンの海岸に難破するシーンから始まる。その船には、船員は誰も発見できず、幽霊船の様相を呈していた。そしてそこにあった航海日記を元にして、過去に遡って物語は展開していく。そこには、『デメテル号』の運ぶ荷物の中に、ドラゴンの紋章が入った謎の荷物が積み込まれ、その荷物の中から現れた、吸血鬼の巨大コウモリ・モンスターによる恐怖が綴られていた。
ホラー作品ではあるが、これまで観てきた、数奇な悲哀な運命を背負ったドラキュラ伯爵として描かれたダーク・ファンタジーな作品ではなく、完全にクリーチャー化した吸血鬼モンスターのドラキュラとして映し出されていた。全体的には、B級ホラーの域を脱しない内容だった。
知られざるドラキュラのエピソード。ゴシックホラー
ゴシックホラーのリアリティを感じた
原作に則った作りが、ホラーのど真ん中を突いている。
誰もが知るヴァンパイア作品だが、登場人物たちは何も知らないまま事件に巻き込まれていく。
この型は初代エイリアンなどにも使われている手法。何が恐怖かを知る視聴者は、それが何かを知った上でその恐怖を登場人物たちととともに体験する。
この型の作品はごまんとあるが、これは登場人物のキャラ設定が厳密で、パニックになりながら事態に対処する様に違和感はない。まったくその通りだ。
船で起きている出来事がクレメンスによるもの、アナによるもの、または狂犬病、そして神の罰だとする乗組員。疑心暗鬼のままクレメンスの的確な状況把握によってようやく船の中に何かいるということに焦点が絞られていく。
しかしそのクレメンスも「俺は科学を信じるが迷信は信じない」と言い切るあたりに、もどかしさとドキドキ感があふれてくる。
そうしながらも毎晩ひとりずつ乗務員が犠牲となるなか、対処方法がまったくわからない。
密航者扱いされたアナが意識を取り戻し重要なヒントを口走るものの、乗組員たちの理解は追いつかないまま、また夜を迎えてしまう。
そして噛まれた者が変身、取り押さえてマストに縛り付け朝日を浴びると、燃えてしまうのだ。
「知らない」という一点だけで、ヴァンパイア退治に奴の弱点を突いた作戦を立てようとしないことがもどかしく思えてしまう。作品にまんまと乗せられてしまった。
アナが決死の思いでロープを切ったことで、ヴァンパイアがマストとマストに挟まれて絶叫するが、決して杭で打たれたわけではなかったのだ。
この作品の中でこの怪物の弱点は明確にされていない。噛まれたものが変化し、それは陽で燃えること以外、何も弱点に触れることがない。十字架も効かない。木の杭は、打ち損ねている。銃撃はどれほど効果があったのか不明だ。乗務員たちは逃げることしかできない。
そして生き残った怪物はロンドンに降り立った。
最後に生き残ったはずのクレメンスは、デメテル号の乗務員として認知されることなくロンドンの町のパブにいる。
そこにあの杖を持ったドラキュラ伯爵がいるのだ。
作品は、クレメンスが人生をかけてあの怪物を、悪の根源を地獄に返すという誓いを立てて幕を閉じる。
モンスターパニック映画では、当然モンスターの全容を映像として登場させるが、怖くない、期待通りではない、面白くない… などがっかりすることが多いが、この作品はモンスターの顔だけ見れば一見「?」になるものの、微妙な変身具合や、やがて紳士として登場するあたりは、非常によく作られてたと思う。しかも、賢いのだ。
伯爵がパブから去る時、クレメンスの首の傷をなでるシーンがある。クレメンスはアナの思い出とともに彼女の絵を描きながら、科学と相反する邪悪のものがこの世に存在するという、自分の体験を認めざるを得ないことを追憶していた。伯爵に撫でられたことで初めてクレメンスは誓いを立てる。
これは、もしかしたら伯爵の為せる業なのではないだろうか? 奴は奴の人生を楽しんでいるのだ。単に人間を狩るのではなく、あえて自分の存在を知らしめることで人間と対峙するのを楽しんでいるのだ。
伯爵はクレメンスを追いかけてきたのだろう。自分の健在さを周知させ、追いかけるように仕向けたのだ。そしてロンドンで新しい彼の遊びが始まる。
面白かった………。
原作はブラム・ストーカー
ルーマニアからロンドンに向かう貨物船の荷物にドラキュラが潜んでいた。
船員が一人ずつ、血を吸われていき、最後には・・・。
私のイメージではドラキュラ伯爵だったが、今回はほぼモンスターで、十字架も何のその。
お金はかかっているかもしれないがホラーの王道だ。
嵐の中では誰も助けてはくれない
救いようがない恐怖がメインだろうか。
積荷の中に紛れ込んだドラキュラにより、ドラキュラに襲われ辛うじて生き残った女性もドラキュラ化するのを避けるために積荷の中に入れられ後に発覚するのだが、乗組員もそして女性もドラキュラに襲われ亡くなってしまう。
生き延びた医者はドラキュラに復讐を果たしたいという感じでエンドロール。
たとえあまり知られてないエピソードの映画化だとしても…
吸血鬼ドラキュラって言えば有名だけど、古きゆかしい作品のイメージしか知らない人の方が多いのではないだろうか?
自分のイメージでは古いお城の奥で昼は棺(中に所縁のある土地の土が寝床として必要)で眠り、眷族に露払いと贄を差し出させる。
高身長で痩身、夜会に来る貴族のような服装でマントの襟を立てている。
鏡に写らない
家の住人に招かれないとその家に家に入れない
人間を魅了できる
身体を霧にできる
コウモリになれる(空を飛べる)
血を吸われた人間は眷族となり奴隷になる
十字架を恐れ、聖水で火傷する
にんにくも嫌い
ライバルはヘルシング教授で彼らがお城へ退治に向かうといつも夜になってしまう
胸に木の杭で胸を打たれると絶命するはずだが、寝てるときに突き立て様とすると寸前に目を覚ます
日光で燃えて灰になる…。
大体はこんなイメージではないだろうか?
上記の自分のイメージが今作品で該当するのは吸血されると眷族になる事と眷族が日光で燃え尽きるので本人も多分燃える(夜しか活動しない様子から推測するに)
後半はコウモリのように両腕が羽になり空を飛べる
で、肝心の内容がネタバレしているタイトルからも分かる通り、謎の貨物を載せたデメテル号の乗組員達が毎夜襲われ、理由の解らぬまま頭数を減らしほぼ全滅してしまう。
まぁ冒頭から沈没した船のシーンなので仕方ないけど。
さらに謎の密航者アナを見つけてどうするのかと思ったら、輸血して治療するって、アナって餌がわりに一緒にされてたのにまだ吸われてなかったらしいけど、元気になったら船内をウロウロ、怪物が居るの分かってんだから説明できるだろ?村が全滅したとか知ってるのに言うこと言えよと。
夜しか襲ってこないと思ってるなら昼間に捜索しろよと思うのに、アナは見つけられても怪物が入っていそうな箱には手をつけない。
航海中にエサが足りないと困るって事でもう1人犠牲者が入ってたみたいだが劇中では出てこずじまいなんだけど、じゃあドラキュラを箱に入れて運ばせたのはどうやったんだよ?と思う。
出てきた時は明らかに弱ってる感のドラキュラをエサの女性たちと一緒に箱詰めにしたのは眷族になった奴らなのか?にしては荷物を持ってきた連中らしき奴らは日光の元に活動してたし、ドラキュラが「わしはイギリスに行くから準備しろ」とでも言うのだろうか?
なんかその辺がモヤモヤしてしまう。
そして超肝心、見所となる襲うシーンには目新しさはないのでドキドキしない。
空飛ぶシーンとかのCGも安っぽい…。
CGも血液が口から垂れる所も変にテカってて「ん?ん~」ってなる。
見た目がハゲで肌色の怪人こうもり男そのもの…顔は如何にもなクリーチャーだが何処かで似たような奴が多く、見慣れた雑魚の顔で印象に残らない。
ラスト前で本人の意図した意味の言葉を吐くがあまり知性のない餓えた獣にしか見えず、一匹だけのレア感が無い。
次回作があるとは思えないが、妄想的な引きでドラキュラが生きていて追いかける展開もあまり熱く感じなかった。
これを劇場で観ても「内容はわかってたからしゃあないな…」とぶつぶつ言いながら帰っただろうことは想像出来る。
ドラキュラネタと解っているのだから、肝心の怪物の襲撃シーンとかをもっと恐ろしくする工夫は出来なかったものか…と残念な気分になった。
テンポが悪い
誰も知りたくないドラキュラの本当の真実を知ることになる。
ドラキュラという正体を重ねて誰も知りたくなかった本当のドラキュラの話を知ることにもなるこの作品ですがあまりにも衝撃でもあるしあまりにも知りたくなかったって感じてしまうことが多いと思います。
なぜならこのことを話すと必ず信じてしまう人もいるしドラキュラが強いことを誰も知らないからです
そもそも倒せるのかって思えるぐらいに倒せるかどうかもわからないやつにどうやって戦うんだってなりますよね
これはその船で起こった事件をもとに作られた話であろうと思います。
冒頭でもありましたが船の崩れた姿から考えるとそこにはある悲劇な物語でもありそこにいた乗組員は残酷な運命でしかありませんでした。
なぜ乗組員が死ななきゃならなかったのか
それがドラキュラと隠されたことになります
主人公は医者として船で旅をすることが目標でしたですが船に乗ることがなかなかできずにいてあきらめかけてたその時に小さな子供を助けたことから念願の船に乗ることができます。
ですがその船にはまだドラキュラがいたことすら乗組員も知らないはずでした
それを知るのがまだ先です
船は順調に進み始めていて高波が迫ってきたことからドラキュラの眠りが覚めてしまったことにもなります
ドラキュラは腹がすいており食べ物を食べなきゃ死んでしまう恐れでもありました
ですが乗組員はまだ知らないままで船に潜んでることすらも知りもしませんでした
なぜここまで知らないんだって感じますが
自分でもたぶんわからないだろうってなりますよね
自分でもこの船にいたら怖いと感じてしまうだろうし逃げても逃げれない世界からどうやって戦えばいいんだって思ってしまうぐらいに恐ろしいことしか考えられませんでした。
ちなみにこの物語でヒロインがいますヒロインはドラキュラのことを知っており退治しようとしたら閉じ込められたことにもよると思います
ヒロインはドラキュラを退治するまであきらめないと感じて主人公と協力を取りますが乗組員もドラキュラを退治するために全力で戦う決意をします
本当にあった話じゃないのかって思えますがフィクションでもあるため
実際かどうかわかりません
正直そこまで詳しくないので
詳しかったらいろいろ語れたかもしれませんがそこまで語れる勇気もないのであえて控えめにしておきます、
なんかすみませんこういうので大丈夫かもわからないためすごく不安ですめちゃめちゃ
不安にしゃべっております
ただただ怖いというよりか恐ろしいドラキュラの話だなって思えたのと
朝日に弱いためすぐに倒せてしまうのもなんか嫌になりましたねそんなに弱いのかなって感じてしまうのですごく嫌ですね
もっと強いドラキュラなら倒せられないぐらいな力を持っているはずかも知れませんがそこまで描いてないってわかった瞬間
がっかりでしたね
ラストが非常に悲しかったですねヒロインも最後ドラキュラに負けてしまい主人公を助けるために自ら犠牲になってしまったことが非常に残念な気持ちしかありませんでした
こんなにも悲しい展開があったなんてッて思えるとそれぐらいに
ドラキュラが許せない気持ちになりましたね
真面目に許せない気持ちでした
終わった後にドラキュラ絶対に倒してやるからなってめちゃめちゃ怒りの復讐になっておりました。
まだ見てない方は是非とも見てください!
これから見る方にも
是非とも見てください!
ちゃんと原作に繋げてよ。
ドラキュラがルーマニアからロンドンへ船で渡る話で原作読者にはバッドエンド確定映画。
船員は白人だけなのに黒人医師にヒロインなどのオリジナル要素を追加するのはご時世柄かな。
原作では10ページの内容で二時間近く話を持たせる為に船員を襲う前に律儀(?)に家畜から吸血して最後までヒロインを襲わないドラキュラや積み荷がヤバいと分かってるのに海に捨てずロンドンが近付いたら昼間の内にさっさと救命ボートで逃げないなど見ていて何でやらないの?となる(この辺りは原作だと船長の日記ってことでボカされてたけど)。
ただ船長の孫もしっかり襲って吸血鬼化させて太陽の光で焼き殺す展開は良かった。
肝心のドラキュラは終始全裸で顔は禿げ頭にトンガリ耳と完全な怪物で貴族らしさは一切無し。船を襲う謎の怪物に徹っしさせたかったんだろうけどドラキュラといえば美形のイメージが強いだけに不気味さだけでは正直物足りない。せめて上陸してから服を着てるシーンでは美形にして欲しかったな。
最後に黒人医師が生き残ってドラキュラは俺が倒すとかジャンプの打ち切り漫画みたいな終わり方でするけど原作では一行も出てこないんだから医師っていう設定を生かしてヴァン・ヘルシングと知り合いになるとかうまく原作に繋げるべきだった。
着目点と脚色が斬新 重厚ささえ感じる映像美
ブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」(原題は「DRACULA」)は、全編が日記や書簡などの記録を連ねた構成で書かれている。
ミナ・マリー(後のミナ・ハーカー)の日記に挟み込まれていた新聞の切り抜きが本作の原作に当たる。「デメテル号の航海日誌」は、その切り抜きの記事の中に掲載されていたものだ。これは小説のごく序盤に位置していて、ドラキュラ白爵が若者の生き血を求めてトランシルヴァニアの山中の孤城からロンドンに渡ったことを示唆するエピソード。
このごく短い章に着目して映画化したことに興味津々で劇場に行った。
ほぼ、航海中の船上という密室を舞台に、乗組員たちが得体の知れない何者かに追い詰められていく。
凝ったセットと衣装・メイクはゴシックロマンの雰囲気が充分。
狭く暗い船内の緊迫感を演出した撮影・構図も見事だ。
吸血鬼のデザインは悪魔的で、ベラ・ルゴシやクリストファー・リーのような夜会服にマントの紳士然とした出で立ちではない。が、映画の最後にそれを思わせる男の影が見られる。
原作の描写では貴族的な身なりと態度の紳士ではあるが、痩せ細り、眼は赤く充血し、犬歯が長く伸び、爪も長く尖った不気味な男なので、原作無視とまでは言えない。
難破したデメテル号が生存者ゼロで発見されたところから物語が始まるから、全員死ぬのだと分かってはいても、子供が犠牲になる場面はショッキングだ。
血を吸われた者がドラキュラの下僕となって操られたり、陽の光を浴びた皮膚が燃えたりする、ドラキュラがホラー映画のスターになって以来のセオリーを踏襲しているのに、原作にもある十字架という最大の弱点は採用されていない。
この意味は、もしかすると続編への布石か…。
時は1897年8月。原作が発表された時期に合わせているようだ。
19世紀末は蒸気船が普及していて、原作のデメテル号は「機帆船」と書かれているから、帆船に原動機を併用した船だ。機関長と呼ばれる乗組員がいて、彼は恐怖のあまり船から身を投げる。
この映画のデメテル号に原動機はあったのか、よくわからなかったが、機関士はいただろうか…。
主人公は映画オリジナルの黒人医師クレメンス(コーリー・ホーキンズ)。この時代、資格を得たとはいえ黒人に医師として働くことは難しい。
原作でドラキュラとの交戦を主導するのは医師でもあるヘルシング教授。そして教え子の精神科医セワード院長が助手として活躍する。
とうとうロンドンに上陸したヴァンパイア=ドラキュラ。この映画がヒットすれば続編を作る計画だろうか…
となれば、クレメンスは恩師ヘルシング教授に助けを求め、共に戦う……のかな?
ドラキュラへのレジスタンス
◉スタイリッシュとは言えない
ドラキュラが姿を露わにするまでの、暗い船内の緊張感は悪くなかった。湿っぽい土が詰まったデカい箱が出てきて、逃れ難い悲惨な運命も陰惨な儀式めいた殺りくとかも、展開に上乗せされて、期待はホラーに目一杯傾いていた。血を吸われて絶命、変形した被害者の姿が次々に出てくるはず。
でも、いきなり醜怪なドラキュラの生身が、貪欲に人の首筋に喰らいついたシーン以降は、悪魔の影に怯えるのではなく、ドラキュラ探しの展開になってしまう。
ホラーに対して、影とか遠目の姿とか、初めは人の顔形しているとかの、溜めばかりを期待してしまうのがいけないのかとも思うのですが。
更にこの映画のドラキュラは血に飢えた漂白の悪魔とは違って、力で村の民の血肉を搾取する悪の領主じみた存在らしく、これはホラーと言うより、悪魔と人の階級間闘争であって、まるで皇帝ドラキュラへのレジスタンスの物語のように感じました。生身の人間対生身の悪魔みたいな。「本当に怖い吸血鬼伝説」に惹かれていたので、そこはかなりの肩透かし。
◉生き残った者は
とは言え。
普通なら最後に命を助かるのは女性か子ども、あるいはその両方であるのに、この映画では、屈強の男たちは無論、少年も娘も瞳を白濁させて、太陽に焼かれて死んでしまう。悪魔としてだ。年老いた船長も助からない。そこはたくさんの悲惨と陰惨に満ちていた。
もう一つ、とは言え。
「風の音、海の音、皆の血管に流れる血の音が聞こえる」とは、悪魔の呟きとして何とも美しかったです。やはり人はどこかで悪魔に魅入られた挙句、喰らい尽くされる。
映画の最後、搾取側の皇帝は滅することなく、夜の街に身を翻した。ここは十分に暗澹とした物語の始まり。若き医師の戦いはこれからだ。
全53件中、1~20件目を表示